2013/08/29

夏祭初音鑑を見てきた(ネタバレしつつ妄想にふける版)

この記事は自動投稿を事前に仕込んだものなので、無事に公開された頃には、9日間のべ38公演にわたった夏祭初音鑑の千秋楽公演が始まっていると思う。ワタシはおそらく最初からブチあがってて記憶が消し飛んでるはずなので(笑)、今のうちに思うところを取り急ぎまとめておく。細かい話は省略するので、ネタバレを回避しつつ感慨にふける版を未見の方は、できれば先にそちらをお読みください。それと公式パンフレットは読んでませんので、ワタシの話は独自解釈に基づくものであることをあらかじめお断りしておきます(てへぺろ

実は、ストーリーや演出のコンセプト、舞台装置や音響の意図と効果などをじっくりと再確認したくなって、何とか時間と金をやりくりして、比較的落ち着いてみられそうな回をこっそりと見てきた。正直なところ、『舞台のコンセプトは「江戸時代の芝居小屋」、テーマは「かぐや姫」』と言われても、初見では何が何だかさっぱり分からなかったというのが率直な印象だった。幸いなことに取れた座席がちょうど真ん中だったこともあって、キャラクターの表情や背景のCGを堪能しながら、上記のコンセプトとテーマを読み取ることにした。立ち上がって叫びたくなった場面は何度もあったけどな。

この「舞台」で月が重要なモチーフになっているのは、「かぐや姫」と言われるまでもなく最初から分かる。それが進行に合わせて、じわじわと欠けていく。月の満ち欠けは地球の影によって起こる。通常は約28日周期だが、ワタシにはそんな悠長な話ではなく、もっと切迫しているように感じられた。皆既月食。つまりこれは、たった一晩の話なんじゃないか。そう思った瞬間、目の前で唄い舞い踊る「光」と「影」、特に「影」に注目せざるを得なくなった。

そもそもこの舞台では、「光」と「影」がデフォルメされている。

皆が絶賛しているステージの立体感は、主にEyelinerによる空間投影技術と背景に映し出された影によって得られているのだが、影は、「あらかじめ黒い部分を描いたCG」をキャラの背景に同期して投影しているに過ぎない。しかもその影は演出意図によって、通常のライティングでは不可能なほど、いびつに伸び縮みする。

そして決定的なのは、CGで舞台に立つ各モデルそのものに、影がほとんど存在しないことである。例えば、キャラがこちらに手を差し伸べても、身体に腕の影は落ちないのだ。くっきりとした影が背景に描かれているにも関わらず。このただ一点をもってしても、3次元空間に動くCGフィギュアがいるように見せるため影をあらかじめレンダリングしてある「公式」ライブとは、目指したものが全く別であると断言できよう。





さてこの「自己の影を持たない、この世に存在するはずのない奇妙な身体」を、我々は毎夏に必ずと言っていいほど目にしている。

内部から自発光している立体。

提灯。
精霊舟。
ねぶた。

「夏祭」とは、そういうことかと思った。

地元の祭にはもうずいぶん参加していない。学園祭なんてのも遥か昔だ。だが、「みんなで作ってみんなで盛り上がった」あの記憶は、宵闇のなかの灯りとともに、いつでも思い出すことができる。

祭が終わったあとに、「来年もここで」と、果たされる宛のない約束をする。そして、「みんなで長い時間をかけて作ってきたもの」を、一瞬で壊す。やぐらも出店もあっという間に片付けられ、翌朝の光に包まれた風景を見て、いつもの日常が戻ってきたことを知る。

一夜限りの祭のあいだだけの、もうここにはいないはずの誰かとの出会いと、後ろ髪を引かれるほどの切ない別れ。

口に出してしまうといかにも俗っぽいこんな想いが、中盤の「カンタレラ」や「月・影・舞・華」あたりから溢れ出し、「1/6」や「三日月ライダー」では何とか踏みとどまったが、ついに、

ONE NIGHT GIRL」で決壊した。

そして誰もが予想できなかった最後の曲は、松田聖子の「SWEET MEMORIES」のミクさんV3によるカバーである。歌詞を読めば説明は不要であろう。

「夏祭」は終わったのだ。

この6年間、毎日のように起こり続けた出来事が次々に思い出される。「終わらない祭」と誰かが言っていた。その集大成のひとつを、2013年の晩夏の秋葉原で見た。そして明日のあの街角からは、色とりどりののぼりも、グッズ売り場のテントも、屋台めいた出張店舗カーも、儚い幻だったかのように何もかもが消え去るのだ。

ANGEL Projectを率いるF岡さんは、ご自身のことを「座長」と呼んでいるというお話を、どこかで伺った。見世物小屋は祭とともにさすらっていくものだが、「はつあぴ一座」は地方巡業するのだろうか。その地方は日本だけに留まらないんじゃないか。そんな夢を、綿飴の代わりにイタリア発アメリカ経由の食い物をかじりながら妄想することにする。

「失った夢だけが美しく見える」のならば、新しい夢を追い続ければいいだけの話なのだから。

というわけで、皆さんさようなら。次は「マジカルミライ」でお会いしましょう。
そしてドミノピザさんは今後とも超強力なサポートをよろしくお願い申し上げます。


(ホントは新しいアンセム「ONE NIGHT GIRL」を貼りたいのだが動画未公開のためこちらをどうぞ)

2013/08/31追記: