7月に入って2016春アニメが一段落したと思う間もなく夏アニメラッシュだけど皆さん息してる?それくらい昨今のTVアニメの本数は多過ぎて見る時間を作る段階で既にくじけてしまいがち。これまでは睡眠時間を削ったり見る作品を泣く泣く絞り込んだりスマートフォンに録画データを移して隙間時間に視聴したりという個人なりの努力をして解決を図っていたわけだけど、今回はソニー製TVチューナー内蔵NASのnasneとその視聴アプリのひとつであるAndroid版torne mobileで視聴時間そのものを圧縮してしまおうというお話。nasneもtorne mobileもコストパフォーマンスが高いので、Android端末を持っている方が新規にHDDレコーダーの購入を検討する場合にもちょっぴり役立つ内容になるかもしれない。
さて本題。nasneは前述の通り「地上波デジタル/BS/CSチューナー内蔵NAS」なので、前提として家庭内LANにぶら下げる必要がある。無線では繋がらないので有線で。それと当然TVアンテナも配線しなくてはいけない。このあたりの物理的なめんどくささは商品の性質上諦めるしかないが、逆にTVには直接接続しなくていいのが不思議ではある。さて一通りの作業を済ませて設置して電源を入れたら細かなセッティングはLAN内の端末…例えばPS3/PS4のtorneや、PCのwebブラウザ、スマートフォン等から行う。セッティングの内容は主にTV視聴と録画についてで、NASに関わる設定はほとんどないと言っていい。そういうわけでnasneをメディアサーバ的に使うのは可能ではあるけど、あまりオススメできない。それとあらかじめ言っておくけどnasneは壊れやすいので(ワタシのnasneは例の初期不良で交換した後エラーで吹っ飛んで現在は3代目)、重要な録画にはあまり向かず、また、録画データを外部メディアに取り出して保存する方法も充分に整備されているとは言いがたい。つまり見ては消し用途で割り切って使うのがベターである。余談だがnasneは1チューナーだが並列設置が可能なので、複数チャンネル録画も数にものを言わせれば可能である。また、USB接続の外付けHDDを増設することで録画容量を増やすことも可能だが、録画先HDDを指定できないなど機能的にはプアなので正直あまりオススメできない。
んでnasneの操作や視聴はLAN上のPS3/PS4やPC、スマートフォン・タブレット等で行う。PCについてはWindows・Macに対応ソフトがあり、スマートフォン関係にも幾つかアプリが揃っているが、今回はtorne mobileを組み合わせるのを提案したい。なおこのアプリはiOS版・Android版ともに存在するが、後述する「ある機能」がAndroid版に先行(?)実装されているので、今回はそちらを中心に話を進める。Android版の場合、TV視聴や録画ビデオ再生機能の解放に¥500の課金が必要だが、それが無いと話が始まらないのでさっさと払ってしまおう。なおワタシが現在使用している端末はXperia Z Ultraだが、ごくたまに再起動するくらいの手間でサクサク快適に動作していることを申し添えておく。それとこのアプリ、番組持ち出しには対応していないようで、そうしたいときは別のアプリが必要。このへんのチグハグさはいかにもTV関係という感じが強い。
さて、torne mobileの実際の画面を見ていくことにしよう。これは実際の初期画面と設定画面を並べたスクリーンショット。既にPS3/PS4でtorneを使っている方は特に戸惑うことはないだろう。ざっと見る限り、nasneとtorne mobileで必要な設定項目は揃っており、また、各種視聴に対応する機能も(明らかに余計なお世話的なもの・無駄に思えるものも含めて)一通り含まれている。ここでは説明しないが、nasneとtorne mobile(または別のアプリ等)で外出先から録画できるようにしておくととても便利なので、多少のランニングコスト増とセキュリティ低下に目をつぶってでも設定することをオススメする。まあここは個人のポリシー次第ではあるが。
次は番組表と番組検索画面を並べたスクリーンショット。番組表は標準的なもので特に不満はないが、これを実際に見ながら番組を探すというのは、よほどのTV好きくらいしかしないだろう。というわけで活躍するのが番組検索。ジャンルと登録チャンネル、放映時間帯、有料・無料などの条件で絞り込んだ上でフリーワード検索ができるのだが、親切にも[新](新という字を四角で囲った新番組を示すマーク)が検索ワードにあらかじめ登録されているので、これらを組み合わせて検索すれば、例えば「地上波で放映される深夜アニメの新番組」だけを抽出できる。あとはおもむろに録画したい番組をタッチして予約登録していけばよい。
そして録画視聴画面のスクリーンショット。ワタシがAndroid版torne mobileをプッシュする最大の理由はここ。再生時に画面上を指でタッチして左右にスライドすることで1.0倍〜2.0倍、10倍、30倍、120倍の早送りが可能で、1.0倍〜2.0倍再生しているときに画面をタッチして指を縦に動かすと0.1倍刻みの調整ができる(スクリーンショットには映っていないが、画面中央の▷マークの下に再生倍率が表示されるようになっている)。つまり時短視聴とは、PS3/PS4でもできたこの倍速再生機能を活用してTVアニメを手元のAndroid端末でサクサク見ちゃおうというものである。自分はアナログビデオ時代に2倍速視聴できる特定の機種を探し出してフル回転させていて、デジタルHDDレコーダーに移行してからは1.5倍速視聴で妥協していたんだが、このアプリのアップデートによって再び2倍速視聴ができるようになって小躍りして喜んだ(というのはオーバーだが)。なおiOS版torne mobileには現時点で倍速再生機能が実装されていないので、iPhone・iPadユーザーは指をくわえて待つかAndroid端末を買っちゃおう(笑)
ところで当然「2倍速で見ても話が分からんのでは?」という疑問が湧くと思うが、これは慣れと使い分けで何とかなると経験上から申し上げたい。アニメは意外とセリフの間が空くので、慣れてしまえば2倍に圧縮しても話を追うことができるようになる。もちろん倍率を下げるのもいい。1.3〜1.5倍速程度ならそんなに違和感は生じないんじゃなかろうか。それともちろん、作画や劇伴などをじっくり楽しみたい作品は等倍で視聴するなど、好みに応じて使い分けるとよい。余談だが、倍速視聴はスポーツと全く相性が悪いので素直に等倍で見よう。
というわけで、nasneとAndroid端末の組み合わせはnasne mobile(の倍速再生機能)によってコストパフォーマンスにすぐれたアニメ(を片っ端から見ては消す)視聴環境になっている。時間が取れず視聴に苦労している、あるいはTVの前に座るのが面倒になっている方には割とオススメだと思うのだが、いかがだろうか。