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2024/07/04

「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:最終回 #ユーフォ3期

2024年4月から数えて3ヶ月、きっちりスケジュール通りに全十三回を放送して、ついにこの足掛け9年にわたる物語が終わりを迎えるときが来ました。

これだけの時間を一緒に過ごした分、どうしても自分語りしたくなるんですが、それは後回しにします。とにかくこの、ユーフォシリーズという大河青春アニメの終幕として、これ以上ないほど潔い最終回だったと思います。

この最終回のサブタイトルは「つながるメロディ」ですが、ワタシは「きたうじクロニクル」または「くみこクロニクル」でもあったよなあ、と考えています。ユーフォ3には劇中の時間経過のほかに、リアルの我々が経験してきたここ数年の思いが重なっていると強く感じられるのは、前回述べた通りです。そのあたりを含めつつ、お話を追っていきましょう。


2024/06/24

「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:第十二回 #ユーフォ3期

せっかくブラインドテストやるんだったら、久美子と黒江真由はチューバくんの着ぐるみを着たり完熟マンゴーと書かれたダンボールをかぶったりして出てきてほしかったです。




せめて最初くらい、この程度の冗談は言わせてください。響け!ユーフォニアム3 第十二回「さいごのソリスト」は、2024年の今だからこそこのようになった、私たちはそれを目撃できたことを、この先ずっと忘れることはないでしょう。その理由を、1日ほど経過して自分としてある程度は整理できた気がするので、これから述べます。

2024/06/23

「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:第十一回 #ユーフォ3期

思ったことを口に出して言ってしまう、我らが失言王たる黄前久美子がまたもやブチかましてくれました。

「変ですよね、学校の吹奏楽って」

リアルな吹奏楽の世界では一種の禁句めいた話題らしいところまで切り込んでくるあたり、ユーフォ3の覚悟の程が再確認できます。

それはともかく久美子の進路や麗奈との関係、そして黒江真由とのわだかまりが相変わらず続いている様子が描かれているのが今回です。途中から別のアニメみたいな見た目になりますけどね。


「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:第十回 #ユーフォ3期

3ヶ月にわたる放送が終盤に来てさらに重みを増して、それをどう自分なりに消化してテキストとして残せばいいかを考えてたら数週間が経過してました。難関である関西大会を前に北宇治高校吹奏楽部とその部長でひとりのユーフォニアム奏者でもある黄前久美子という人物に「史上最大の危機」が訪れたのが前回までの話で、この状況をどう打開していくかというのが今回の肝です。ワタシは久美子部長の「誰ひとり途中で止めることなく全国で金を取る」という目標が自分勝手だと思っていましたが、それが実は今後を示唆する重要な価値観であるのかもと気づいた、というのは前回述べました。ただそれを成し遂げるために求められる条件がいくつかあります。具体的には
  • 客観的に上手い
  • 中長期的なビジョンを持っている
  • 強いリーダーシップを発揮できる

あたりでしょうか。久美子の演奏技術は黒江真由と同等でどちらも上手い、と劇中で語られています。また、本人はあまり明言していませんが途中で脱落者を出さず結果を求めるというビジョンめいた価値観もあります。残ったのはリーダーシップ、あなたは部長としてふさわしい指導力があるのか、皆を導いていけるのかという点ですが、麗奈から「部長失格」の烙印を押されてしまったので、否応なしにそこへ向き合わざるを得なくなる、はずなんですけど…

「ギリギリにならないと動かないのはいつものこと」

と赤メガネの誰かさんに喝破されるあたり、まだまだ自覚が足りないようで、困ったものです。


2024/06/06

「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:第九回 #ユーフォ3期

2024年6月2日、宇治文化センター大ホールでの公式イベントが行われて、その会場でNHKでご覧になっている皆さんとほぼ同じ時間でこの回を見るという、冷静に考えてみればウルトラレアな体験をしました。

「九」というのは「序破急」の"きゅう"とダブルミーニングなのかもしれん

と、「響け!ユーフォニアム」というアニメシリーズの終わりではないか、と、漠然と思いました。

これは今回のタイトルにある「ちぐはぐ」どころではなく
「北宇治高校吹奏楽部史上最大の危機」を見せられている

そんなふうにも感じました。

その後のキャストの皆さんの始終明るげで軽妙なトークや大爆笑のゲームコーナー、その爆笑ネタをアドリブでぶっこんだであろう朗読劇、やや拍子抜けだった各種発表を経て大ホールを出たところで、当日の天気がコロコロ変わって一時はどしゃ降りになった宇治の山並みに沈む夕陽が、今まで見たことのないくらい真っ赤だったのは、今どきのスマートフォンのカメラによる誇張だけではなかったように思います。



「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:第八回 #ユーフォ3期

いやー…第六回のときに「油断すると1週間があっという間に過ぎる」と書いたはずなんですが、第八回「なやめるオスティナート」の衝撃は何を書くべきか悩ませるのに十分以上のインパクトでして…正直なところ、メンタルをゴリゴリやられるという意味では最近のアニメの中でも屈指のエピソードだと思います。

(以下、第九回を見たあとなので先週のあれこれを思い出しながら書いていきます)


2024/05/23

「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:第八回の前に #ユーフォ3期

いきなり本題。ユーフォ3期の第六回と第七回のカットから、北宇治高校吹奏楽部のA編成の各パート構成を、このように推定しました。




なお「三日月の舞」「リズと青い鳥」の編成は、下記の動画を参考にしました。この場を借りてお礼申し上げます。



ホルンやトランペット、トロンボーン、パーカッションは画面に写り切らなかったので保留としてたんですが、「スターターブック」等の資料とB編成の記念写真撮影等から、より正確な人数を割り出した方がいらっしゃいました。




これを見ると、3年生は府大会にほぼ全員が選ばれています。個人的にはアンコン編でとてもがんばった釜屋つばめちゃんが喜ぶさまが見たかったんですが、サプライズ気味に選ばれた妹のすずめちゃんが大喜びしすぎて姉の自分が喜ぶタイミングを忘れちゃったんだろうということにしておきます。

2年生は去年のコンクールメンバーが順当に選ばれている感じでしょうか。ダブルリードでパートリーダーをやってる剣崎梨々花ちゃんは(寡黙な先輩の指導が的確だったんでしょうけど)当然ながら選ばれているところは率直に嬉しいです。

問題は1年生で、編成を何度確認しても4〜5名しか選ばれていません。確実なのはチューバ1(すずめちゃん)、クラリネット1(サリーちゃん)、オーボエ1(これは先のポストの画像ではファゴットになっていますが、第七回のカットで梨々花ちゃんの隣にもうひとりオーボエがいるのを確認したのでたぶんこっちが正しい)で、先の図ではフルートとホルンにそれぞれ1名となっていますが、そこは置いときます。

各パートリーダーがしっかりしてるのは実に頼もしいですが、それでも「頑張って上手くなればオーディションを突破して大会に出場できる」「そうやって部員が誰ひとり脱落することなく全国大会に出場して金賞を取る」というのは、目標としてはやはり不適切なんじゃないかというのが、今回書きたかった内容です。だって2年生ですら半分出られるかどうかの競争率で、パートによっては不動のメンバーが構えていたりするなかで、この層の厚さを突破するのがいかに大変かは、1年生の初心者はもちろんかなりの経験者でも直感的に理解するはずです。それだけに釜屋すずめちゃんの選出が異様なわけですが…

それともうひとつ、過去の楽曲に比べて「一年の詩」はクラリネットが重要視されていますが、低域を担当するパートや楽器にもかなりの人数が割かれていて、結果的に、サックスが人数を削られて競争率が上がっているように見えます。人気の楽器だと思うのでそのぶん実力者が揃ってると考えるのですが、滝先生が曲に合わせてバランスを考えたらこうなったということなんでしょう。仮に他の曲ならコンクールに出場できたであろうメンバーが影で涙を呑んでいるかもしれないと思うと、何とも残酷でやり切れません。



さてここでちょっとしたお話を。ユーフォ3が放送される毎週日曜の夜に、某氏主催・"北宇治高校DJ部"部長とワタシがレギュラー的な役割を担当して、Xのスペースで感想戦という名の雑談をしているんですが、こないだ吹奏楽の指揮の経験が豊かな某氏がいらっしゃったんですね。ちょうどこの編成の話になったので根掘り葉掘り伺ったところ、「強豪校では各パートの奏者が指揮用の譜面を読んで全体の演奏のバランスを考えるケースがある」という意味合いの、実に貴重な証言を得ました。

つまり強豪校である清良女子からやってきた黒江真由嬢は、北宇治高校吹奏楽部のなかで真っ先に「一年の詩」の指揮用の譜面あるいは各パートの全ての譜面を読み込んでいたため、「この編成ならユーフォは2名くらい」と根拠と確信を持って発言した可能性が考えられます。北宇治高校吹奏楽部で他にそんなことができそうなのは、高坂麗奈とサファイア川島くらいなものでしょう。

吹奏楽部の部長とひとりのユーフォ奏者と単なる受験生という三足のわらじを履いてあたふたしている黄前久美子と、常に超然と構えていた黒江真由がひたすら噛み合わないのは、北宇治が強豪になる過程で久美子自身(や滝先生)がトライアンドエラーを繰り返しながら吹奏楽部の楽しみを見出した一方で、黒江真由の奏者のキャリアが強豪校という厳しい環境からスタートして(指揮者の譜面を読み込んで曲のバランスを考えてあえて自分を抑えることを学んだうえで)合奏を楽しむという境地に自己を見出したという、吹奏楽部に所属する奏者としての出発点とスタンスの違いによるものなのかもしれません。



「私はあなたたちの本気の演奏が聴きたい」



黄前久美子と黒江真由に対して、高坂麗奈にはぜひいつもの調子でこう挑発してほしいですね。

そして、次の曲が始まるのです。



2024/05/24追記:「黒江真由嬢がいつからユーフォニアムを吹き始めたのか問題」ですが、田中あすかみたいにいきなり送りつけられてきたわけじゃないでしょうけどマイ楽器を持ってることを考えると、少なくとも黄前久美子と同じくらい、遅くとも中学入学からスタートと考えるのが妥当でしょう。宇治に引っ越ししてきてさっそく河原で吹いたり、転校初日にわざわざ持ってこなくてもいいはずの重たいユーフォニアムを携えてきてやっぱり吹いたりするあたり、ユーフォを吹くのがとにかく楽しくてしょうがないというのが伺えますが、実は彼女は釜屋すずめちゃんの将来の姿なのかもしれません。すずめちゃんはああいう感じですから、チューバを学校から持ち出して宇治川のほとりで練習しまくることを全く躊躇しなさそうですし。

さらに追記:「人材としては極めて優秀な黒江真由嬢を最大限に生かすため北宇治高校吹奏楽部はどうすれば良かったのか問題」は、部長・副部長・ドラムメジャーの3名による面談および3年生全員またはパートリーダー会議の承認を経て、葉月&梨々花ペアの1年生教育係のオブザーバーにさっさと据えてしまうのが最適解だったんじゃなかったかと思います。事実、強豪校ではこうしているという情報を得てコンクールごとのオーディションを採用してますし、彼女の高い技術、人当たりの良さや親しみやすさ面倒見の良さという長所を、単なるひとりの奏者のママにしておくのは非常にもったいない話です。もちろん、部外者に当事者意識を持ってもらうには適当な理由をつけて組織に巻き込んでしまうのが手っ取り早いというのが一番の理由ですが。まず間違いなくそういうふうに舵を切ったであろう、憧れの田中あすかになり切れないのが、黄前久美子部長ではあるんですけども。

2024/05/22

「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:第七回 #ユーフォ3期

ユーフォ3の記事はできるだけ放送のキャプチャ画像を使わない方針でいたんですけど、今回はどうしても我慢できないので先に貼らせてください呼ばれた気がしたので。



というわけでいきなり京都府大会A編成の結果発表をすっ飛ばしてB編成の表彰から始まった第七回です。

「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:第六回 #ユーフォ3期

油断をすると、ひとつのエピソードやひとつのカットで考え込んでしまって、あっという間に1週間が過ぎてしまうユーフォ3。書くのを忘れてたわけではないですが、情報量が多すぎるというのは視聴者としてぜいたくな悩み以外のなにものでもないので本題へ。

学生ものなら間違いなく描きたくなるイベントであるはずの修学旅行をバッサリ切って先へ突き進んだ第六回ですが、冒頭に黒江真由嬢は撮った写真を見せながらこう仰いました。

2024/05/06

「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:第五回 #ユーフォ3期

「ひとつ聞きたいんだけど、
あがた祭りって何 !?」



いや自分もユーフォを見てこの宇治のお祭りを知ったので気持ちは分かるんですけどね。というわけで黒江真由嬢もお待ちかね?のあがた祭り回です。




(余談:黒江真由嬢が使うコンタックスT2は名機ですけどアナログフィルムカメラである以上、よほどじゃないと夜の撮影は厳しいと思いますが、とりあえず置いときます。それとカメラと写真はユーフォ3の重要なモチーフと言い続けてきましたが、それは黒江真由嬢がアナログフィルムカメラを愛用しているからで、こういうのを実際にやってる実在の誰かさんが彼女のモデルではないのかと勝手に妄想しています)

2024/04/29

「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:第四回 #ユーフォ3期

今回の話を始める前に。第二回までこれでもかと詰め込まれた北宇治高校吹奏楽部の演奏曲、具体的にはディスコ・キッド、恋、一年の詩(と他の自由曲候補2曲+黒江真由嬢によるムーンライトセレナーデ)ですが、第三回は演奏シーンがほとんど無くて久美子部長とサリーちゃんの1on1に費やされました。んで次回予告でサンフェスやるというので、これは次回で演奏シーンを見せるための助走だろう、果たしてどんな曲が演奏されるのか、どんな演奏シーンが描かれるかが気になってたんですよね。

第四回はそういう多くのファンの期待を良い方向に裏切りつつ、異分子的存在のひとり…月永求くんの過去とその決意について描き、それをサファイア川島との二重奏で締めるという、じわりと沁みるお話に収まりました。曲名は(無知を承知で書きますけど)「愛の挨拶」とのことですので、サンフェス演奏シーンを楽しみにしていた方は求くんの気持ちに免じて許してやってください。



2024/04/22

「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:第三回 #ユーフォ3期

このブログ記事は、毎週日曜17時の放送から間を置いて、各種ストリーミングサービスで視聴可能になる水曜日くらいを目処にマイペースで書いていこうと思ってたんですけど、今回はネタが揃いすぎてるのでネタバレ込みで早めに公開してしまうことにしました。この期の北宇治高校吹奏楽部には既に破綻の兆しが見えると第二回で指摘しましたが、その発端と(とりあえずの)収拾が描かれたのが今回と言えるでしょう。ただ肝心かつ本質的な大問題であるところの

幹部の目標設定が必ずしも一致していない

点がどうなるのかは、次回以降へ持ち越しになりましたが…

2024/04/18

「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:第二回 #ユーフォ3期

高坂麗奈が、どの曲がいいと思ってると問いかける。


それに久美子部長はこう答える。

想像してみたの
全国で北宇治が演奏するところ
その最初の一音は何がいいかって

…クラリネット

「一年の歌 〜吹奏楽のための」が流れ始め雲の切れ間から日差しがふたりを照らし、雨上がりの宇治の街が映し出される。


ユーフォシリーズでは、北宇治高校吹奏楽部のその年の自由曲、または久美子が演奏する曲が、物語のテーマと密接に結びついています。それをここまで情感たっぷりに聴かされたら、唸らざるを得ません。

2024/04/14

「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:第一回 #ユーフォ3期

ワタシの(変な角度から眺めがちな)記事に期待していた皆さん、すみません。

1~2話特別上映イベントで見たとき呆然として1日ほど何も手をつけられなかったのと割と同じインパクトを『響け!ユーフォニアム3』(以下、記事タイトル以外ではユーフォ3と表記)のTV放送初回から受けてしまったし、その一方でワタシのTLに流れてくる皆さんの視点や考察の鋭いことといったら…TVが無くて配信でご覧になる方のことも考慮して、各種配信サービスで見られるようになる翌週水曜あたりに記事を公開しようかと思ってたけど、もはや周回遅れ感が拭えません。

というわけで逆に気楽に、ぼんやりと俯瞰しつつ細かなネタなど拾っていこうかなと考えとります。なおワタシは原作小説を既に読んでしまっているので、ネタバレになるようなことは深く突っ込まないことします。それから、感想投稿キャンペーンで「ダウンロードOKの画像を公開する」と述べているので、今までとは変えて放送の画面キャプチャは貼らず、ダウンロード可能画像とテキスト主体で行ってみます。引用元を明記すればよいとは思うけど、今回は個人的に思うところがありまして。

2024/04/07

『「リズと青い鳥」は山田尚子監督と牛尾憲輔氏によるDJ・VJロングセットである』説の検証(途中で挫折)

2024/04/06の午前中にポストしたのが妙に反響が大きくて少々驚いております。


ワタシは「リズと青い鳥」のこのあたりの仕掛けを皆さんがとっくにご存知だと考えてたんですが、どうもワタシが平ハウス物語などで少数の方々にお話しただけなのにも関わらずだいたいの皆さん伝わったと思い込んでいたようで、いろいろと恐縮しております…以前は自覚してたつもりだったんですけどね。


さて今回はこのポストのバックグラウンドである

『「リズと青い鳥」は山田尚子監督と牛尾憲輔氏によるDJ・VJロングセットである』

という仮説の検証に用いた表を公開してみます。要は以下のポストっぽいことをやろうとして挫折したんですが…。



まあ勿体ぶってもしょうがないので、その表を先に公開しますね。できれば「リズと青い鳥」のディスクを再生して、プレイヤーで何とか再生時間を表示させながらご覧いただければと思います。

2024/03/17

「響け!ユーフォニアム3」1~2話特別上映イベント@新宿ピカデリーに行ってきた(ネタバレなし) #ユーフォ3期

待ち希んだアニメ化が発表されたときは歓喜の声をあげた。
特別上映イベントのチケットが当選したときも嬉しさがこみあげた。

だが2024/03/16のイベント当日、開演時刻が近づくにつれてあまり経験したことがない緊張感に襲われて、ほぼ予定時間きっかりに前触れなく唐突に始まった1~2話は誰が何と言おうと「ユーフォ」そのものだったのだが…


見終わって舞台挨拶終了後に呆然としたまま語る言葉がまとまらず24時間ほど経過して、ようやくこうして感想めいたテキストをしたためる気力が戻ってきた。

今回のユーフォ3はいよいよヤバい

端的に言えばそういうことである。



以下、上映後の舞台挨拶で黒沢ともよ嬢ほかの皆さんからネタバレ厳禁のお達しがあったので粛々と従いながら、現時点で思うところをいくつかメモ書きしておく。

2023/08/22

ブリッジ:特別編 響け!ユーフォニアム 〜アンサンブルコンテスト〜 レビュー(ネタバレあり)

黄前久美子が"窓"を開けるのが上手いなら
京アニ(特に小川太一副監督)は"橋"をかけるのが上手い

公開初日の朝イチの回を見終わって、率直にそう思った。

ファン待望という言葉にするのも足りないほど待ち望んだ新作、『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』(以下アンコン編と呼称)が8月初旬に公開されて、その週末の金土で4回見て、劇場で買えるBlu-rayディスクを部屋で何度も見直して、すっかり話やカットなどを暗記するくらいのところまで来た…はさすがにオーバーだった。まずはどんな形であれ「ユーフォの新作が見られる」というのは慶事以外のなにものでもない。

2023/04/08

絵と音の"joint" 〜山田尚子監督の仕事を映像作品の歴史から俯瞰する試み〜 再録版文字起こし:その6

その5からの続き)

では最後、締めとして長くなりましたけども、終わりにお話をしたいと思います。

もうすでに山田尚子監督の次の作品、いくつかのあ小品を発表済みですけども、

これからも山田尚子監督ならではの「絵と音のjoint」、融合した形、それぞれが並び立って我々の感情を揺さぶるような作品を、ぜひたくさん体験させていただければと思います。

是非宜しくお願い致します。というわけで非常に長くなりましたけども、ご清聴ありがとうございました。(パ)とを申します。よろしくお願いいたします。



…ふう。すげえ長くなりましたけど、動画で不足した内容や動画リンクなどは、時間を見て追加していくつもりです。最後になりますが、このような貴重な機会を設けていただいた mirrorboy さん、平ハウス物語で共演した皆さん、MOGRAでご一緒した方々(特にふらっと遊びに来ていただいたK氏とP氏)、今回の発表内容について重要なアドバイスをいただいた東海地方在住のT氏と九州在住のB氏、それから忌憚ないツッコミをいただけるめんどくさいアニメおじさん会のメンバーの方々に、あらためてお礼を申し上げます。ワタシはこんな調子でこれからも変な角度でいろいろ考えてくと思いますので、今後ともご愛顧のほどよろしくお願いいたします。


絵と音の"joint" 〜山田尚子監督の仕事を映像作品の歴史から俯瞰する試み〜 再録版文字起こし:その5

その4からの続き)


じゃあ、山田尚子監督のその作品を全体俯瞰した中で、どうしても我々としては外せない話をしたいと思います。

「リズと青い鳥」における山田尚子監督と牛尾憲輔さん。映画監督あるいは「絵」のほうをコントロールしている山田直子という方と、それから劇中の音楽を作った牛尾憲輔さんの関係(の話)をしたいと思います。

まずはこちらは公開されているメイキング映像のほうをご覧になっていただければと思います。(「リズと青い鳥」メイキング映像を見ながら)実際に歩いてるところを二人して再現しながら打ち合わせしてるんですよね、むちゃくちゃ楽しそうなんですね、これずっと見てたい感じなんですけどね。

—— 山田監督が面白いんだなあ。

そうなんですよ。また、このメイキングから抽出しますといくつも大きな話が出てきています。「絵と音を並行して作る」、まさにその現場をメイキングで我々は見ることができたんですけども、冒頭にお話しましたアニメーションの作られ方、プレスコ、あるいはアフレコでもない、「絵を作りながら音を作る、音を作りながら絵を作る」。これを京アニは何かのインタビューで”新しい挑戦”という風に表現してましたけども、プレスコでもアフレコでもないアプローチ、このインタビュー(=メイキング)の中では”新たな挑戦”というふうに書いてありましたけども、技法としては別のインタビューでこういう技法が実際もうすでに存在するということで、(注:技法についてですが、現在では読めなくなった京都アニメーション公式サイトの日記ページで述べられていたかもしれません)それを用いて作ったのがこの「リズと青い鳥」という映画になります。

それから実際に見ていただければ分かると思うんですけども、絵と音の相互作用というのをかなり意識して作られていますね、場面が変わったら楽しげな音がする、何か不穏な雰囲気になったら音が不穏な感じになる、というような形で、絵と音の相互作用を意識的に最初から作っている。これはギターのフィードバック奏法的というふうに言えるかもしれないんですけども、その一方で絵と音のクオリティっていうのをどんどんどんどん上げていくことができる、これはまあ時間との戦いではあるとは思うんですけども、「リズと青い鳥」に関してはかなりそこをたっぷり時間をとって「いい絵がが来たら負けない音を作る、あるいはいい音が来たら負けない絵を作る」ということを相互にやっている、という話があの各種インタビューで語られていました。

近作では同じような事を「地球外少年少女」の磯光雄監督とそれから赤﨑千夏さん、我々京アニファンからすると赤﨑千夏さんは「中二病」のモリサマーちゃんですけども、彼女の演じるキャラクターの声に非常に驚いて磯光雄監督が絵を描き直したという話がインタビューになってました。

それからのちょっとここ余談なんで切って頂いて構わないんですけども、「リコリス・リコイル」、先ほど説明したように、「リコリス・リコイル」って現場のアドリブで OK だったらいくらでも絵を直しちゃうよって言うぐらい”現場のライブ感”を大事にした作品ですよね。そういうふうな感じで、絵と音との相互作用を意識して作った場合に、何かしら力強さや説得力が増すということを意識的にやっている作品だと思います。

それからもう一つ、先ほどのメイキングでも触れられたかと思うんですけども、音楽だけではなくて音全体を総動員して演出として用いている、これはインタビュー等でも述べられているとおり、実際にその舞台のモデルとなった学校に、音のサンプリングをするために取材に行ったと。いわば音ののロケハンを敢行している。それからサウンドトラックなどを聴いた方はもうご存知だと思うんですけども、環境音楽的あるいは実験学的と呼べる、アンビエントに近いノリが強く漂ってくるような、アニメーションの音楽としたかなり珍しい劇伴を作り上げたと。それは先ほどのメイキングの中では「物音の目線」というふうに表現されています。ですので、かなり特徴的な劇伴が映画の中で使われているということが言えるかなと思います。

ここでふと思いました私。「絵と音をを並行して作るのを我々はすでに経験してるのではないか?」ということです。これを実際に拝見していただきたいのが「リズと青い鳥」第三楽章です。こちら有無を言わせず皆さんレンタルでもブルーレイでも何でもいいですので、この第三楽章の演奏シーン、一番キーになるクライマックスの演奏シーンですね。あそこをご覧になっていただければと思います。

—— (吹奏楽)部室のシーンですね。(注:正しくは音楽室)

はい。演奏シーン、ソロ、第三楽章を通しでと、みぞれが演奏を通しでやっちゃうところですね。(「リズと青い鳥」第三楽章演奏シーンを見ながら)ちょっとここお話しながら見てますけど、演奏そのものもはまだまだ未完成なのでバラバラなんですよね。全然完成度が高くない演奏をしてるんですけども、それがまず音で、そういうオファーで録音したんじゃないかなと思います、その中でだんだんフォーカスがあたっていくのがオーボエの音なんですね、だんだんボリュームが、オーボエのほうのボリュームが上がっていくはずなんですよ。もうここからオーボエを強調してます、ここらあたりはオーボエしか聞こえなくなってますね。ここは「聲の形」でも使われた高域と中域きをがーっと絞って低域しか聴こえなくなってる状態になってます。ここでエコー(注:リバーブが正しい)がかかり始めますね。

日本のアニメーション史上、ひいては日本の映像作品史上でも特筆すべき名シーンだと私は思いますけども、この「リズと青い鳥」第三楽章のクライマックスの演奏シーンを見て私は一言、

「これはクラブの現場を知ってる人にしか伝わらん」

と正直思いました。なんでかって言いますと、吹奏楽の演奏という場面を描きつつ、途中でどんどんどんどん音に手を加えて、オーボエを強調したりフェーダーなりなんなりを使って中高域を絞って低域しか聴こえないような、水の中に入ってるような音に変えたりですとか、途中でエコー(注:リバーブが正しい)を加えてオーボエの印象を強めたりとか、絵に合わせて音もどんどんどんどん、吹奏楽の演奏は本来こういうふうには聴こえないはずなのに、実際に音をいじってしまってるんですね。これはクラブで DJ の方が曲を流してる時に行う色々な操作ですね、私は実際に DJ ではないので詳しくは分からないですけども、実際にDJ である方であれば、ここでどんな操作をしてるかっていうのがすぐ想像できるぐらい、音に対して自覚的に手を加えて、それを作品として盛り込んでしまったということが言えるんじゃないかなと思います。

—— イコライザーとかエフェクターを使って映像作品の世界観をより伝わるカタチにミックスし直してるってことですね?

そういうことです。それをそのまま吹奏楽の生音を流すんじゃなくて、ミックスし直すことでより作品の印象を強める、キャラクターの印象を強める、物語の印象を強めるっていうことに成功してるんですよね。

—— そう、だからDJプレイは演出だっていうことですよね?逆に言うと。

逆に言うとそうです。「ここでこの音がいいんだ、この曲のここがいいんだ、ここ をこうしたらもっとかっこよくなるんだ」、皆さん DJ の方って必ずやるじゃないですか。

—— 山田監督と牛尾さんはこのシーンでブチこんでると。

ブチこんでます。「リズと青い鳥」を見た時に、知り合いのDJの方に今すぐ見に行けって言ったんですよね、アニメファンじゃなくて DJ の方じゃないと、やってる意味が分からないだろうと思ったんですよ。とにかく見に行って感想聞かせてくれっていうふうに片っ端から声かけて、良い、とにかく見に行けって言ってたんですけども。アニメではなくて、クラブミュージックの文脈で見ないと、やってる事の意味が本当にわからないんじゃないかなと思うところが少々あります。

—— (笑)。確かに。吹奏楽部でも分かんないですもんね。DTMとかやってないと。

分かんないです、はい。しかもDTMで作品を作ったとしても、それを実際にプレイして、 DJ のクラブミュージックとしてプレーされてる現場を知らないと、DJがー

—— 分かんないですよねえ。

その感情を盛り上げるために色々な手を音楽に対してどんどんどんどんリアルタイムで付け加えてるっていうことを実際にやってるっての知らないと、これを見て何でこんなに感情をかき乱されるんだろうかっていうのの理由が、完全には理解できないと思うんですよね。見ていただいた通り、絵の演出があり、それから実際の演奏があり、それに対して音の演出も加わって、はじめてここまで感情を揺さぶる映像(作品)がモノになるということをやってしまったというのが、「リズと青い鳥」の第三楽章の演奏シーンの肝だと私は思います。

で、結論として、私は山田尚子監督をこう評したいと思います。

山田尚子監督は、今見ていただいた通り、アニメを含む長編の映像作品において極めて稀だと思うんですけども 、VJ それから DJ、 その両方の感性を兼ね備え、映像と音楽・音響の両方を鋭く操る作家である

というふうに言いたいと思います。

とりあえずこれを結論としたいと思いますけども、続きがあります。ようやく、これからの話。既に(アニメ)「平家物語」という作品を作った新しい山田尚子監督と言っていいかもしれませんけども、これからのことをちょっと軽く述べたいと思います。

新しい挑戦、(アニメ)「平家物語」で山田尚子監督はいくつかの新しい挑戦をしたと思います。まず一つ、ホームグラウンドが大きく変わったというところですね。キャリアの大半を占めた京都アニメーションからサイエンスSARUが製作を行ったということ、京都アニメーションはご存知の通り非常にコンパクトなスタジオで京都の宇治でスタジオを構えて少数のスタッフでアニメーションをずっと作り続けているわけなんですけども、(アニメ)「平家物語」のクレジットを見ていただければわかるんですけども、非常に多くの皆さんが関わって作る、日本では一般的なアニメ製作のフローに変わっています。その中で(アニメ)「平家物語」という山田尚子監督の新しいアニメーションに作られたということはかなり、方法論ですとか意思伝達の面も含めて、チャレンジがかなり大きかったんじゃないかなと想像します。

それから二つ目が、映画「聲の形」とそれから「リズと青い鳥」という、この二つの映画で非常に大きな評価を得た、実際に賞もいくつも取ってますけども、映画を撮った後にテレビシリーズに戻ってきた、これはなかなか、アニメ監督はたくさんいらっしゃいますけども、映画とテレビシリーズをフラットに行き来できる監督というのはなかなかいらっしゃらない、アニメから映画にシフトして(成功して)、映画のまま帰ってこない監督もいらっしゃるわけですね。その一方で富野由悠季監督みたいに映画だろうがテレビシリーズだろうが何でもアニメなら任せろみたいな感じでものすごい勢いでいまだだに作品を作り続けている偉大な方もいらっしゃるわけなんですけども、それから押井守監督も映画監督として実写までやって、もうテレビシリーズやらないだろうと思っていたら近年はテレビアニメに戻ってきたりもしてますし、そのあたり、何かアニメーションの作り方、アニメーション捉え方の中で山田尚子監督がこういう動きをしたというのは、注目すべき動きじゃないかなと思います。

それからもう一つ、(アニメ)「平家物語」のなかでは、 非常に多くのジャンル、非常に多くの曲、テイストも何もかもが違う曲がかなりたくさん使われています。これは実際にインタビューで語られてますけども、こういう劇版を用いたのはアニメ映画とは違って、たまたま偶然目にすることが多いテレビアニメというメディアの特性を考えて(インタビューでは)”口当たりの良さ”と言ってますけども、間口の広さと言い換えてもいいかもしれません。とにかく、誰かがたまたま見た時に「おっ」っと思われる、きっかけづくりをたくさんしたいという思いがあったようで、それのための劇伴をたくさん用意したというようなニュアンスで語られていました。

“新しい挑戦”を見た感じで、私が先ほどの山田尚子監督の評価を踏まえて(アニメ)「平家物語」を表現すると、

山田尚子監督にとってアニメ映画というのは DJ の皆さんが言うところのロングセット、それに対してテレビシリーズというのはショートミックス

というようなアプローチで作られてるのかもしれません。

で、その一例を(アニメ)「平家物語」のエピソードからご覧になっていただきたいと思います、第7話。 Amazon プライムに「平家物語」はありますので各種ストリーミングサービスで見ていただければと思います。

(アニメ「平家物語」第7話エピローグ〜エンディングを見ながら)音楽が一緒に聴いていただければ、一番、一発でわかるんですけどね。(早見沙織さん演じる時子の)ボーカルにエコー(注:リバーブが正しい)が入って、ボーカルが消え劇伴だけになったところで、(千葉繁さんが演じる後白河法皇 )の語りが始まります。この、劇伴からエンディングのこの曲に繋がるところが隙がないんですね。

—— エンディングにちょっとかぶっちゃてる。

ちょっと被っちゃってるんですよ。これを見た瞬間に鳥肌がブワーッと立つぐらい、あまりにも繋ぎが見事っていう、よくクラブに行ってる時に、「これこう繋ぐか」って DJ の人がめちゃくちゃいいプレーした時に「うおお」ってなる瞬間あるじゃないですか。

—— はい、ありますね。

あれなんですよ、これ見た時に。この曲、「この劇伴からこのエンディングにこう繋ぐか」って、見事としか言いようがない。これも多分コマ単位で詰めてますね、おそらく。編集の段階でギリギリまで気持ちよくなるタイミングでつなぐっていうのを決めて、この曲のこの終わりから、コンマ何秒かでエンディングに入りますっていうの決めてる。本当にここ見事です、惚れ惚れとしますね。多分”ショットが何杯か飛び交ってる感じ”ですね(笑)。

——(笑)。

でもこんな感じで(アニメ)「平家物語」の全体を、音楽と映像で見ていくと非常に緻密に映像と音が組み合わされているというのが分かると思います。

——(アニメ)「平家物語」のDJ演出の話で、最終話の最後の最後にびわが「諸行無常の〜」って歌ってるんですよね。で、そこから、フェードアウトしていくんですよね、声が。(それに続いて)重盛の声がフェードインしてくるんですよね。その演出に僕はビビりましたね。

はい。

—— それは何でかって言うと、びわは重盛の目を持って最後まで見届けたという意味にもなりますし、びわの声と重盛の声が若干ズレてるんですよ。完璧にユニゾンしてない。その「ズレる」っていうのが、「平家物語」が口伝、口で伝わってきたっていうところの、ちょっと伝わるたびに(話の内容が)ズレるのを表現している。という意味で、「これDJじゃないと思いつかないな」って思ったんです。

はい、ですね。

—— これもぜひ見てもらいたい。(パ)さんが言う、山田監督と牛尾さんはDJ的な演出をアニメに入れてるということの一例なんじゃないかなと思いました。

しかも今のズレというのが、重盛がオリジナルとすれば、びわっていうのはカバーしてるわけですよね。オリジナルとは違いますよっていうことを、そのズレによって表現してる、そのズレを意識的に見せることによって、びわが言い聞かせてることが重盛の本心なのかどうかは結局わからないっていうことにも繋がって、だからオリジナルとそれからその DJ が実際にプレイしている現場の音っていうのは、それぞれ並び立つというか、独立した存在であって、両方をあたると面白いよっていうことを表現してるっていう事も言えるかもしれないですね。

—— たぶん重盛の声が最後フェードアウトしていったと思います。で、フェードアウトっていうのはDJミックスとかでもよくあるんですけど、20曲とか入ってる曲の最後がフェードアウトされていったりしてるんですよ。それは何でかって、DJ TASAKAが昔インタビューで言ってた覚えがあるんですけど、「クラブのイベントはまだ続いてるからフェードアウトしていく」と。音は切らない。

ああ、なるほど。

—— 重盛の声もフェードアウトしてくんだけど、たぶん他の琵琶法師が「平家物語」を繋いでいってるっていうのは、裏でたぶん流れていってるんだと思います。

はい。だからフェードアウトで終わる。それはすごくいい話ですね。

—— 山田監督はどこかで語ってたんですけど、映像をフェードアウトする意味っていうのを、事情が続いてるという表現として捉えてるみたいな話があった気がします。

そうですね、音楽のフェードアウトもそうですし映像もそうですけど、フェードアウトっていうのは続いてるっていう余韻を……(注:トークが白熱し始めて止まらなくなったのでフェードアウトします)

ぜひこの(アニメ)「平家物語」は、各種ストリーミングサービスで今ご覧になれると思いましたので、映像と音のつなぎ方に注目しながらご覧になっていただければと思います。



その6に続く)

絵と音の"joint" 〜山田尚子監督の仕事を映像作品の歴史から俯瞰する試み〜 再録版文字起こし:その4

その3から続き)

ということで、ようやく京都アニメーションの話が出てきましたので、山田尚子監督のお話をしたいと思います。

—— 山田監督の名前が出てきた(笑)。

ようやく出てきました、長いフリでした(笑)。

—— ようやく出てきましたね(笑)。

はい(笑)。ということで山田尚子監督、京都アニメーションでアニメのお仕事、キャリアをスタートさせまして、名実ともに看板を背負う立場のポジションにまでなった方です。京都アニメーションから離れたのかどうかまだはっきりはしてないんじゃないかなと思うんですけども、(アニメ「平家物語」は)別のスタジオですね、サイエンスSARUさんと手を組んで作品を作っているというのがアニメ「平家物語」ですけども、監督のキャリアをざっくりまとめてみました。

一言でいうと私の個人的な印象なんですけども山田尚子監督というのは”京都アニメーションのサラブレッド”ではなかったかと思います。京アニの場合は入社してまず必ず動画から仕事を始めるそうです。(動画の後に)原画に進んで、そのあと実際に何をやるかっていうの自分で決めるそうなんですけども(注:記憶で話していますので誤りかもしれません)、山田尚子監督の場合には、絵コンテ・演出を経て最終的には「けいおん!」というビッグタイトルの監督に大抜擢されて、それがもう社会現象化したというのは、皆さんご存知かと思います。特に「けいおん!」の時からもう皆さん見てお分かりだった通り、「日常感」と言うか、「よくある当たり前の高校生の生活の様子」ですとか、そういったものを上手く切り取っているなという印象が強かったものです。ただその一方で、山田監督が(「けいおん!」等で手がけた)オープニング・エンディングの絵コンテを描いて演出を手がけたものがあるんですけども、それを見る限りはどこか漠然としてる、劇中ではかなりビビッドな演出を入れてくる方なんですけども、(山田監督が手がける)オープニング・エンディングというのはちょっと漠然とした作り方をしてるなーっていう印象を持ってたりもします。あとはですね、インタビュー等を拝見すると、学生時代にどうもバンド、キーボードか何かをやられたということ。(また、)ご自身でも相当自覚してるそうですし周りから見ると明らかにそうなんですけども、かなりの音楽マニアであると。特にそのイギリスですね、英国音楽への造詣が深いというのは言葉の端々からにじみ出てきています。

その内容を踏まえて山田尚子監督の関わった作品に対して音楽がどういうふうに入ってくるか、それを見てみますと、ご自身が体験した音楽体験やご自身の趣味、そういったものをですね、作品に対してどんどんフィードバックして入れてくるということをやられているようです。これは例を挙げれば映画「けいおん!」のエンディングですね。ここで映画の「さらば青春の光」というのがあるんですけども、それをオマージュしている。「さらば青春の光」という映画については後で軽く説明しますけども、イギリスのモッズとロッカーズという、音楽や風俗と結びついた若者の文化なんですけども、それを描いた映画、これ を「けいおん!」でオマージュしていたということがあります。それからあの後で軽くお見せしますけども、「たまこまーけっと」それからそれに続く映画の「たまこラブストーリー」において、劇伴は非常に「渋谷系」と呼ばれるタッチのフレンチポップ的なもの、それから実際に劇中で流れるレコード、アナログレコードが全て架空の劇中曲になってるんですけども、それが20世紀中期ヨーロッパのポップス、それから映画音楽というものを非常にリスペクトしていたり、あとは劇中でも散々描かれますけども、アナログレコードだったりカセットテープだったりというそういうもの(=アナログな音楽メディア)を非常に大事にしている。それともう一つ、映画「聲の形」のオープニングでいきなりTHE WHOの「マイジェネレーション」をガーンと流してしまうというような、ダイナミックな音の使い方、音楽の使い方をやられています。

ここで一つ、Internet Archiveになってしまっている記事なんですけども、貴重な証言なので一つご覧になっていただければと思います。これはですね、「たまこまーけっと」の音楽を作ったマニュアルオブエラーズという集団がいらっしゃるんですけども「そのキーマンである方、山口(優)さんと山田尚子監督が一連の対談をしていたと。その対談の最終回のタイトルに、「私、音楽になってみたいのかもしれません」というふうに山田尚子監督がおっしゃったという対談記事ですので、これは是非お読みになっていただきたいと思います。

この記事の中では山田尚子監督の「たまこまーけっと」における音楽のアプローチなど書かれてるんですけども、その中に彼女、山田監督が好きな音楽ですとか、何を聴いてきたかというのが一通り語られてるわけなんですけども、そこに色々いいフレーズが並んでるわけですね。この”慈悲深いキックの音”というのは非常にこう……(笑)。

—— バズワードですよね。この界隈の。

バズワードですね、この界隈の。”四つ打ちでキックの音がしっかりある曲に佇むちょっと湿度の高い女の子というのがすごいグッと来てた”ということで「たまこまーけっと」のエンディングの「ねぐせ」が出来上がったと。まあパンク、ニューウェーブ、電気グルーヴなどがキーワードとしてボコボコ出てくるんですけど、後はレコードですね、それからこの”映像と劇伴のたすきがけ”ですとか、いいフレーズが流れてくるんですけども、(記事の一文をハイライトして)ここでちょっと強調しておきましたけども、「監督が音楽にすごく思い入れがあることが分かったので今後もまた音楽にこだわって作品を作っていく感じですか」っていう問いかけに対して、謙遜しつつも「憧れがある」と。”山田尚子監督のアイデンティティー”だということがご自身の言葉で書かれていると。作品に対しては「音楽にこだわってやっていきたい」(と述べていて)、「それは作り手としてと言うか音楽ファンに近い感じなんですか」と聞かれたところで、山田尚子監督曰く「私、音楽になってみたいのかもしれない」というのが、(一連の山田尚子監督)作品を読み解くキーワードになるじゃないかなというふうに思います。

—— おお。

「たまこまーけっと」は山田尚子監督の監督作2作目にあたるんですけども、京都アニメーションの作品としても(原作のない)オリジナルだった中で、山田尚子監督の作家性というのがかなり強く押し出された作品になってたかと思います。その中で、山田尚子監督は”アニメを通じて音楽になってみたい”というふうに考えながらアニメを作っている可能性があるということが、このインタビューを読んでいただけるとお分かりになるかと思います。このインタビュー、後でInternet Archiveで一通り掘り出してリンクなどを貼りますので是非読んで頂ければと思います。

その趣味の一端をお見せします。先ほどの(映画)「さらば青春の光」というのを簡単に解説しますと、イギリスのバンド The Who がプロデュースした、半分自伝的な映画です。当時の若者の風俗を、イギリスの若者の風俗を描いた、非常に最後は”青春の終わり”ということで悲しげに終わる映画なんですけども、それの予告編を少々を見ていただければと思います。

見るとですね青春映画なんですけど 、こっち(現代の日本)でいうところの”ヤンキー映画”なんですよね、だけれども、そういうふうに若者が過ごしていたのが、もうそれじゃあどうにもならなくなって、最後その自分の青春時代に別れを告げるっていうところで話が終わるんですよ、非常に切ない映画なんですけど、(映画「さらば青春の光」の予告編を見ながら)これ予告編見ると笑っちゃうんですけどね。

—— (映画)「聲の形」も飛び降りてますよね、橋の上から。

そうですそうです。これが(映画)「さらば青春の光」なんですけども、これに対してですね、映画「けいおん!」これちょっとあのスクリーンショットが無かったのでちょっと拝借して持ってきましたけども(注:申し訳ありません)、こちらのエンディングを見ていただくと分かるんですけども、澪ちゃんがいわゆる「モッズコート」を着ているわけですね。で、その「モッズコート」の「モッズ」っていうのは(映画)「さらば青春の光」で描かれている「モッズ」という若者文化で、「モッズ」という派閥の人たちが好んで着ていた米軍払い下げのコートなんですよ。”モッズの連中が着ていたコート”ということで現在では通称「モッズコート」と呼ばれていると。それを山田尚子監督は映画「けいおん!」の中で着せてるわけですね。

なおかつここの崖なんですけども、(映画「けいおん!」のエンドロール映像を見ながら)これは映画「けいおん!」のエンディングではこう描かれてるんですけども、映画の「さらば青春の光」のラストシーンに出てくる崖なんですよ。まんま、そのまんまなんですね、多分ロケハンへ行った時に山田尚子監督がわざわざここまで行って確かめたと思うんですけども、(映画)「さらば青春の光」の中では主人公がこの崖から乗っていたバイクを”青春時代の終わりだ”っていうことでここから捨ててしまうんですよ。それを映画「けいおん!」の中でその場所を使って、彼女たちも高校を卒業して、卒業旅行の話でしたから、”自分たちの青春時代一区切りをここで終える”というの(を表現するの)に引用してると。非常にこう、二つの映画を比較してみるとよく分かるという例です。

—— 澪ちゃん下手したらここでベース捨ててますよね。

捨てる可能性ありますね。

—— 可能性ありますね。

捨ててほしいくらいですね、はい。

—— 山田監督って、言わないけど毒ありますよね、そういう。

そういう毒ありますね。

—— 「たまこラブストーリー」とかも、すごいエンディングに毒を感じるんだよな。

で、実際これ今(これを録音したシステムの都合で)音が流れないと思うんですけども、エンディングちょっとお見せしますね。(再び映画「けいおん!」のエンドロール映像を見ながら)

—— これもやばい映画の「エコール」(からの引用)でしたっけ。

はい。これが「さらば青春の光」のラストシーンの場所なんですよ。

—— やっぱりちゃんとキャラクターたちが卒業するだけじゃなくて、見ている人にとってもちゃんと「終わりだよ」みたいなのを言ってくる感じしますよね。

そうですそうです。ちゃんと「けいおん!」っていうアニメーションの終わりっていうのをどういうふうに決着つけるかっていう時に、この場所で「放課後ティータイムが終わるよ」っていうの語ってるわけですよね。(THE WHOと放課後ティータイムの画像を並べて)こういうふうにちらっと(笑)。出てきたカットがこんな感じで引用されているというところを取り出してみました。

これを見て私、後追いで見たんですけども、実際にこの二つの映画を見て見比べた時に正直に思いました。

「山田監督、遊びすぎじゃない?」

—— ハハハ。

(笑)。そんなことないです。あの、こうやって比較してみた時にやっぱり必然性、イギリスに行くよ、音楽のルーツだからイギリスに行きますよってなった時に、最終的にそのバンドも終わるよって言った時に、幕引きとしてはこういう場所で、(ロケーションを)象徴として使うっていう演出って非常にいい感じじゃないかなーって個人的に思いました。

—— はい。めちゃくちゃいい引用ですよね。

ええ。私、これを教えてもらった時にじゃあ実際見てみるか、(映画)「さらば青春の光」を見てから(映画)「けいおん!」を見た時に、”山田尚子監督は「けいおん!」から卒業する時に卒業旅行に行った映画なんだなー”って思いました。本当に卒業するためにイギリスまで行って、この映画から、この作品から卒業するためには、やっぱりイギリスでひとつ決着をつけようって腹をくくったんじゃないかなと思います。

—— 余談してもいいですか?

はい。

—— ちょっと盛り上がってきちゃった(笑)。

(笑)。

—— 何となくイメージなんですけど、「けいおん!」って大学編とかマンガであるじゃないですか。

ありますね。

—— 「けいおん!」ファンって、大学編やってほしいとか3期やってほしいみたいな、結構あったと思うんですけど、山田監督はきっちりここで終わらせてると。

そうですね、もうそう言い切っていいと思います。 —— たぶんそうですよね。どうもなかなか卒業しないのを見て、「たまこラブストーリー」でみんな一歩前に進んで欲しいっていうコメントにつながったのかなっていう。

ああ、それはある、ありますね。「たまこまーけっと」って1クールだけで映画にはなりましたけども、放送当時ってすごく地味なアニメと捉えられて、そんなに話題になってなかったはずなんですよ。

—— 僕もその印象あります。一応見てましたけど。

私も当時アニメから離れたのでほとんど見てなかったんですけども、(特にアニメ技術や音楽面で)やってることはむちゃくちゃなんですけど、全体的にはすごいほんわかしたホームドラマみたいなアニメだったので、やっぱりあんまり話題にならなかったと思うんですね。その中で、でも音楽的には今までの山田尚子監督の引き出しの一つであるところのイギリスのロックですね、あの古い、それから別の音楽で作品をを作り始めた、なので「一歩先に進んで欲しい」っていう発言には何か意図と言うか思いが感じられますよね。

—— その節をちょっと更に深堀りすると、TVアニメは比較的”ゼロ”の物語が多いなと思ってて、例えば「たまこまーけっと」って12月の年末から年末まで繰り返しになっちゃうじゃない。

はい。

—— 例えば(アニメ)「平家物語」も、びわが”びわ”になるまでの物語。

ええ。

—— で、”びわ”になっちゃうとまた語りが始まって、「平家物語」が始まっちゃうと。”ゼロ ”の物語なんですよね。

そうですね。

—— でも、「けいおん!」の劇場版とか、「たまこラブストーリー」「聲の形」「リズと青い鳥」もそうかもしれないけど、次に進んじゃうんですよね。”イチ”の物語というか。

そうですそうです。

—— これ、自覚的に”ゼロ”→”イチ”の物語にしてるのかなと。見てるユーザーに成長を促してるか、新しいことやりなよみたいなのを、劇場版で結構言ってるのかなっていうのは見てて思いました。

そうですね、京都アニメーションというスタジオ全体で見ても新しいことをどんどんやっていう会社の風潮の中でも、やっぱり先陣を切ってやっていたっていう時期は確実にありますよね。あとはやっぱり本人が先ほどのインタビューでも言ってたんですけども、やっぱりティーンの女の子を観察したり描いたりするのが好きらしいんですよね、あの時期の、こう何て言うんですか、人間のあれこれを見たり描いたりするのがとても楽しいと。なので山田尚子監督の作品っていうのは、大人は(アニメ)「平家物語」(等)でかなり出てきてますけども、主体となるのは割とティーンエイジャーが多いんですよね。もちろん京アニも作品全体でティーンエイジャーが出てくることが非常に多いんですけど、(京都アニメーション)社内でもかなりあの、「こういう作品には彼女を呼んでこい」っていう声が上がってたぐらいで(笑)。

—— (笑)。

「けいおん!」の監督(としてデビューしたのが)まだ20代ですからね。

—— 25とかですよね、たぶん。めちゃくちゃ早いな。

めちゃくちゃ早い。

—— まだこの頃大学院を出たくらいで何もしてないっすよね。

めちゃくちゃ早いし、しかも最近だと監督になり手がいないから誰でもいいから立てて、その誰でもいいのが力量のあるアニメーターの方だったり、各方面に顔の利く制作進行の方だったり、いろんなフェーズであるんですけども、(山田尚子監督は)割と最初っから「私アニメ作りたい」って言って大学卒業して(京都アニメーションへ)入ってきて、卒業から3年ぐらいで監督ですからね。

—— そうですよね、大学を普通に出たら22とか。25で監督ってありえないですよね。

ありえないですよ(笑)。むちゃくちゃなスピードです。今でいうサッカーの三苫選手ぐらいの成長速度ですね。

—— (笑)。

四年前までは大学生だったのが三苫ですからね。

—— 京アニがある種ベンチャー企業みたいな感じだからそういうチャンスがあったっていうのはあるのかもしれないですよね。

あとはやっぱりついた師匠が良かったっていうことでしょうね。

—— ああ、三好さんと石原さんと。

池田さんと堀口さんと。

—— 確か堀口さんが先輩なんでしょうね。

堀口さんが、先ほどのインタビューにも載ってましたけども、ツーカーの仲というか、こういうことやりたいんだけどー、って思ってたら、堀口さんが先回りしてやっちゃうぐらいな感じだったらしいんですよね。

—— ああ、意思の疎通が。”リズ”と”青い鳥”みたいな。いや分かんない、”リズ”と”青い鳥”とは全然違うか(笑)。

(笑)。ええ、通じ合うところがあって、なので、そういう意味ではやっぱり「けいおん!」と「たまこまーけっと」っていうのは、 山田尚子監督を育てた作品でもあると思いますね。彼女が作ったという側面もありますし、山田尚子監督が監督として独り立ちしていく過程だったのかもしれないですよね、今考えると。

—— 京アニを”卒業”してくれたのもすごくいいし。僕としては。

いい話ですよね。

—— で、そこでやったのがさらに(アニメ)「平家物語」ってのがヤバすぎて。

またヤバすぎる話ですよね。

—— なんかその”引き”と言うかタイミングと言うか奇跡的な状況で(アニメ)「平家物語」やってるなと思いましたね。

なんて言うんですか、”引き寄せる”力が強い方でもあるのかなと思いますね。人が寄ってくるか、それともどうしても放っておいても誰かが声をかけてくるみたいな、あの雰囲気で話されて可愛らしい方だなぁと思いつつ、なんかあの調子で色々頼まれたら確かに断れんわなあってインタビューとか見て思うんすけどね(笑)。

—— そうです、アニメってある種”奇跡の瞬間”を繋いで見せてくれてるじゃないですか。神視点というか。で、何で山田監督にこんなはまってんだろうなと思ったんですけど、たぶん人間としてちょっと奇跡的な瞬間が多すぎるんですよね。

そうですね、いろんな意味で。例えばさっきの京都アニメーションが現代のアニメーションの特にダンス PV みたいなののフォーマットを作ったと言った場合に、ヤマカン(山本寛監督)が追い出されなければ山田尚子監督のアニメ監督としてのキャリアのスタートは何年か遅れてたはずなんですよ。ヤマカンの演出の色んな作品を見返してみるとキレッキレなんですね、やっぱり。どれを見ても無茶苦茶よくできてる。もしそのままヤマカンがが京アニの監督として育っていったら、それこそ10年単位で遅れてた可能性があるんですよね。

—— 確かに。

山田尚子監督が入社した頃にヤマカンが飛び出していって、そのあと数年で抜擢ですからね。

—— ですよね。「ハルヒ」「らき☆すた」「クラナドアフターストーリー」「けいおん!」くらいですもんね。

そうですそうです。実際に「ハルヒ」の原画とか描いてますからね、山田尚子監督。

—— ああ、そうですよね。(「涼宮ハルヒの憂鬱」)2期は”山田回”もありますもんね。

ありますあります。既に(「涼宮ハルヒの憂鬱」)2期の時点で”山田回”があるっていうこと自体がちょっと(笑)。

—— (笑)。



その5へ続く)