ルールは同様で、自分のアニメ視聴履歴を棚おろしして「この作品はアニメを語る上で外せないと思う」「このアニメのここが好き」「これのここが見どころ」的な私的10選リストを作って公開するのが基本路線。詳細は以下の通り:
こちらはさすがに数が多すぎて次点に入れた作品がものすごく増えてしまったけど、ベスト10入りした作品との差はわずか。どれも割とメジャーなのが並んだのは映画・OVA篇と同様だけど、これもまあ結局はそういうのしか見てこなかったという事実が明らかになっただけなので、見てない作品はこれからじっくりと掘り下げていこうと思う。
まあ、それにしても、こんなふうにアニメを語れる日が来るなんて、おじさん想像もしてなかったよ…
- 基本的に、2015年までに公開された作品を対象とする(TVシリーズの場合、第1期が2015年に公開されていればOK)
- 自分が実際に見たものだけを対象とする
- シリーズものまたは続編はひとつの作品として扱う場合がある
- 機動戦士ガンダム 初代(1979)/Z(1985)/∀(1999)
富野由悠季監督の実質的なライフワークにして、オタクの思想言説や市場経済にまで多大な影響を及ぼし続ける化け物コンテンツ。例えば「ニュータイプ」「黒歴史」などの言葉を発明した功績は、もっと讃えられていいとすら思う。さて作品的に見ると、地球圏の全人口の半数が死んだ後という衝撃的な幕開けから主人公の覚醒とともに神がかった結末を見せる初代、戦争のプロたちが深謀遠慮を繰り広げた末に泥沼化するZ、そして拡散し切ったガンダム世界を総括して牧歌的かつ哲学的な物語を繰り広げる∀、どれも味わい深い。個人的には、WWIIから朝鮮・ベトナム戦争にかけての兵器の進化を感じさせるZが好みだったりする。 - うる星やつら(1981)※押井守監督・スタジオぴえろ時代まで
ワタシをオタクにした直接の原因。責任とってね!…は映画の方だった。両親が留守にしていて偶然見たときの衝撃を今でも忘れられない。話はむちゃくちゃ面白いしパロディとか普通に出てくるしOP・EDはスタイリッシュだし…その後ずっと見続けていたけど、1984年の春に押井守監督が降板して制作がスタジオディーンに変わってから、自分の好きだったところがごっそり抜け落ちてキャラ好きなファンに媚び始めたので、自分にとってのTV版はそこまでと決めている。だからレーザーディスク50枚組のボックスセットの約半分は現在でもほとんど開封していない。 - 新世紀エヴァンゲリオン(1995)
放送直前にふらりと寄ったコンビニで貞本義行が描く綾波レイを見かけたのは何かの運命だったんだろうか。これはヤバそうだという直感が働いて正座して見た第1回放送終了直後、当時住んでた札幌から東京在住の友人に長電話してアツく語りあったことを思い出す。その後、この作品が社会現象化してオタク業界の雰囲気が一変したのは皆さんご承知の通り。映画になったりリメイクされたりいろいろあったけど、もしかしたら一番スリリングだったのは、この1995年の初回放映時だったのかもしれない。 - 今、そこにいる僕(1999)
ギャグやコメディを主戦場とする大地丙太郎監督の、数少ないガチにシリアスなハードSF作品。暗くて救いがなくてツラかったので詳細は忘れてしまったんだけど、なぜか夕暮れっぽい風景に煙突がにょきっと立つラストシーンのような場面が記憶の底にこびりついている。このダークSFテイストで救いがない感じのアニメは他にも傑作が多くて実は大好きなのが多いので悩んだんだけど、自分が最後まで見たものというルールに従ってこれを選んだ。 - OVERMANキングゲイナー(2002)
富野由悠季監督が∀ガンダム後に作った、あの皆殺しのトミノとは別人かと言われるほど溌剌とした作品。ロシア大陸(?)から極東(日本?)へ向かう大規模列車群を舞台に、格闘ゲーマーの少年と脱走請負人のいなせな兄さんを軸とした人間模様が描かれる。最初は手探り感があるものの物語中盤からテンションが上がってきて、最後は作画も演技も振り切れた感じで終わるので、物語はときに勢いも重要だと再認識させてくれる。 - サムライチャンプルー(2004)
「カウボーイビバップ」「坂道のアポロン」「スペースダンディ」等で知られる渡辺信一郎監督による、時代劇風ロードムービー。スタイリッシュな映像表現とセンスのいい音楽は渡辺監督の作品を特徴づけているけど、個人的にはこのアニメの音楽の乾いた雰囲気が本当に好きで、夏にビールをアオりながら見ると最高にキマる。「エウレカセブン」がもうちょっと趣味に走った音楽ばかりだったらなあ…なお、これを制作したマングローブはちょっと前に破産してしまった。良質なアニメを作ることが商売に繋がるとは限らないという、アニメ界の残酷な一面を体現している作品でもある。 - ぱにぽにだっしゅ!(2005)
深夜アニメをぼーっと眺めていたとき「妙な絵だなあ」と感じたのが、「月詠」を作っていた頃の新房昭之監督とシャフトを知るきっかけ。OPの選曲の鋭さ、劇中のパースを排して書き割りのセットを置いただけのような平面的な画面構成…これはちょっと面白いかもしれないと思って楽しみにしつつ臨んだのがこの作品。まあとにかくぶっとんだ。OP・EDは前作よりさらに洗練されてセンスの塊みたいにスタイリッシュだし、劇中の書き割り的構成はより自覚的になって小劇場みたいで…そして何より驚いたのは、当時の2chで流行ったスラングやAAの類が数週間後にはTV画面に反映されていたこと。このネットの流行を取り込むスピード感は2000年代半ばでは他に類するものがなく、発想の鋭さ、視野の広さに舌を巻いた記憶がある。この作風とセンスがのちに「まどマギ」で大きく評価されるのは、みなさんご承知の通り。 - 電脳コイル(2007)
電脳メガネ(現在でいうところのHoloLens的ガジェット)が普及した世界で繰り広げられる少年少女の冒険を描く近未来SF。「エヴァ」で重要な役割を担ったという磯光雄監督の初監督作品だが、個人的にも「エヴァ」と同様に放送開始を直前に偶然知ってこれはヤバいと直感して全話を正座して見た。最近はARの文脈で取り上げられることが多くてその教科書のように見ている人もいるっぽいけど、それ以前にこの作品が数々のビジョンを示す正統的SFであり、同時に極めて高品質なアニメであるということは、ひとりのアニメ好きとして何度も強調しておきたい。 - マクロスF(2008)
ゴミの中に宝石がたまに混じるくらいの出来だった初代TV版、バンドブームを受けて主人公を男性にしてカルト的人気はあったけど成功したとは言いがたい「7」、戦闘シーンとバーチャルアイドルが印象的だった「プラス」等を経て、河森正治総監督がやっと正統派の続編を作ったと思わせる作品。カッコいい人型変形飛行戦闘メカ!アイドル!歌!実はマクロスってこれだけあれば良かったというのが再認識できたかもしれない。CGを駆使したメカ描写は繊細で、VF-25は今でも大好きなアニメ・SFメカのひとつ。それと菅野よう子の音楽は文句なしの名曲揃いなのが素晴らしい。モンスターかわいいよモンスター。 - 響け!ユーフォニアム(2015)・響け!ユーフォニアム2(2016)
ワタシをめんどくさいアニメオタクに引き戻した直接の原因。第1巻の執筆当時は宇治在住の現役女子大生だったらしい原作者の端正な小説を、宇治に拠点を構える凄腕アニメ制作集団が全力で描いた、宇治を舞台とした高校吹奏楽部アニメ。ときに劇場向け作品を凌駕しているような描写が連続するので、見ているとあっという間に時間が経ってしまう。同時期に制作された『映画「聲の形」』とともに、現在の日本アニメの到達点のひとつ、と断言してしまうにはまだ時期尚早と思うので控えるけど…ゆるく始まって苦さと爽やかを伴うまっすぐな成長を見守ることができる「1」と、各キャラクターの内面の深い描写と「完璧な終わり」を見届けることができる「2」、できれば最初から続けて見てほしい。それと忘れちゃいけない、劇中の吹奏楽曲がほぼ全て収録されているサウンドトラックが最高なので一緒にどうぞ。
こちらはさすがに数が多すぎて次点に入れた作品がものすごく増えてしまったけど、ベスト10入りした作品との差はわずか。どれも割とメジャーなのが並んだのは映画・OVA篇と同様だけど、これもまあ結局はそういうのしか見てこなかったという事実が明らかになっただけなので、見てない作品はこれからじっくりと掘り下げていこうと思う。
まあ、それにしても、こんなふうにアニメを語れる日が来るなんて、おじさん想像もしてなかったよ…