2017/02/16

私的アニメオールタイムベスト10(映画・OVA篇)

2016年の大豊作を受けてアニメへの関心が高まっているのを肌で感じていて、実際、話題にすることも多くなっているんだけど、自分の感覚やアニメの見方が世間とズレてる、または話が噛み合わないことも増えている。また、「何かごちゃごちゃ偉そうに言ってるようだけどお前は今まで何のアニメを見てどのアニメが好きだったの」と問われたとき答がとっさに出ないこともあるし、最近アニメの魅力に目覚めた方から「次は何を見ればいいの」と聞かれたときソムリエのようにスラスラと作品名を挙げられるほどの知識も経験も無いことを再認識したりしている。例えばどのカットを誰が作画してるとか全く分からんしな。

じゃあせっかくなので開き直って、自分のアニメ視聴履歴を棚おろしして「この作品はアニメを語る上で外せないと思う」「このアニメのここが好き」「これのここが見どころ」的な私的10選リストを作って公開することにした。ルールは以下の通り:
  1. 基本的に、2015年までに公開された作品を対象とする(TVシリーズの場合、第1期が2015年に公開されていればOK)
  2. 自分が実際に見たものだけを対象とする
  3. シリーズものまたは続編はひとつの作品として扱う場合がある
ではさっそく。リンクは基本的にWikipediaへ、また今回はページが重くなるのを防ぐため動画を埋め込むのを止めます。まずは劇場映画・OVA篇から。

  • パンダコパンダ(1972)/パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻(1973)
    後にスタジオジブリを設立する高畑勲・宮崎駿コンビによる、肩肘張らずに楽しめる逸品。この時点で既にジブリ作品の快感原則みたいなものは確立してると思う。ジブリファンを自認する方でも案外見ていないらしく、そういう意味では隠れた名作なのかもしれない。特に竹やぶがいい!
  • 伝説巨神イデオン 接触篇・発動篇(1982)
    「機動戦士ガンダム」の社会現象化によって現れたアニメオタクを、作品もろとも皆殺しにするような大問題作。それゆえに、また違う社会問題のきっかけのひとつになったらしいのだけど、その話は別の機会に。接触篇はTV版のダイジェストで、富野由悠季監督の編集技術が光る。そして発動篇を見るときは文字通り覚悟すること。
  • うる星やつら オンリー・ユー(1983)/うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984)
    原作マンガの大人気をTV版で倍加させた押井守監督が、満を持して劇場へ持っていった感じの映画シリーズの最初と2つめ。「オンリー・ユー」は原作・TV版ファンへのサービスとして過不足ない出来で、全面的にフェアライトCMIを使用した(当時としては画期的な)劇伴など、実は見どころが多い。「ビューティフル・ドリーマー」は今さら語る必要を感じないほどの名作(あるいは問題作)だけど、1984年の「キネマ旬報」か何かで、「風の谷のナウシカ」など同時期の他のアニメ映画よりも高く評価されてたような記憶がある。
  • 幻魔大戦(1983年)
    おそらく「スター・ウォーズ」や「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」等の大ヒットを受けて企画されたであろう、平井和正と石ノ森章太郎の同名小説・マンガを原作とした角川アニメ第1作。この時代の角川映画・角川アニメって、ブランド力(ぶらんど・ちから)がすごかったのよ…それはともかく、後に「AKIRA」などを手がける大友克洋のキャラクターデザインはクセがあるけど、りん・たろう監督の巧さとぐりんぐりん動く絵に圧倒されるので、そのうち気にならなくなる。スペシャルアニメーション:金田伊功のクレジットは伊達じゃない。それとキース・エマーソンによる劇伴がむっちゃくちゃいい。
  • 超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか(1984)
    途中でgdgdになったTV版を全面的にリファインし、本筋はほぼ同じながらほとんど別物の映画にして劇場に持っていった作品。忙しい人は前半をすっ飛ばして、クライマックスの決戦シーンだけ見ればよい。そこには「動く絵と音がシンクロするときの快感」がぎゅーっと詰まっている。またこの作品は、このところずっと続いている「劇中のキャラクターが歌って踊るのが現実を侵食する」バーチャルアイドルものアニメの先駆けのひとつでもある。モンスターかわいいよモンスター。
  • トップをねらえ!(1988)
    庵野秀明の初監督作品となるOVA。詳細はリンク先に譲るけど、1980年代的な女子高生スポ根ノリが次第に熱血ロボットアニメへ変化し、最後は超正統派ハードSFでオチるという超アクロバティックな作品。ここで培われたケレン味あふれる作風の基盤は、「エヴァ」をはじめとしたガイナックス最盛期や現在のTRIGGER等に受け継がれている。あと、庵野監督は昔から全く変わってないというのも確認できる。
  • 機動警察パトレイバー 2 the Movie(1993)
    メディアミックス展開していたオタクの内輪受け的ノリを、押井守監督が自身の趣味を投入することで実質的に破壊した作品。ロボットアクションを期待すると少々肩透かしを食らうが、公開当時の社会情勢などを踏まえたうえで近未来シミュレーションもの&大人向けのドラマとして見ると、いかにシリアスな映画かというのを実感できる。また、押井守監督の作風はだいたいこのあたりで確立された気もするけど、最近は追いかけていないのでよく知らない。それと忘れちゃいけない、川井憲次の劇伴がものすごく効いてる。
  • クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲(2001)
    小児向けやファミリーものをスルーしていたワタシを正面から殴って倒した作品。「ALWAYS 三丁目の夕日」に先駆けること数年前、日本の大人が抱く20世紀中盤へのノスタルジーを大々的にフィーチャーしたアニメ映画を作るなどという冒険ができたのは、大人気シリーズゆえの強みか。ただし、その元になる描写は、2017年の現在ではアラフィフ以上でないと伝わらないかもしれない。なお、動画と仕上げに京都アニメーションが名前を連ねている通り、とても良い絵が見られるのもポイント。んで、原恵一監督は後に「百日紅」を手がけることになる。
  • 千年女優(2002)
    故・今敏監督作品。原節子をモチーフにした伝説的女優の人生を取材していくうち、彼女の出演映画との境目が、そして過去と現在と未来があいまいになり…という、映画愛とアニメ愛と映像美とセンスオブワンダーにまみれ、知的好奇心をくすぐられまくりな逸品。今敏監督は他にも良いアニメ映画をたくさん残してくれたが、どれかひとつと言われたら迷わずこれを選ぶ。まだご存命だったなら、細田守・新海誠とともに日本のアニメを背負って立つ監督と言われていただろうに…早逝がつくづく惜しまれる。
  • ガールズ&パンツァー 劇場版(2015)
    2016年のアニメ大豊作という結果は、この作品が地ならししたからこそ得られたように思う。第二次世界大戦の戦車と女子高生という、いかにもオタク臭ただよう組合せを大ボラでかわし、戦車アクションものというほぼ唯一無二のジャンルを開拓した。戦車に詳しくなくても王道的ストーリーとメリハリのあるキャラで十分に楽しめるし、逆にストーリーやキャラに感情移入できなくても縦横無尽に駆ける戦車の姿と砲撃の咆哮だけで快感が走る。誰が言ったか、これは最高のストレス解消映画だという評は実に的を射ている。水島努監督は本質的にエンターテイナーなのかもしれない。
次点:さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち(1978)、MEMORIES(1995)、サマーウォーズ(2009)、マイマイ新子と千年の魔法(2009)、たまこラブストーリー(2014)



選んでみると定番の作品ばかりという感じだが、実際そういうものしか見てなかったからなあ…幸いにして現在は劇場で見るのにこだわらなければそれほどストレスなく後追いできるので、過去の名作はこれからチェックしよう。

TV篇に続く。