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2016/07/11

Re:animation9 雑感

既にTwitterでも話したことだけど、あらためて整理しておきたくなったので書く。

7/10(日)に新宿歌舞伎町のど真ん中で行われたRe:animation9(以降リアニと表記)の野外フロアへ入場して爆音で流れるアニソンにゆらゆらと身を委ねてしばらくして、BOOM BOOM SATELLITES の「LAY YOUR HANDS ON ME」がプレイされたとき、喜びとも哀しみとも分からない感情に包まれて、ひどく動揺した。



ワタシは彼らの熱狂的なファンではないけれど少々の音楽好きではあるから、アニメその他を通じて彼らの作品を知っている。そしてこれがどういう意味合いの曲なのかも。そういう音楽がアジアの雑踏の極みのような都市空間に大音量で解放された事実が、自分を打ちのめした。



音楽消費がフェス化して久しいと聞く。それはフジロックに代表される野外フェスや、アリーナやスタジアムといった大規模な閉鎖空間で行われるライブイベントが盛況であるという話に裏打ちされる。ではそういった日常生活から切り離された大空間はもう他にないのか、というところを思いっきり逆手に取って、大繁華街のど真ん中でアニメソングを中心にした屋外クラブイベント(アニクラ)を敢行したのが、リアニの始まりのようである。

そのリアニに、ワタシは1度参加したことがある。Wikipediaで調べるとそれは2013年の9月の第5.5回、小雨が降って少々肌寒い印象が強かったその日は、フロア後方でグダってる泥酔客とサークルモッシュ的オタ芸に熱心でプレイされる音楽なんか知ったこっちゃない勢と知っているアニソンがプレイされると後方からダッシュして体当たり上等な女性客が気になって、とてもじゃないが音楽を楽しむ気分になれず途中で帰ったことをよく覚えている。それがアニクラの流儀のひとつだというのを知ったのはその後しばらくしてからで、ちょっともったいなかったとは今でも思うが。

今回のリアニは、その印象を覆すものだった。アニソンはプレイされるものの基本はEDMフェス、もっと言うとテクノやトランスの野外レイブの再現をコンセプトに据えたのだと思う。もちろんアニソンやゲームミュージック、ボカロ曲(!)などの文脈の範疇からは外れないんだが、DJが変わる度にアニクラ、EDM、ベースミュージック、トランス、テクノ等に場の色彩がきれいに染まっていき、そういう音楽をまともに聴いたことがない風情のアニオタにさえステップを踏ませるようなパワーが発散されていた。そして音楽が中心であることは、スタッフの皆さんが先に挙げたような問題を起こしそうな人たちに対してよく注意を払っていた様子からも伺えた。



ボカロ系クラブイベント(ボカクラ)で度々お見かけするDJ Megsysさんが回し始めたとき、ワタシは入場規制列にいた。最初に聴こえてきたのは「ルカルカ★ナイトフィーバー」。ボカロクラスタにしか分からない想いをこんな形でぶっ込んでくる心意気みたいなものがビリビリ伝わってきて、その後ボカロ曲からアニソンRemixへきれいに繋いで熱く盛り上がり、クラウドファンディングで権利を買ったらしい人からの放水を浴びせられながら多幸感に包まれたあのとき。

ゴリゴリのトランスで押しまくるDJさんが当然のようにHiroyuki Odaではなく鼻そうめんPのボカロ曲を2つもプレイしたあのとき。

ラストのロングセットでコアなテクノが鳴り響いてもほとんど誰も帰ろうとせずひたすら踊っていたあのとき。

そしていまもう一度、「LAY YOUR HANDS ON ME」がプレイされたときの、四方をビルと派手な看板に囲まれた都市の風景と空の色が視界の中で境界を失って混じり合い、自分の身体も思考も何もかもがどこかへ溶けてしまったような、あの感覚を思い出す。おそらくそれは祈りのようなものだったのだろう。



次のリアニもがんばって行くようにします。できればスタートから。

HiroshiWatanabe aka Kaitoさん(@hiroshi_w_aka_kaito)が投稿した写真 -


追記:こちらもぜひご一読を

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