For short, " I. M. G. D. "
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2024/10/10

めんどくさいアニメおじさんが宝塚版ベルばらを見て激しく衝撃を受けた話 〜 宝塚歌劇雪組公演「ベルサイユのばら」にまつわるあれこれ

宝塚版シティーハンターから始まって宝塚歌劇を既に何度か見て、その度にすげえものを見たと思って帰ってくるわけだが、今回はあの「ベルサイユのばら」、通称ベルばらである。少女マンガとアニメの双方においての金字塔であり、宝塚と聞いて真っ先に思い浮かべるあれを、運良く見ることができた。

結論から先に書く。

頭を殴られたような衝撃を受けた。ものすごかった。素晴らしかった。

この調子で続けるとそれだけで終わるので、もう少し噛み砕いて、何がワタシにとってそれほどの衝撃だったのかを、つれづれに記しておく。

(画像は宝塚歌劇公式ページよりお借りしました) 

2024/09/23

モノと精霊と修理技術 〜 中国アニメ「傘少女」レビュー(ネタバレあり)

かなり良い中国アニメが1週間限定で上映されるとSNS上で見かけ、それがたまたま通勤圏内の映画館だったし、なにより「羅小黒戦記」で食らった衝撃を忘れることはできないので、映画『傘少女 ー精霊たちの物語ー』を見てきた。

いかにも中国アニメと思わせるプロローグからタイトルが表示され、その後に続く最初の1カットめから、ワタシはものすごくびっくりして、そのまま物語に没入して約2時間の映画を見終わった。一言で表せば「言葉以外は何の抵抗もなくスルッと受け入れられるアニメ映画」。「羅小黒戦記」をワタシは特異点だと今でも考えているけれど、「傘少女」は日本語で吹替版を見せられたら日本製の上質なアニメと区別がつけられないアベレージを叩き出す、中国アニメ業界の底上げを象徴するような作品だと思う。以下、ネタバレ含めていつも通り思うところをつらつらと書く。


「時代」を描いてこそ「時代劇」である 〜 映画「侍タイムスリッパー」レビュー(ネタバレあり)

ぼんやり眺めるSNSのTL上に「侍タイムスリッパー」という映画のタイトルを確認したのは、8月のどこかだったと記憶している。それを何となく覚えていたら、話題が話題を呼んだらしく9月中旬くらいから全国拡大ロードショーになったので、「こういう作品はとにかく早く見ておくべし」という期待半分・邪心半分で見に行ったのが、新宿ピカデリーの9/16の午前中の回。

そして見終わった直後の感想が、ワタシにとってこの映画の全てで、これ以上は話すことがありません。



…これだけだとブログ記事を書く理由にならんので、きちんとレビューの体裁を整えて(何事も作法は大切)、なぜこの映画が2024年の個人的ベストに近いと考えているのかを述べる。

2024/08/31

トツ子のトツは突進のトツ 〜「きみの色」「Garden of Remembrance」のレビュー的な何か(ネタバレあり)

2024/08/30に公開日が決定した翌日に有給休暇申請を出して、1日かけて異なる映画館で複数回見る「リズと青い鳥」メソッドを行使して山田尚子監督の最新作「きみの色」を見て、その途中で同日に配信が開始された同監督作の短編「Garden of Remembrance」(以下 GoR と表記)を見た。

このふたつの作品は山田尚子監督が京都アニメーションから離れてフリーとして手がけたもので、受け皿となった会社がサイエンスSARUで同一、企画立ち上げから製作期間はかなり重複していて、(そしてここからが重要だが)扱っているテーマやモチーフに共通点がたくさん見受けられるので、今回は異例ながら両作品について同時に書いていくことにする。あまりやったことがないアプローチなので途中で散漫になるかもしれない。あらかじめお詫びしておく。

2024/09/10追記:平ハウス物語主催、北宇治高校DJ部の幹部、ユーフォ3感想スペースおよび「きみの色」公開記念感想スペース3days主催のみらぼさんによる「きみの色」感想noteが、こういう文脈(この記事の後ろのほうで少し触れてるけど)をあまり知らない自分からするととても刺激的だったので、あわせてお読みください

2024/07/21

BufferからXとMastodon/Blueskyにクロスポストする

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Tampermonkeyとユーザースクリプト(twitter-to-bsky)を用いてX/Mastodon/Blueskyにクロスポストする話の続き。これから紹介する方法は、投稿だけなら使い勝手や安定性など含めて一番使いやすいんじゃないでしょうか。

単にBufferBlueskyに対応してくれただけなんですけどね(ワタシはベータテスト参加者なので正式対応はまだかも)

2024/07/04

「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:最終回 #ユーフォ3期

2024年4月から数えて3ヶ月、きっちりスケジュール通りに全十三回を放送して、ついにこの足掛け9年にわたる物語が終わりを迎えるときが来ました。

これだけの時間を一緒に過ごした分、どうしても自分語りしたくなるんですが、それは後回しにします。とにかくこの、ユーフォシリーズという大河青春アニメの終幕として、これ以上ないほど潔い最終回だったと思います。

この最終回のサブタイトルは「つながるメロディ」ですが、ワタシは「きたうじクロニクル」または「くみこクロニクル」でもあったよなあ、と考えています。ユーフォ3には劇中の時間経過のほかに、リアルの我々が経験してきたここ数年の思いが重なっていると強く感じられるのは、前回述べた通りです。そのあたりを含めつつ、お話を追っていきましょう。


2024/06/24

「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:第十二回 #ユーフォ3期

せっかくブラインドテストやるんだったら、久美子と黒江真由はチューバくんの着ぐるみを着たり完熟マンゴーと書かれたダンボールをかぶったりして出てきてほしかったです。




せめて最初くらい、この程度の冗談は言わせてください。響け!ユーフォニアム3 第十二回「さいごのソリスト」は、2024年の今だからこそこのようになった、私たちはそれを目撃できたことを、この先ずっと忘れることはないでしょう。その理由を、1日ほど経過して自分としてある程度は整理できた気がするので、これから述べます。

2024/06/23

「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:第十一回 #ユーフォ3期

思ったことを口に出して言ってしまう、我らが失言王たる黄前久美子がまたもやブチかましてくれました。

「変ですよね、学校の吹奏楽って」

リアルな吹奏楽の世界では一種の禁句めいた話題らしいところまで切り込んでくるあたり、ユーフォ3の覚悟の程が再確認できます。

それはともかく久美子の進路や麗奈との関係、そして黒江真由とのわだかまりが相変わらず続いている様子が描かれているのが今回です。途中から別のアニメみたいな見た目になりますけどね。


「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:第十回 #ユーフォ3期

3ヶ月にわたる放送が終盤に来てさらに重みを増して、それをどう自分なりに消化してテキストとして残せばいいかを考えてたら数週間が経過してました。難関である関西大会を前に北宇治高校吹奏楽部とその部長でひとりのユーフォニアム奏者でもある黄前久美子という人物に「史上最大の危機」が訪れたのが前回までの話で、この状況をどう打開していくかというのが今回の肝です。ワタシは久美子部長の「誰ひとり途中で止めることなく全国で金を取る」という目標が自分勝手だと思っていましたが、それが実は今後を示唆する重要な価値観であるのかもと気づいた、というのは前回述べました。ただそれを成し遂げるために求められる条件がいくつかあります。具体的には
  • 客観的に上手い
  • 中長期的なビジョンを持っている
  • 強いリーダーシップを発揮できる

あたりでしょうか。久美子の演奏技術は黒江真由と同等でどちらも上手い、と劇中で語られています。また、本人はあまり明言していませんが途中で脱落者を出さず結果を求めるというビジョンめいた価値観もあります。残ったのはリーダーシップ、あなたは部長としてふさわしい指導力があるのか、皆を導いていけるのかという点ですが、麗奈から「部長失格」の烙印を押されてしまったので、否応なしにそこへ向き合わざるを得なくなる、はずなんですけど…

「ギリギリにならないと動かないのはいつものこと」

と赤メガネの誰かさんに喝破されるあたり、まだまだ自覚が足りないようで、困ったものです。


2024/06/06

「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:第九回 #ユーフォ3期

2024年6月2日、宇治文化センター大ホールでの公式イベントが行われて、その会場でNHKでご覧になっている皆さんとほぼ同じ時間でこの回を見るという、冷静に考えてみればウルトラレアな体験をしました。

「九」というのは「序破急」の"きゅう"とダブルミーニングなのかもしれん

と、「響け!ユーフォニアム」というアニメシリーズの終わりではないか、と、漠然と思いました。

これは今回のタイトルにある「ちぐはぐ」どころではなく
「北宇治高校吹奏楽部史上最大の危機」を見せられている

そんなふうにも感じました。

その後のキャストの皆さんの始終明るげで軽妙なトークや大爆笑のゲームコーナー、その爆笑ネタをアドリブでぶっこんだであろう朗読劇、やや拍子抜けだった各種発表を経て大ホールを出たところで、当日の天気がコロコロ変わって一時はどしゃ降りになった宇治の山並みに沈む夕陽が、今まで見たことのないくらい真っ赤だったのは、今どきのスマートフォンのカメラによる誇張だけではなかったように思います。