アナログプレーヤーを復活させた話の続き。アンプを
A-5VL(S)に新調した。この機種にした最大の理由は某オークションで格安の即決価格で出品されていたからだが(笑)、オーディオ周りをデジタル化して、その上でできればPC内の音楽ファイルをデジタル伝送して再生できるDAC内蔵タイプが欲しかったというのもある。懸案のPHONO入力もMM/MCに対応しているなど、基本をおろそかにしていない点も好評価につながった。
それはさておき、レコードプレーヤーを繋いで音出しをしてみる。…変だ。がさついたノイズが乗る。不思議に思ってマニュアルを読み直し、どうやら基本的な勘違いをしていたようでアナログプレーヤーのセッティングを一からやり直し、やっとまともな音が出るようになった。で、サンスイのアンプとの落差に愕然とする。よく言えばプレーンでフラット、悪く言えば味も素っ気もないミネラルウォーターみたいな音が出てきた。これはアナログ・デジタルの二元論では恐らくない。オーディオ愛にあふれた設計者の思想を、物量を惜しみなく投入して実現化した20世紀の機械と、CADと最適化が支配する、21世紀のものづくりのポリシーの違いと言っていいだろう。これは良い悪いの世界ではない。オーディオが工業製品である以上、時代の要請に応えるのが技術者の使命だからだ。
だが自分の好みとの乖離とは話が別である。あまりにも情緒に欠けるような鳴り方をするので捨てようと思ったくらい(笑)。もちろんそれは冗談だが、とにかく使いこなすため覚悟を決め、まずは慣らしをやり直すことにした。すなわち電源を入れっぱなしにして数日放置し、逐一音質の変化をチェックしていくのだ。
慣らし開始から3日ほど経過し、仕事から帰ってきて同じ音源を再生して、音質に明らかな変化が見られるようになった。フラットな感触は相変わらずだが柔らかみと厚みが増し、「音楽が聴こえてくるようになった」。これなら人に聴かせられるかも知れない。というわけで当面は慣らしを続行しつつ、耳の超えた友人に聴いてもらって率直な感想をもらい、客観的な評価を下す。いまの雰囲気なら、たぶんいい方向に進んでくれると予想している。
余談だが、試聴および音質チェックは、エハミックさんのLP「to-kyo」で行っている。自分にとって既に宝物のひとつになった。本音を言えば、どこかの試聴室に持ち込んでオーディオ評論家の皆様に聴かせて差し上げたいくらい(笑)。