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2010/08/19

コミケと飛行場

event_note
そういやこないだの土日のことを書き忘れていた。

土曜は遂にコミケデビューを果たしましたよ!見渡すかぎり人人人…F1や8耐全盛期の鈴鹿でも1日あたりの動員数は相当なものだったと記憶しているが、あっちは場所がでかいので密度そのものは低い。一方こちらはビッグサイトという国内最大級のイベント会場とはいえ、単一の閉鎖空間に人がみっしりと詰まっている。「人がゴミのようだ」という形容がぴったり当てはまる異様な光景を目の当たりにすると、恐怖より先に笑いがこみ上げてくるもんだと改めて思った。

中は人々の異様な熱気で空調が追いつかず常に暑い。ジャンル・カテゴリが明確に定められていて、フロアどころか通路一つ隔てただけで場の空気が明らかに違ったりする。そこかしこで座り込んで戦利品(=購入した同人誌など)を広げて読みふける奴らがいる。コスプレゾーンでは、どんだけ金かけてるんだか分からんような気合をみせる奴らから思いっきりネタに走ってウケを取る奴ら、さらにそれを撮影する奴らで、身動きがとれない。

ぶっちゃけて言えば「国家レベルの文化祭」。これが年に2回、もう何十年も大きな事故を発生させずにボランティアベースで運営されているという事実は、何かしらのイベントを運営した経験のある者からすれば奇跡以外のなにものでもない。逆に言えば、万が一の事態が発生しパニック状態に陥った場合、冗談抜きで生命の危機が訪れることになるだろう。

そういうわけで、「コミケは戦場」という言葉を噛み締めることになった。ナビゲーター役の後輩S君がいなければ、会場をさまよったあげく精神的に衰弱死していたかも知れぬ。この場を借りてお礼を言っておこう(ちなみに彼は3日間とも行ったはず。数々の修羅場をくぐり抜けた戦士だ)。

さて次の日曜、自転車で全く別の方角へ向かった。目的地はホンダエアポート、荒川沿いにある小さな空港である。荒川サイクリングロードの話題になると必ず出てくるポイントなので以前から行ってみたかったんだが、先日とある情報を得て、この日の正午にそこへ行かねばならぬと勝手に決めて朝から装備を固めて出発した(荒川〜は遡上すると単なる田舎道になるので、ドリンクや補給食を多めに携行する必要がある)。

で、快調に飛ばして到着したはいいが、当初の予定よりも2時間以上早く着いてしまった。ちょうどその日は猛暑日で、周りは空港だけに陽射しを遮るものは何もなく、こちらでもリアルで衰弱死するところだった。幸い、近くにあった桶川スポーツランドで、休息できる日陰と使い放題の水道を見つけ、頭から水をかぶったりして何とか暑さを凌ぐことができた。

セスナ機のタッチアンドゴー、スカイダイバーたちのパラシュート降下、プライベーターがバイクで走る姿などを眺めながら、何十年か前に、ここがどういう場所で皆がどんな生活を送っていたかをぼんやり想像していた。現在よりもずっと精度の低いエンジン、剛性の足りない機体、粗悪な燃料、乏しい物資の中でも、彼らは日夜を問わず整備し、訓練に明け暮れ、そして飛んでいった。そんな厳しい状況でも、響き渡るエンジン音と、スロットルを開けて加速し離陸する瞬間に感じる「ときめき」は、今の我々と一緒だったのだと思いたい。正午近くになって、誰かがラジオで戦没者慰霊式典を流していた。サイレンが鳴り黙祷を捧げる。「戦争」という言葉が、平和の名のもとプライベートレベルでしか語られない現在の日本を創り上げた、多くの名もなき人々がいた。そのことを胸に刻み忘れないでおきたい。
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