本論を進める前に、ちょっと寄り道をしましょう。男性アイドルについては、ここでしか取り上げません。
キャンディーズを「海外の女性ポップスグループの翻案」とあっさり書きましたが、これは何も女性に限りません。むしろ、戦後の芸能界、いや文化と呼ばれるものの大半は、海外、特にアメリカの流行を我田引水、換骨奪胎したものでしょう。細かい検証は省きますが(えー?という声はスルーして)、音楽に限っても、クラシック、ジャズ、ロカビリー、グループサウンズ、フォーク、ロック等のブームは、アメリカでの流行を無視できません。それを可能としたのは、米軍基地に出入りしてバーのバンドマンをやったり、ラジオにかじりついてFENをリアルタイムで聴いていたような、アーリーアダプター層です。彼ら彼女たちが、「海外にいる手の届かない奴より、日本にいる人間の方がいいでしょ」と用意したのが、例えば平尾昌晃であったりタイガーズであったりしたわけです。このメソッドは「金のなる木」として、ある特定の年代…いわゆる団塊には、強烈に刷り込まれているはずです。でなければ、「全米で大ヒット」的なコピーが、未だに採用される理由が説明できません。ちなみにこの「距離を詰める」構図は、実はAKB48とほとんど同じです。歴史は繰り返すと言いますが…。
閑話休題。このように仕組まれた流行ですが、フォーク末期に活躍した、あるいは日本語によるロックを開拓した人たちによって、日本的な解釈が加わり新しい価値を生み出します。それを人々は、ニューミュージックと呼びました。フォークほど閉鎖的でなく、ロックほど求道者的でない、ポピュラーな存在。ジャズ・フュージョンの流れも受け入れて、これは幅広い支持を受けました。なおこの背景には、超実力派のミュージシャンが巷にあふれていたことを付け加えておきます。
さて、ニューミュージックは最終的に何を生み出したか。ここでも2つの存在を挙げます。ひとつは、はっぴいえんど。メンツを見て驚かない奴は、以降これを読む必要はありません。逆に、はっぴいえんどはニューミュージックじゃないじゃんという意見は正しい。ここでは、彼らを音楽の作り手、職業音楽家の集団と捉えてください。彼らとその友人たちは、ニューミュージック以降の日本の音楽を作り出す担い手として、現在まで君臨し続けています。じゃあもうひとりは誰よという話ですが、予想できましたか?はい、そうです、荒井由実=松任谷由実、ユーミンです。浮世離れしたとも形容できる、洗練された曲調と歌詞は、この時代においても天才的でした。この方々は、次の話に重要な役割を果たしますので、憶えておいてください。
余談ですが、もうひとつの流れは現在も脈々と受け継がれています。すなわち、ジャニーズ。男性ボーカロイドの数が揃わないのは、ジャニーズが機能していて女性の煩悩を少なからず受け止め続けているからです。
今日はここまで。次回をお楽しみに。