16年落ち・走行距離14万km超の中古の軽自動車、2006年式スズキKeiワークス(HN22S型)の2WD・MT版を買ったのが1ヶ月とちょっと前、あれこれと手を加えては都度Twitterに報告していたが、購入当初に予定していたモデファイがだいたい落ち着いたので中間報告と、いじっているうちに気になったことを書く。
- 灰皿をスズキMRワゴンの純正オプション品であるドリンクホルダーに交換。取り付けには少々加工が必要らしいが、ワタシの個体ではあっさり取り付けられた。ただし構造的にグニャグニャしていて不安定なのは避けられず、また、スマートフォン置き場にすると下から抜け落ちてしまうので、100円ショップでクッションつきコードフックを買ってきて少々加工して貼り付けた。これだと飲みもの類を置くのに邪魔にならず、コードフック部がスマートフォンをうまく受け止めてくれて、引っ掛かりなく収納できる。
- ボロボロだった純正ステアリングを、スズキ初代ラパンSS初期型の純正かオプション装備だったらしいMOMOステアリングに交換。社外品でも良かったけど、そこだけ気合いを入れても他をいじる予定ないしなあということで程度の良さげなのを某オークションで購入、取り付けにかかったところでいくつかの問題が発生し、解決に数週間かかった。例えば、取り付けが終わってエアバッグ暴発防止のために取り外したバッテリーのアース端子を繋いだ瞬間にクラクションが鳴りっぱなしになるとか(理由は後述)。素直にKei純正の程度のいいものを気長に探すか、社外品へ替えるべきだったかもしれない。
- フォグランプのバルブをヘッドライトと同じメーカーの同じケルビン数のものに交換。これは単純に色温度が違ってるのが個人的にイヤなだけだったので、別にやらなくてもよかった。というかKeiの場合、フォグランプバルブの交換は車両を高くジャッキアップするかフロントバンパー(とは名ばかりのプラスチックの一枚板)を丸ごと外す必要があり、バンパーの取り外しにはプラスチック製クリップとネジを何ヶ所か外して外装をバキバキとめくるため、古い個体には何かとストレスがかかる(後述)。なおバルブはH3a規格だが現状ではほぼ絶滅しているため、H3バルブの切り欠き部分をヤスリで削って少々広げて取り付けた。
- ウインカー点滅用のリレーを電子式のものに交換。電球をLEDに交換すると抵抗値の減少によりウインカーが激しく点滅する通称ハイフラッシャー化を防ぐ常套手段のひとつで、ワタシが入手したものはつまみで点滅間隔を調整できる。取り外した純正リレー(青い矢印の先の黒い箱)は念のため元の位置へ戻して、電子式リレーはコンソール下までケーブルを伸ばして、先ほどのつまみへ手が届くようにした。
- ポジションランプやブレーキランプもLED化したらABS警告灯が点灯しっぱなしになったので、抵抗を並列接続して対処。古いクルマの灯火類をLED化するとこういった警告灯が点くのはよくある話だが、それをキャンセルするために抵抗をかますのは電流を無駄に消費させることに他ならず全く不本意ではある。しかし警告灯ひとつを消すために大工事する気にはならんので、これで良しとする。
- ヒューズボックスから増設シガーソケット用電源を取り出し。現代のクルマはドライブレコーダーなど電装品が増える一方なので、ソケットを増やすのは当初から考えていた。アクセサリー(ACC)電源とアースさえ取れればどこでも良かったんだが、今回はヒューズボックスのシガーライターのヒューズを抜いて分岐させる方法を取った。なおアースは前席右足元のカーペットをめくるとしっかりしたポイントがある。オーディオなどに凝る場合はアースを取る位置でノイズが変化することがあったので、状況を見ながら場所を決めるとよい、
- 運転席と助手席のシートレールをスズキ初代ラパンSSの純正シートのものに交換。Keiワークスは元の車体がSUV的なので座面もそれに合わせて高めなんだが、どうにも落ち着かないので、定番の手法らしい上記のシートレール交換となった。座面の高さ調整機能は無くなったけど着座位置は3〜4cmほど下がり、シフト操作がやりやすくなったのが最大の収穫。それと前席が低くなったぶん、後席の圧迫感が少し和らいだかもしれない。
- シートレール交換に合わせて、シートを分解して丸洗い後に乾燥させて、また、シートを取り外した後の床面カーペットを重曹の溶液で洗浄した。購入当初から悩まされていた最大の問題である車内の臭いがかなり軽減されたので、いずれ後席も取り外して丸洗いし、他の床面カーペットや天井なども今回導入したリンサークリーナーと蓄圧スプレーで重曹溶液洗浄しようと思う。
- リアの死角確認用ミラーを増設。2020年代の新車ならほぼ確実に装着されているバックカメラと警告センサー類など当然なく、また、車高に対してリアガラスが小さいので、用心のために室内設置タイプを貼りつけた。下記の写真でミラーにリアワイパーが歪んで映っていて、後部の死角が何とか目視できることが分かる。ただやはり限界があるので、バックカメラが必須装備になった理由がよく分かる。
- シートの座面位置が下がったのに合わせて、ステアリング位置を調整。具体的には、固定されているステアリングコラムを全体的にいったん緩めてスペーサーを挟んで角度をつけて再固定するという手順なんだが、場所が場所だけに手と工具が思うように突っ込めず時間がかかった。比較写真など撮るひまが無かったが、実感として2cmほど下がったようなので、一般的な運転姿勢に近づいたような気がする。
残りはリアスピーカーの増設くらいだが、その前にどうしても書いておきたいことがある。
以前乗っていたMR2は、購入当初から屋根つき駐車場を借りられる頃まで、自動車用カバーをかぶせていた。目的は太陽光線による内装の劣化と塗装面の痛みの防止だったんだが、今回のKeiワークスで、以前の方針、つまりクルマやバイクはできるだけ直射日光に当てないようにするというのが正しかったと実感している。
先に書いた、ステアリングを交換したらクラクションが鳴りっぱなしになった原因は、ステアリング内部のスイッチを絶縁している樹脂製のワッシャー類が劣化してボロボロになり欠け落ちた結果、常に通電状態になっていたことだった。分解して適当な絶縁ワッシャーをかませて解決させたが、外装部品ならともかく&いくら軽自動車とは言え内装部品がここまで簡単に劣化して役に立たなくなるものかと、あらためて思った。
外装類の劣化は当然ながらもっと深刻で、買った時点で終わっていた天井の塗装、黄ばみは免れていたものの曇りが出ている樹脂製ヘッドランプ、赤色が抜け落ちたエンブレム等、もし気になったら全塗装したうえで状態のよい部品に交換するべきところだが、生産終了から既に10年以上経過している軽自動車の純正部品は、思っていたより在庫が少ないためかオークション等で見かけることが少ない。そして外装などを固定するプラスチック製クリップなどは、外したそばから折れて用をなさなくなってしまうので再利用せず新品に交換したほうがいいと思うが、土台が朽ちている可能性もあるので、触らず放っておくのが最適かもしれんと思いながら作業していた。
世の中の流れ的には内燃機関で動くクルマは淘汰されて電気自動車へ置き換わろうとしている。電気自動車化推進のお題目は電気で走るので二酸化炭素を出さず境にやさしいということだが、エンジンをモーターに、燃料をバッテリーに替えただけで、その他の部品がこのように太陽光線や熱で簡単に劣化するままなら、全体としての環境負荷は内燃機関と大差ないんじゃないだろうか。そもそもiPhoneが警告を発し使えなくなるこの炎天下で、電気自動車のバッテリーとモーターとそれらの制御系がいつエラーを吐いて動かなくなるか分からないし、早ければ数年でバッテリーから劣化するのは、iPhoneを日々触っている我々がいちばん理解しているはずである。
なのでこれからは、樹脂類の部品とバッテリーの劣化サイクルを考慮して、スマートフォンと同じくらいの頻度でクルマやバイクを買い替えたほうがよいように思う。所有して上記の各項目のように好き勝手にいじることも各種電子デバイス充実の副作用で難しくなってきたので、リースやサブスクリプションで次々に新モデルを乗り継ぐのも、こういう視点なら合理的かもしれない。