2016/10/23

「響け!ユーフォニアム2」深読み:第三回

いつもの前置き:何をどう工夫してもネタバレは避けられないし、そもそも自分が考えてることは明らかに他の皆さんと違っちゃってるようなので、まだ見てない人はもちろん既に見た人も含め、作品を素直に楽しみたい方は、この記事の存在を忘れてください。ただの感想文とか楽しい感じには絶対にならないので、そういうのを期待してる人は読まないでください。

警告おしまい。あとは好き勝手に書く。先日ガルパン劇場版LIVE ZOUND上映を見たら3DCGによる動く背景もパノラマ写真的な背景も当たり前の手法なのが分かって自分の視野の狭さを思い知ってショックを受けてるのと、2期の情報量に頭がついていかなくなってるのとで、もはや深読みでも何でもなくなっちゃってる感じだけどな。





本題。第三回「なやめるノクターン」をどう解釈していいものか、実は途方に暮れている。作画と声優さんの演技と音響はいつも通りの上質なもの(特に久美子の性格の悪さがにじみ出ている声色の変化と合宿所内で演奏したときの音響が素晴らしい)。また、「練習するのが当たり前」(第一回)なので、キツい10回通しを今さら執拗に描く必要が無いのもいいとしよう(「プロヴァンスの風」と「三日月の舞」をカットしながら交互に合計10回鳴らしてるのが面白い)。しかし「この曲は単純なBフラットメジャーが随所にある曲です」「チューバ、Gesの音、広く取り過ぎています」という楽器素人にはさっぱり分からんセリフがいきなり出てくる一方で、1期の第十二回を丸々かけて丹念に描いた久美子の苦悩の結果を「関西大会は今のところをふたりで吹いてください」という一言で片付けてしまうのは、さすがに極端じゃないかと思わざるを得ない。「うまくなりたい」という宇治橋でのあの絶叫は何だったのかと。その直後にみぞれ先輩の演奏に対する橋本先生のツッコミが入るので、物語の現時点での軸が彼女であって久美子の成長ではないというのは分かるんだが…。とりあえず、橋本先生の問いに戸惑いながら「…三日月」と答えるみぞれ先輩がとても素直でいい子なのが分かったので良しとする。「三日月感」ってどうやれば出せるんだろう(笑)。



さて、第一回からこれまで見てきた通り、みぞれ先輩(と希美先輩)を巡って場面は目まぐるしく変わるのだが、特に今回、大きな役割を担っているのは久美子とデカリボンちゃんこと優子先輩とあすか先輩。久美子は話を回す立場になってるから置いとくとして、大きくクローズアップされているのは、1期で悪役的存在だった優子先輩だろう。「希美先輩襲来事件」の根っこにある同級生大量退部の過去と、(彼女の場合は香織先輩への思慕から来ているのかもしれないが)部活の変化への複雑な想いという、2年の現役吹奏楽部員の大部分が抱いているであろう窮屈で板挟み的な気持ちを代弁してくれている。副部長という立場ゆえか、あくまでも部を俯瞰することに徹していて冷酷とも受け取れる、おどけた口調なのに目が笑ってないあすか先輩との対比がとても興味深い。



そのあすか先輩は飛び抜けた実力の持ち主とされながら今までその具体的な描写がほとんどなかったが、今回のラストでついに描かれた。朝日に照らされながらひとりユーフォニアムを吹く彼女の姿は、1期を通じた全体でも屈指の美しいシーンと言える。紫に緑というカラーコーディネイトの立ち姿、背景の複雑な動き、なめらかな髪、運指の正確さ…。この作品のタイトルになっている楽器を携えるもうひとりの人物である彼女が「特別」であることが、誰の目にも分かる。その意味において、ユーフォの音色と彼女の息づかいで奏でられるやわらかな旋律のこの独奏曲は、劇中に登場した新曲であるという以上に、大きな意味を持つことになるだろう。例えば第一回のプロローグの劇伴が物語るように…。早くサントラ出してくださいお願いします。





一方、「特別になりたい」麗奈は、滝先生への恋心をコントロールするのが大変なようである。その滝先生の過去がさらりと明かされるのが、冒頭でも述べた通り1期の伏線をあっさり回収してしまう2期の極端なところではあるのだけど…(麗奈のカットはどれもウェットすぎるので引用しません(笑))。


んで今回の個人的な見どころ。「京アニの作画力を信じろ」という画像つきツイートが回ってきていたけど、やっぱり自分は静止画だけじゃなくこういう動画にも見とれてしまう。念のため目立つ部分を抜粋しておく。これをコマ送りしなくても把握できるようになれば、おまえも立派なアニメオタクだ…(後藤先輩の声で)。






さて、物語は2泊3日の合宿の日程を終えて関西大会まで残り1週間あまり。第三回までの濃密な展開は、この切迫感をメタ的に表現しているとも言える。大イベントを間近に控えているので、1期で回収された、また、2期で新しく張り巡らされた伏線を、第四回を見る前に復習するにはちょうどいいタイミングだと思う。10回通して見ろとは言わないから。



そして、次の曲が始まるのです。