For short, " I. M. G. D. "
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2017/01/30

「響け!ユーフォニアム2」深読み:最終回

放映を終了して約1ヶ月が経過した「ユーフォ2」の最終回「はるさきエピローグ」について。「2」が始まってから考え続けてきたことを中心に、できるだけ整理してみたい。

それでは始めよう。

2017/01/22

「響け!ユーフォニアム2」深読み:第十二回

前回「やっと自分の中で落としどころが見つかった気がする」とか書いときながら再び筆が止まった理由は、皆さんご想像の通り。とにかく第十二回「さいごのコンクール」は解釈が難しいというのが正直なところ。放映が終わって1ヶ月も経っているのに。

2017/01/13

「響け!ユーフォニアム2」深読み:第十一回

2016年末に終了した「響け!ユーフォニアム2」を10月から毎週ほぼリアルタイムで追いかけてはキモい感じであれこれ語ってきたこの記事、自分の(想定外の)引越しが重なってラスト3回分を書く余裕が無く放置して(しかしそのあいだ「ポッピンQ」を見に行ってたりして)いたのだが、2017年を迎え新作TVシリーズが放映される時期になってやっと自分の中で落としどころが見つかった気がするので、ぼちぼちまとめようと思う。当然、ネタバレとか原作小説への言及とか気にせずにいくので読まれる方はそのつもりでいてください。

2017/01/02

ドラッグムービーとしての『映画「聲の形」』〜シネマシティ字幕付き極上音響上映を見て

以前この記事
"…ところでシネマシティさん、上映するなら何が何でも行きますよ?"
などと書いたら本当に実現したので、二つ返事で立川はシネマシティの『映画「聲の形」』極上音響上映を見てきた。

シネマシティの名を全国に轟かせることになった「極上爆音上映」は、もう説明不要だろうか。狂気の沙汰としか言えない規格外のサブウーファーを劇場に持ち込み同じく規格外のラインアレイスピーカーをスクリーンの両脇に吊るして放たれるその超絶な音響でもって「映画はどこで見ても同じ」という一般人の常識を吹き飛ばし、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」では多くのウォーボーイズ&ガールズをヴァルハラへと導いて「ガールズ&パンツァー 劇場版」ではリピーターとなるガルパンおじさんが続出して今なおロングラン上映が止められないアレ、である。

しかし上記の設備を誇るシネマシティのシネマ・ツー a studioの真価は、「極上爆音上映」ではなく「極上音響上映」でこそ発揮される。これは別にワタシの私見ではなく、シネマシティの中の人がそう言っていることである。ソースは見つけられなかったが確か「劇場版 響け!ユーフォニアム」の「極上音響上映」を予告する際のツイートではなかったか。その劇場版ユーフォの定位と解像度とダイナミックレンジのすさまじさが、ワタシはもちろんガチな音楽関係者さえ打ちのめした事例をいくつか知っている…そのシネマシティが山田尚子監督いわく「音にこだわった」という「聲の形」をa studioでやる、しかも今回は鶴岡音響監督だけではなく山田監督と音楽担当の牛尾憲輔氏の3名が調整に関わるとのことで、もう川崎のチネチッタとの比較うんぬん抜きにして期待度120%で4回目の視聴を体験しに出かけたわけである。

んで見終わった後、自分でも驚くくらい過去最高の勢いで泣いていた。だがそれはエモーショナルなストーリーのせいではなく、音響によって感情を直接揺さぶられたためである。

チネチッタのLIVE ZOUND上映を体験した際に、この映画は然るべき音響設備によって表層をめくるとインスタレーション的な視聴覚体験が味わえる現代芸術風味を備えていると指摘した(つもり)。それが「極上音響上映」では、もっとダイレクトな形で現れたと思った。はっきり言ってしまうと、「聲の形」に込められたあらゆる音が直接脳内と身体に注入されて、激しくシェイクされる感覚があった。特に効いたのが、牛尾憲輔氏による音楽に含まれる環境音やノイズ。映画館がときにはまるでピアノの内部に丸ごと飛び込んだようになり、ときには椅子から流れ込んでくる電流の火花が耳の奥でチリチリと鳴っているように錯覚する。ああこれは劇場という真っ暗闇の空間で五感を遮断された上で体験を強制的に上書きされているんだ、たぶん現在では違法なドラッグとかキメなきゃ味わえないやつだ、と、ボロボロ涙を流しながら思った。aikoのテーマソングが最後に流れなかったら戻ってこれなくなりそうな気さえしたほどに。

『映画「聲の形」』は、そのエモーショナルな表層…設定やストーリーやキャラクターデザインや作画のクオリティ等でもって、いわゆる感動ものアニメにカテゴライズされるのは仕方のないことだと思う。だがシネマシティの「極上音響上映」では、その奥に潜んでいる制作者のエゴがむきだしになる。この映画で、山田尚子監督と鶴岡音響監督と牛尾憲輔氏が「何を描きたかったか」ではなく「何を成したのか」を知りたければ、シネマシティへ行くといい。そこではアニメとも映画とも現代芸術とも違う何かを確実に味わえるはずだから。そして映画館を出て立川の街並みの明かりと人々のざわめきを感じた瞬間に、あなたは将也と同じ涙を流すはずである。

たった千数百円で錆びた五感を合法的にリセットできる映像作品。それがシネマシティの「極上音響上映」で明らかになった、『映画「聲の形」』の真の姿である。