2017/01/22

「響け!ユーフォニアム2」深読み:第十二回

前回「やっと自分の中で落としどころが見つかった気がする」とか書いときながら再び筆が止まった理由は、皆さんご想像の通り。とにかく第十二回「さいごのコンクール」は解釈が難しいというのが正直なところ。放映が終わって1ヶ月も経っているのに。





さて本題。「2」のTV放送が始まってすぐに「これはヤバい」と直感したのは、OPの演奏シーン。


この「肩につけた赤いリボン」が「機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編」の「ガンキャノンの機体番号」に重なってしまって、「ああ、最後はああいう特別なのをきっと見られるんだ」と勝手に思い込んでた。オールドタイプのオタクってキモいねえ…




で、待望していた全国大会の様子が描かれる今回の放映が終わったあとに呆然としながら何度もリピートして辿り着いたとりあえずの結論は、「これは京アニのシリーズものならではの力業だなあ」というもの。なんせ、あれだけ執拗に描き続けてきた演奏シーンがほぼ完全に省かれているのだから。

じゃあなぜ描かなかったのよ、ということになるんだが、構成や工数や尺の都合といった現実的なものの他に、もうひとつ重要な理由がある。それは、

「2015年度の北宇治高校吹奏楽部の最高のパフォーマンスと呼べるのは全国大会のそれではなかった」から。

これは原作小説を読めば誰でも感じることができるし、先日発売されたサウンドトラック「おんがくエンドレス」でも演奏者レベルで違いが仕込まれていることがネタバレされてるからもう書いてしまうけど、ハイテンションで一気に駆け抜けた関西大会での演奏が神がかったものだったので(だから「きせきのハーモニー」というサブタイトルがついてる)、いくら全国大会とは言え「銅」の演奏を描くのはさすがに難しかったのかもしれない。その代わりに描かれたのが、麗奈のこのカット。第1期第一回冒頭と同じつま先の芝居、第2期第五回で印象的だった上下2分割の構図と、劇伴が第1期の重要なシーンで必ずと言っていいほど使われていたTr.19「意識の萌芽」であることに注意(ちなみに「意識の萌芽」は「2」では今回のここだけに用いられた)。





だけども、これを視聴者全員が読み取れるかというのはやはり疑問が残る。「2」の特に後半の主題が久美子を中心とした人間関係に移ったのは明白だけれども、それでも「ユーフォ」の魅力のひとつは緻密に描かれた吹奏楽の演奏シーンなわけで、それを見せないというのは大胆と言うか何と言うか…まあ、このあたりの意図は最終回でハッキリするので、シリーズものは全体を通して見ないと評価が難しいというのを、あらためて痛感している。





以降はいつものように思ったことをつらつらと。

今回はとにかく「第1期っぽい」モノや手足のアップ、マンガっぽい表情等の記号的表現が目立つ。前回指摘した「過去への回帰」は、絵でも劇伴でもより明確化している。北宇治カルテットがトランプをしてるシーンのTr.12「等身大の日々」もおそらくこの回だけ。Tr.26「微かな光」とTr.11「一歩ずつ前へ」、Tr.17「運命の流れ」はどうだったっけ。それにしてもサファイア川島は愛されてるなあ…








秀一がマジックテープ式の財布(笑)から取り出したプレゼント、この粗雑さがいかにもボンクラ高校生っぽいけど、それを素直に喜ぶ久美子もまた初々しい。そしてイタリアンホワイト被害者の会メンバーがまた増える…



3年生カルテット(とあえて言ってしまうけど)が揃っていい顔つきしてるのが、とても印象深い。喫茶店には葵ちゃんも合流したんじゃないかなあ。





んで、コンクールが好きになったみぞれ先輩は何だかとても楽しそう。グータッチはたぶん夏希先輩から教わったんだろう。このへんの、自分が満足できれば結果はあまり関係ないっぽいところが、他の部員とは明らかに違うところ。



演奏直前にカットインされる3人。手の主は誰とは言わないけど、もちろんあの人。とりあえずダークスーツを着て審査用紙を自作すれば、ワタシもコスプレできるよな?年齢的にこれくらいしかできないよな?な?(笑)




あすか先輩が晴香部長と香織先輩に抱きつくこのシーンの、肩から上だけで体重を感じさせる、この構図、この動き…1コマずつ切り出して壁一面に貼り出して飾っておきたい…




指揮者賞贈呈で想い余って告っちゃう麗奈は第十一回であそこまでの突飛な行動に走るような女の子だから久美子や我々は素直にそう受け止めるけど、他の部員はそりゃびっくりするわなあ…でも最初はまだ勘違いされてるところがやっぱり面白い(笑)


そして麗奈の好きですという言葉が本気であることが滝先生以外には思い切り伝わってしまうこのシーン、麗奈はいい先輩を持ったよねえ…ガッツポーズで励ます香織先輩マジエンジェル。




「よくここまで続けてきたね、美しい音色だったよ」。たったこれだけの言葉で、あすか先輩は報われたんだろうか。そう信じたい。ちなみにこのシーンからTr.29「去来する想い」が流れる。


部長と副部長の最後の役目を果たすふたり。あくまで凛々しく厳しいあすか先輩とは対照的な、泣き虫に結局は戻ってしまう晴香部長がいじらしくていじらしくて…早見沙織さんの喋ってるんだか泣いてるんだか分からなくなる演技がもうゴールド金賞。



麻美子ねえちゃんの姿を見つけて駆け出す久美子。唖然とする周囲をよそにやさしく見守る秀一の微笑みが、何というかもうね…高一男子はもっとボンクラだろうが!(笑)



久美子がいかにも京アニっぽい顔をしてる貴重なカットと、『映画「聲の形」』の硝子ちゃんを思い起こさせる麻美子ねえちゃんが振り向く姿。誰が描いたんだろう?



んで、やっぱり似た者姉妹。もうケンカすることはないかもしれない。






…これでも引用する場面を厳選したつもりなんだが…あらためて振り返ってみると、絵コンテ:山田尚子&三好一郎、演出:三好一郎という組み合わせの凄まじさを見せつけられて圧倒された気分になってる。とにもかくにも、あと1回を残すのみである。



そして、次の曲が始まるのです。