2015/07/12

過剰で執拗で容赦のないアニメ〜響け!ユーフォニアム(6:学年ごとの特色を読み解く)

さて今回はちょっと視点を変えて、画面からはあまり見えてこないところの考察をしてみようと思う。北宇治高校吹奏楽部の面々は学年ごとにどのような特色があるのだろう。

まず現3年(緑のスカーフ)。中心となるのは部長や香織先輩、他にも各パートリーダーを担当していたり、部長・香織先輩ととても仲が良かった葵ちゃんがいたりして(辞めちゃったけど)、総じて真面目を絵に描いたようなキャラが目立つ(パーカッションのナックル先輩は昔からああいうタイプだと思うので例外)。このようにちょっと堅物と思われかねない面々ばかりが揃ってしまったのは、1年前の部内衝突事件で板挟みに合い心を砕いて調整に奔走した経験を強く共有していることが大きいのだろう。それともちろん、あすか先輩という特別な人間が同級生としてそばにいるのも原因である。端麗な容姿と明晰な頭脳を持ちエキセントリックな言動を弄しつつひとりの演奏者としての理想を若くして体現しながら、それ以外のゴタゴタには一切タッチしようとしない超然とした潔さに影響を受けない高校生などいるはずがないからだ。彼女の存在によって、現3年は自分たちが思っているよりもずっと大人になっていると言ってもよい。それが現在の北宇治高校吹奏楽部の団結力の源になっているのだから、何がどう転ぶのか分からないというものである。

現2年(青いスカーフ)は1年生のときに一部が当時の3年と衝突して急進的な何名かが退部したという前歴を持つので、全体から見るとメンバーが少ない。残っているのは、マイペースな者・上級生の姿を見て急進派に着いていくのを止めた者(チューバの2人や夏樹先輩etc.)、特別な理由を持つもの(香織先輩を追っかけるのが目的のデカリボンちゃん)などであるが、他のパートも見ると2年はそれなりにいるので、同じ2年の間でも退部した急進派と距離を置いていた者は少なくないように思われ、そもそも急進派はそれほど多くなかったのかもしれない。ここで考えてみると、この数ヶ月で最も意識が変容し実力が伸びたのは「部活にそれほどこだわりを持たず、さしたる向上心も持っていなかった」現2年なのではないか?それでも人数の絶対的な不足は否めず、影に埋もれることが多いのは仕方のないところか。ただ個人的に気になるのは、セリフもロクに無いのに妙に目立つ2年がちらほら画面に映ること。2期への布石と言ってしまえばそれまでだが…。

現1年(赤いスカーフ)は結果として実力者がたくさん入部してきたと推察される。筆頭は麗奈と緑、久美子も当然上位にランクインするだろう。秀一も楽器を替えながらオーディションを突破するほどの腕前で、他にも府大会に出場した1年が何人も見られる。これが単なる人数不足の頭数合わせで選ばれたのではないことは、大会突破という実績を考えれば明らかである。主役グループが低音パートに属するので他の様子はあまり窺い知れないのだが、各エピソードを見る限り各パートでの仲間はずれやいじめといったものの空気はちょっとした陰口程度しか感じられず(明らかに衝突を起こしたのは麗奈とデカリボンちゃんのみ)、どこもチームとしてうまく回っているように見える。これは3年の間で強く共有されている「過ちを犯さない」というリーダーシップ的意識と、まあ滝先生への反発転じて信頼の証だろう。結果として1年は伸び伸びと実力を発揮できる機会を得たわけで、前年銅賞だった高校が金賞+関西大会進出という結果を手にする原動力になったのは半分くらい(は言い過ぎかもしれないけど)1年のフレッシュさが影響しているのだろう。

アニメでの物語は府大会突破で一旦終わりを迎えたが、このように背景を容易に想像できるほど、北宇治高校吹奏楽部の面々は誰もが生き生きとしている。部活の合間の日常で起こるちょっとした事件、緊張感みなぎる練習風景、大会その他での熱演…。原作小説の本編がまだ2/3も残っており、スピンアウトの短編集もある以上、彼女たち彼らの躍動する姿をまだまだ見守っていたいと考えてしまうのは、熱さめやらぬファンなら自然なことだと思う。

…やっぱり2期やってくださいお願いします京アニさん(サントラを聴き込みながら)



追記:話中で「30人ほどいた現2年が半分ほど辞めた」とのセリフを確認。繰り返してみると疑問点がだいたい先回りで回収されてる感じがして少し悔しい(笑)