2016/03/02

「ボカロビギナーズ!ボカロでDTM入門」ななめ読み

以前も少し紹介した、アンメルツP著「ボカロビギナーズ!ボカロでDTM入門」を手に入れたので、今回はその内容をレビューしたい。ただしワタシはDTM入門者ではないので(その気はあるけどとりあえず参考書をななめ読みする程度のモチベーション)、どちらかと言うと、この本の見どころというか他に無い特色を探していく感じになるだろうか。ともあれ始めよう。

この本の表紙には「ボカロ」「DTM」「入門」という字が大書きされていて、夕凪ショウ氏による可愛らしいDTM女子校生のイラストとともに目を引く。他の作曲マニュアル然とした書籍とは違う印象を受けるが、それは同人誌版の「ボカロビギナーズ!」から続く、フレンドリーさを前面に押し出したコンセプトと同一に思える。

ところが本を開くと、先ほど言及したマニュアル類とはまた違った風景に面食らうことになる。この手の本にしては、テキストの量が多いのだ。内容がよく整理されているので、つまみ食い的に必要なところだけ読み進めることができるのだが、それでもこれを通読するのは計202ページというボリュームも含めてけっこう大変かもしれない。また、実際に作曲を進める際は、自分が使うDAWのマニュアル本も一緒に用意した方がベターなように思う。

そしてこの本の、他のマニュアル類にない特色は、第1章:知識編と第7章:実践編に集約される。ボカロPの間で、あるいはネット上で当然のこととして流通していた知見が、アンメルツPの手によってこの2つの章に凝縮されている。「ボカロを使って作品を作ってネットで発表して不特定多数の皆と交流する」という一連のフローにおいて必要な心得が書いてあると言ってもよい。その意味で、この本は間違いなく「これからボカロPになる人のためのビギナーズマニュアル」である。もちろん肝心の作曲部分についても第2〜6章でしっかりフォローされているので、まずこれを読んでいろいろやってみて、何か足りないところが出てきたら次に進む、というのが理想的な形かもしれない。

それともうひとつ特筆しておきたいのは、この本が物理と電子の両方の書籍形態で手に入ることである。個人的には物理書籍を推したいが、電子の手軽さも捨てがたい。ここは自分の消費スタイルに合わせて選ぶといいだろう。

さてこの本、あくまでもマニュアルなので、使い倒してなんぼである。まるっきりの素人がボカロでの作曲を志したら、まずDTM機材を揃え、ボカロを買い、その購入リストの隅に付け加えておいてとりあえず損はしない、そういう性格のユニークな本である。アンメルツPによると同人イベントなどで物理書籍を閲覧(あるいは購入まで)できる機会を設けるみたいだから、その際はぜひ手に取って眺めてみてほしい。作曲するしないに関わらず、新しい発見があるかもしれないので。