For short, " I. M. G. D. "
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2016/02/04

Going 20 to zero

少々思うところがあって、長年連れ添った我が愛車・トヨタMR2(型式番号SW20の通称V型)を手放した。以下、その理由などをつれづれとメモしておく。
このクルマを新車で購入したのが1999年1月だから、ワタシの手元にあったのは延べ17年間にもおよんだ。当初は生涯にわたって乗るつもりでいたので、今回手放すにあたって実は年単位で悩んでいたことを最初に告白しておく。何せ長いこと乗っていたものだから、まるで自分の手足の延長のように身体になじんでいたからだ。
手放した理由は半分が用途の不明瞭化、半分が維持の負担増である。このクルマが見た目の通りスポーツカーあるいはGT(グランツーリスモ)であってサーキット走行や長距離高速ドライブでこそ真価を発揮する、要は思い切りスピードを出して走らせ続けないと意味がないタイプの車種でありながら、近年はそういう使い方をほとんどせず、そもそも体調不良に伴って稼働時間が激減して宝の持ち腐れになってしまっていたことが本当に心苦しかった。また、車検費用・自動車税・任意保険の3点セットは必要経費として割り切っていたものの、17年もののクルマのどこが今後壊れてその場合どれくらいの費用がかさむかを想像すると(特にフレーム周りやエンジンマウントやラジエーター等の普通は外から見えない部分)、負担は明らかに増大することが予想できた。正直ここまでノートラブルで走れてきたほうがおかしかったのだ。
さて手放すのを決断してそのまま廃車…というのも、古いとはいえまだまだ走れる現状のコンディションから考えても長いこと維持してきた心情的にももったいないと思ったので、いくつかの中古車査定業者に車両を見せて話を聞いてみることにした。大手チェーン店などは手慣れたもので、車両の写真をiPadでちゃっちゃっと撮影して本部と通信しながら、現在のオークション価格はいくらです今この場で決断してくれたらいくら上乗せして引き取りますと迫ってくる。他の業者も大同小異であったが、小さなお店や若い担当者ほど口を揃えてきれいですね個人的には手放さない方がいいと思いますよ等と言ってくれたので、ちょっとだけ救われた気分になった。
結局6〜7つくらいの業者と話をしただろうか、17年ものにしては意外といい額がつくなあと感心しながら、以前雑誌で見かけたこのクルマの専門店を思い出したのでダメ元で問い合わせてみることにした。お店の方いわく、すぐには見に行けないので写真を送ってくれとのことだったので、駐車場で適当にパラパラと撮って送ってみた。するとさっそく電話が来て、このクルマの細かなディテール…ドアの内張りの違い、Tバールーフ、V型限定のベージュマイカメタリックという車体色や同じくV型限定仕様の自然吸気エンジン(ヘッドカバーが赤い。テスタロッサ!)などについて思い切り話の花が咲いてしまった。さすが専門店を名乗るだけのことはある。
で、結局その専門店の方が写真を見て雑談をしただけで最低でも他の業者よりずっと良い額で引き取りますよと仰るものだから、ここなら適当にカーオークション相場に流しておしまいみたいなひどい扱いはされないだろうと確信して、クルマを預けることにした。順調にいけば、専門店ならではの入念な整備を施してリフレッシュされたこの車体が、春頃にそこの店頭へ並ぶことになるだろう。願わくば、このクルマにワタシが込めた様々な想いが次のオーナーへ届くことを祈る。
去年の春、このクルマで伊豆半島を一周したとき、ワタシがあこがれた20世紀の日本のモータリゼーションあるいはクルマ生活の姿が、21世紀に至りほとんど消滅したことを実感した。現在このようなクルマは新車中古含め世の中から激減してしまったが、もし次に乗るとしたら、21世紀なりの答を自分で模索できそうな車種にするかもしれない。2人しか乗れずエンジンが車体の真ん中に据えてあるクルマなぞ、もう巡り会う機会はほとんどないだろうが。

17年間、無事に走り抜けられたことに感謝したい。
「さよなら僕のヒーロー、またいつか」