For short, " I. M. G. D. "
Established : 1997/12/07

Light up your room, and browse away from the monitor, please! :-)

2016/12/05

「ユーリ!!! on ICE」をめんどくさいアニオタのおっさんが見てみた

ワタシがこの作品について何か書くのが一部で期待されてるみたいなので、「ユーリ!!! on ICE」を最新話まで(途切れ途切れで一部が抜け落ちたりしてるけど等倍速で)見た。実は「ユーフォ2」の視聴準備のために見るのを途中で止めた作品だったんだけど、とある識者に視聴継続すべしとのアドバイスをいただいて録画だけはしておいたのだ。以下、思うところを述べる。

端的に言うと、ものすごくもったいないTVアニメだと思う。

ワタシの場合はどの作品でもほとんどストーリーやキャラクターに重きを置かず、動く絵と鳴ってる音に注目することが多くて、そういう偏った者からすると、特にスケーティング場面の作画、滑らかでスピード感のある身体の動きや衣装のラメの輝きの描写などは目を見張るものがある。個人的には(多彩なジャンプの種類を競技者ごとに描き分けてるような)その執念を真っ先に評価してほしいところだけど、一般的にはストーリーとキャラに対する言葉が並ぶばかりなので、こういう良さはなかなか伝わらないのかなあと思ったりする。そのカロリーの高いスケーティング場面に比べて、他はTVアニメのテンプレに近い、一般的には親しみすいと思われる表現(デフォルメされた表情など)を多用していて、背景もわりとあっさりめなので、対費用効果の高い絵面に見える。個人的には、フィギュアスケートという芸術性の高いモチーフを考えればもっとシリアス方向に振ってしまっても良かったんじゃないかと感じるんだけど、主要マーケットであろう女性陣には、こちらの方が受け入れられやすいと考えたのかもしれない。

それと気になったのが、このTVアニメの視聴者の視点を曖昧にさせている画面構成。「競技を実際に会場で見ているのか、それともTV中継を見ているのか」が絵として定まっておらず、TV中継を模したテロップ入りのカットの後に、実際のTV中継では絶対に出てこない競技者の足下のアップが出てくるなど、カメラがあっちへ行ったりこっちへ行ったりするので、没入感が削がれてしまう。これは競技者が大きな会場いっぱいに動き回るのと、世界中をサーキットで回る大会を大半の人はTV中継で見ているという、フィギュアスケート競技の置かれた状況から逆算されたものかもしれない。個人的には、TV中継を模した画面より会場特有の生の空気を切り取ってくれた方がうれしいのだけど…その一方で、多彩なジャンプを解説抜きで見せられてもほとんどの人は違いが判別できないだろうから競技中にアナウンサーと解説者をしゃべらせるのは英断とも思えるし…難しいところではある。

もうひとつは音楽。最近フィギュアスケートから離れていて数年前のルール改正でアイスダンス以外でもボーカル曲が使えるようになったのをこの作品で知ったんだけど、実際の競技から受ける印象がルール改正前とはまるで別物に思える。例えばこんなの。曲については説明しなくてもいいよね…?:



現実の、しかも現時点で世界最高の選手のひとりがショートプログラムの時点でこんなんなっちゃってるのに、それが劇中では充分に表現できてないように感じる。どうせTVアニメでやるんだったら、もっと大胆に攻めた曲を使っても良かったのでは?せっかく金脈を掘り当てたのに何とも勿体ない…そういう意味ではスケーティング場面でいちばんカッコいいのが、EDM・ベースミュージックの系譜が感じられるOPなのが、何とも皮肉ではある。



というわけで、誰と誰がイチャついてどうこうという話にはコミットできず、自分の興味が持てる場面がそれほど多くないので、いまひとつのめり込めてはいないんだけど、何だかんだで最後までは見ちゃうと思う。ちなみに付け加えておくと、伊藤みどり選手が女子フィギュアスケート競技をたったひとりで一変させてしまった頃から浅田真央選手がルールの壁に敗れ去るころまでチビチビとTV中継を見ていた、キャンデロロ選手とプルシェンコ選手のエキシビションが大好きなヌルいフィギュアスケートファンでした、ワタシ。ジャンプの種類はアクセル以外いまだに見分けがつかんからなあ…
Pocket このエントリーをはてなブックマークに追加