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2016/12/30

ワタシがポッピンQを支持する理由

封切日にシネマシティの極上音響上映で見た「ポッピンQ」について何か書こうと思ってたけど引っ越しの余波で先送りになってしまってたのでこれからいったんカタをつける。

2016年は「君の名は。」を筆頭として(アニメ)映画が豊作であった年として記憶されることになると思うんだけど、「ポッピンQ」はその最後を飾るのにふさわしいと個人的に思った。ただ、東映はこの作品の公開を何らかの事情で当初の予定より早めたらしく、それが理由なのかは不明ではあるけどプロモーションや劇場公開規模が何かぎくしゃくしていて、現時点であまり芳しくない興行成績っぽいのが、少々残念ではある。

しかし映画の評価は興行成績やSNS上の他人の発言や扇情的なまとめサイト・腐れアフィブログのネットの毒としか言いようがない記事などによって下されるものではない。自分で見て、自分で感じて、自分で確かめるものである。この映画…いや映画と呼べない部分もあるのだけど…は、まさにそういう種類の映像作品である。


「ポッピンQ」を語るとき、「プリキュア」シリーズという"少女サーガ"の存在を忘れてはいけない。あのEDの超絶クオリティの3DCGアイドルダンスを長く手がけてきたという宮原直樹監督の初監督作品である本作でもその実力は遺憾なく発揮されており、おそらく現時点でトップレベルの3DGCダンスシーンを堪能できる。個人的には2010年代のエレクトリックなアイドルポップ風の音楽も含めてこれが劇場の大スクリーンと大音量で見られただけで元が取れたと思ってるのだけど、例えば初音ミクファンが公式ライブで見ている3DCGダンスに興味を持って次にこの映画を見に来るかどうかは怪しく、そこらへんはキャラありきで消費されがちなこの手のコンテンツの悩ましいところではある。なお2016年12月末現在、横浜にあるDMM VRシアターでは「プリキュア」の「初音ミクの公式ライブ的な」3DCGライブが上映されており、こちらも映像と音響ともに極めて上質なものであることを付記しておく。この映画をより一層楽しむために、機会があればVRシアターもぜひ。





それと、「プリキュア」を背景に持つ「ポッピンQ」は、多感な少女の夢として描かれていることを強調しておきたい。もっと言うと、セーラームーンの昔からおジャ魔女どれみを経てプリキュアという流れで連綿と紡がれてきた少女向けファンタジーの延長線上に、本作は位置している。小さい頃に見て忘れてしまった夢をもう一度確かめたいと思ったティーンエイジャーの女の子の感情の受け皿として、本作は極めて効果的に機能すると思う。その意味では確かに、視聴者を選んでしまうかもしれない。「プリキュア」と同様に、おっさんが見るには気恥ずかしいところがあるのも事実なのだ。だがそれをもって欠点とする勇気は無い。「東映まんがまつり」は子供たちに夢を見せるためのものであり、それを大人の仕事として誠実に作り続けてきたのが東映アニメーションという老舗なのだから。

ウェルメイドな作品が多くを占める現在、本作は設定やシナリオのいびつさなど気になるところがあるのを否定できないが、魅力的なキャラクターデザインと全く破綻しない美麗な2D/3D作画、そして上記2つのストロングポイントで一気に魅せる宝石の原石のような作品というのが、ワタシの評価である。これをさらに磨いて、宮原監督と、この5人の女の子たちの夢の先をもっと見たい。そして世の中のアニメがウェルメイドでリアリズム志向の作品だらけになったらやっぱりつまらないので、由緒正しい「まんがえいが」もたくさん見たい。だからワタシは断固として「ポッピンQ」を支持する。何だか分からんけど極めて中毒性が高いので、映画館で見られるうちに見ておいた方がよい。そして笑顔で2016年を締めくくろう。



最後に。POP IN Qというタイトル…パ行の発音とP-P-Qというアルファベットの連続はPPAPがネットミームとなった2016年との符合を考えるととても興味深いけど、そもそもQの意味って何だろうね。直接的にはQuintet=5人組ってことだろうけど、それだけじゃないような…?


追記:冒頭17分が太っ腹にも公開されたのでリンクしておく。走ったり叫んだり落下したりするアニメは誰が何と言おうといいものなのである。

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