妙にクセのあるキャラクターがよく動き回る。何だか歌ってるけどいきなりボカンと爆発したりする。いわゆるアレ系統の映画にしては「感動の導線のそれっぽさ」が今ひとつ見えてこない。しかし、何だ、この、引っかかりは?
劇場でしばらく前から流れていた
映画『アイの歌声を聴かせて』の予告編を何度も眺めて、その捉えどころの無さに、興味を逆に掻き立てられた。
宝塚シティハンターで大きな衝撃を受けることは分かり切ってたので意識的に冷却期間を置き、(ようやく以前みたく)仕事帰りにふらりと劇場へ寄って『アイの歌声を聴かせて』を見終わった後、これぞまさに映画だと心の中で快哉を叫ばずにはいられなかった。
青春もの。歌もの。ロボット・人工知能もの。
日本のアニメ映画におけるそれら手垢のつきまくったモチーフに対し、この映画はひとつの明確な回答を得ることに成功した。全てを分かりやすくまんべんなく破綻なく、そりゃ少々強引なところもあるけれど、シナリオとキャラクターと演出と絵面と動きと音楽音響、アニメ映画を構成する要素を総動員して、モチーフを渾然一体とした形で盛り込んだ作品を極上のエンターテイメント、しかもよりによってミュージカルとしてまとめ上げることが可能であると提示することができた。
見終わった直後にツイートした通り、年齢性別関係なく、ひとりでもカップルでも仲間でもご家族で一緒に見ても、こんなに大笑いしてワクワクハラハラして少し泣いて最後はニコニコ笑いながら劇場を後にできるこんな映画には、おそらくめったに出会えないだろう。