2015/03/14

ボカロとまちおこしについて少々

(もはやゾンビか亡霊のようなワタシだがアタマの中を整理するため何かを思いついたら備忘録的にここへ書いていくことにする)

ツイート自体はもう消してしまったが、1ヶ月ちょっと前に「2014年の初頭に新千歳空港で雪ミク2014の買い物袋をもらおうとしたらお店のおねえさん2人がノリノリでたくさん詰めてくれて話を聞いたらミクちゃん知ってますという答が返ってきてちょっと感激した」という話をしたことがある。実は、これには前フリがある。

2014年の1月2日の道央圏はかなり強めの吹雪模様で新千歳空港からフライトできるか不安だったのだが、正月三が日でも市街地観光くらいはできるだろう、雪ミク電車もせっかくだから見たいし、という漠然とした気持ちで札幌駅で降りて歩き始めた。

大通公園へ向かうあのだだっ広い地下道…自分が住んでた頃には存在しなかったが…をぼちぼち歩いて、たまに外に出ては横殴りの雪に辟易しつつクリプトン本社があるビルへ「参拝」したりしたんだが、大通の市電乗り場で雪ミク電車の写真を撮って思ったことは「やっとボカロが居た」だった。そこに至るまでどこにもボカロどころかミクさえ影も形も無かったのだ。2013年の道新正月版には雪ミク2013が大々的にフィーチャーされた紙面があったのが2014年の正月版からは全く姿を消していて落差に驚いたんだが、その扱い方が札幌市民や道民の現実であると突きつけられたようでショックを受けたまま新千歳空港行きのJRに乗った記憶がある…もう1年以上前の話なので何とも言えないが、探し方が悪かったのかも知れないしデジタルサイネージなんかを見落としたのかも知れないし偶然イベント的なものの谷間だったのかも知れない。いずれにせよその時の札幌での「収穫」は、この市電の写真だけだったのだ。

最近は聖地巡礼という言葉も定着した感があるが、アニメの舞台となった街に訪問するファンを歓待することでまちおこしに繋げる事例をよく聞く。古くは鷲宮(らきすた)、近年で最も成功したのは大洗(ガールズ&パンツァー)だろうか。一方、クリプトンが本社を置くためにミクを筆頭としたクリプトンボカロが札幌(または北海道)のまちおこしのシンボルとして駆り出されるケースが見られる(最たるものはもちろん一連のSNOW MIKUキャンペーン)。ボカロ関係で他に思いつくところだと、今のところ女満別空港で展開される結月ゆかり、東北一円の復興を応援するべく生み出された東北ずん子、くらいだろうか(他にもあるかもしれないが思い出せん、漏れていたらすみません)。

アニメとボカロはキャラクターこそ存在するが異質なものなので安易に結論めいたことは言えないが、こういう場面における両者を乱暴に比較すると「その地域内で設計された舞台で展開する物語があらかじめ用意されているか」という違いがある。アニメの話はさんざん語られているのでそちらを参照していただくとして、「地域に根ざした物語が存在しない」ボカロを用いたまちおこしについて、先に挙げた3つを元にそれぞれ考えてみたい。

雪まつり期間と連動したSNOW MIKUキャンペーンには結局行けずじまいだが、特にミクファンの間ではすっかり根付いた感がある。イベントやグッズ販売等に試行錯誤の跡は見られるが、このまま推移すれば、10年ほど前には存続議論すら出ていた雪まつりという「旧態依然な」イベントへ新たな導線を付加することに成功するだろう。

女満別空港がなぜ結月ゆかりとくっついたのか正直よく分からないので多くを語ることはできない。フライトアテンダントというか空港内の案内嬢的ポジションでゆっくりと確実に浸透しつつあるように見えるのだがどうなんだろう。実情を知りたい(が、なかなか女満別まで行く機会がないので残念)。

東北ずん子は東北復興支援という極めて明確な目的を持つ一連のプロジェクトであり、クラウドファンディングなどを活用しながら音声ライブラリやイラスト等を現在進行形で整備している。アニメ化なども視野に入れているようなので、いずれ「地域に根ざした物語」を獲得するだろう。そしてこの「一緒に育てている感覚」が共有されることは一種のメタ的な「東北ずん子成長物語」になるので、実は既にアニメ的なまちおこし事例へ片足を突っ込んでいると見ることもできるのが興味深い。

以上、大雑把にまとめると
  • 唄うキャラクターに毎年ごとのキャンペーンガールを担ってもらうSNOW MIKUキャンペーン
  • 唄って話すキャラクターに空港のコンパニオンを務めてもらう女満別空港
  • 唄って話すキャラクターを成長させる体験を通して東北復興を応援する東北ずん子プロジェクト
という感じだろうか。東北ずん子のメタ的な成長物語を除けば背景に「物語」が存在しないのは共通で、まずキャラクターがあって、それをどういう位置づけで動かすかがポイントなのかなという印象を受ける(まあボカロの場合、その気になれば多数の楽曲の中から季節や地域にちなんだ作品をコンパイルして、「物語」を紡ぐことができてしまうのだが)。ワタシが2014年の初頭に抱いた「北海道や札幌にボカロが居ない感」は、別にミクその他のクリプトンボカロが北海道や札幌のイメージキャラクターとして年間を通して動いてないというだけの話で、単にタイミングが悪かっただけなんだろう。

というわけで、固有の物語をほぼ持たない一方でクリエイターの好きなように唄わせられるボーカロイド・語らせることができるボイスロイドのキャラクターを用いたまちおこし…文字にするといかにも堅いが…は、雪ミクのポジションすなわち「何かしらのイベントなり非日常空間に立ち現れるキャンペーンガール」的に振る舞ってもらうのが今のところの解のように思える。近い存在としてはレースクイーンかな。そういう意味では、地域の人たちやイベント主催者等は、ボカロのキャラクターを無理に動かそうとせず花を添える感じで望むのが今のところは良いのかもしれない。まちにふさわしい物語は、歌や言葉でそのうち誰かが語り始めるだろう。

追記:テトさん忘れてた!