この映画については、実はもう全てが準備済みだった。正直むっちゃ面白くてボロボロ泣いちゃったので書くと長くなるけど、ただひとつだけ、この画像を貼りたいがためにファーストインプレッションと言い張って速攻で記事をでっち上げることにした。
(フォントはPress Start 2P Fontをお借りして、1分くらいででっちあげたので荒くて済まぬ)
この映画、予告編やポスターを見ただけだとちょっと勘違いしてしまうかもしれない。例えばVR感バリバリの近未来映画なんだろうとか、有名キャラクターが勢ぞろいして夢の共演が実現したとか。それはそれで正しい。でも、個人的な引っかかりはもっと最初のところ、
「なんでよりによってヴァン・ヘイレンのこれがオタク映画のテーマソングなの」
という点。もはや歴史的な遺産と呼んでいい超名曲なのは置いとくとしてもだよ?
…などと、めんどくさいオタク特有のこじらせた感覚を覚えながら見て、思ったところを以下にネタバレを交えつつ簡単に述べる。念のため改行を多めに:
これは正確に言うとオタク映画ではなく、ビデオゲーム映画だと思った。ビデオゲームオタクのビデオゲームオタクによるビデオゲームオタクのための映画。それが本当のところじゃなかろうか。
劇中では凄まじいCGとエフェクトでもって描かれる近未来社会やVR空間が馴染んだ日常が、元をたどればアメリカの忘れられつつあるであろうひとつの原風景…立ち並ぶ1人プレイ用ビデオゲーム筐体とAtari 2600(だったよね確か)に辿り着く。ここでもう分かってしまうのだ。
最初にビデオゲームありきと。
日本でビデオゲームが爆発的なブームを呼んだのは「スペースインベーダー」、その際に建てられたインベーダーハウス…後にゲームセンターと呼ばれるその空間にはむしろ2人で向き合って座るテーブル筐体が多かった。当時は処理能力もメモリも圧倒的に少なかったから、両方のプレイヤーに対して便宜的に番号を振った。しかし当時のアメリカのゲーマーは、1人プレイ用ビデオゲーム筐体に刻まれるこの残酷な文字列を、ひたすら目とブラウン管に焼き付けるしかなかったのだ。
READY PLAYER 1
常にひとり。あの巨大な大陸で他のプレイヤーの存在など想像もできず孤独に苛まれながらひたすら国内外のビデオゲームを遊び倒していたやつらが、いざ蓋を開けてみたら、おびただしく存在していたのだ。
確かポケモンの田尻智氏の言葉だったと覚えているけど、「ゲームは動詞が作る」ということらしい。なので断言してしまうけど、このビデオゲーム映画において最重要な動詞は、
とぶ
である。だからヴァン・ヘイレンの他の曲ではなく「Jump」であって、あのオープニング曲の「初代」ガンダムなのだ。そういえばマリオブラザーズシリーズは「ジャンプしてる最中でも物理法則に束縛されず自由に空間を移動できる」という一大発明によって、世界中を夢中にさせたんだっけ。タイトルにスーパーがつく前からだから、年季が違うよ。
ここ最近の、あまりにも熱狂的な「世界から見たオタク的」日本ブーム、その正体が見えた気がした。そりゃあ元ネタを知りたくて日本に来たくなるわなあ。だってAtariという見慣れない言葉の語源を辿ったら囲碁に行き着くんでしょ?とことん根が深いわあ…
他にもいろいろあるけど、そういうのはまた別の機会に。
ビデオゲームをつくってくれてありがとう。スピルバーグ監督ありがとう。そして、読んでくれてありがとう。