2018/11/25

アイドルアニメを再定義する試み 〜「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」と「ゾンビランドサガ」について

相変わらず勢いだけで、結論めいた妄想を先に書く。記事のタイトルに挙げた2つの作品、「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」と「ゾンビランドサガ」は、「アイドルマスター」シリーズを直近の始祖として「ラブライブ!」シリーズで一種の形式として確立された「最近のアイドルアニメ」を総括し再構築する、極めてアグレッシブなスタンスをもって作られていると思う。もちろん、アイドルを題材にしたアニメはアイマス以前でも枚挙に暇がないが、ここでは「最近のアイドルアニメ」を「モーニング娘。」や「AKB48」 から「BABYMETAL」、果てはあまたの地下アイドルと呼ばれる方々までの「いまどきのアイドル」を参照している一連の作品群を指す。昭和のアイドルとしての矜持と葛藤を抱えたゾンビィ4号こと純子ちゃんには申し訳ないが。



まず「レビュースタァライト」。タイトルにある通り「歌劇」≒宝塚歌劇団をモデルのひとつとしたであろうこの作品、とにかく音楽が素晴らしい。カラフルかつドラマティックなOPと「Fly me to the moon」へのオマージュであるED、そして各キャラクターのレビューで使われるオーソドックスなアレンジながらバラエティに富んだ劇中歌、そして本来の歌劇=ミュージカルであれば物語や心情を歌うことで成立する場面であえて歌とセリフ(あるいはモノローグ)をときどき分離させて、音楽を主題と劇伴の間でシームレスに動かすその手つきが何よりも鮮やかで、あの立体的でダイナミックな舞台上のバトルシーンの描き方と相まって全12話を勢いだけで見てしまった。





そして「ゾンビランドサガ」。各世代の伝説的なアイドルがゾンビィとなって蘇りご当地アイドルとして佐賀を盛り上げるという奇想天外な内容だが、初回を見て「今期の圧倒的ダークホース」と評したワタシの予想を超余裕で上回りつつある。まだ放送中なので今後どういうオチがつくかは分からないが、あのデスメタルとフリースタイルMCバトルから、第7話「けれどゾンビメンタル SAGA」と第8話「GOGO ネバーランド SAGA」のカタルシスを見せつけられる展開を、いったい誰が予想し得たであろうか。





もちろん「アイドルマスター」や「ラブライブ!」その他と比較して、個々の楽曲の良し悪しを語る愚は避ける。というか、両者ともに良曲揃いなのは音楽好きなら誰でも知っている事実だから比較自体が無意味である。それと「レビュースタァライト」は最初に2.5次元的なリアル舞台があった(らしい)ので楽曲群はアニメ制作の前に完成していたであろうし、また、「ゾンビランドサガ」の制作にはavex picturesが参加しているので音楽に力を入れるのは自然の成り行きであろうというのは、容易に想像がつく。

それでもあえて書くと、「レビュースタァライト」と「ゾンビランドサガ」は、話の落とし前を楽曲でつけて出し惜しみしないというスタンスが徹底している点において、他のアイドルアニメとはちょっと温度感が違うように思う。個人的にはむしろ音楽アニメと呼びたいくらい。

キャラクターの成長やメジャー化(?)に伴って持ち歌が増えていって、アニメが終わってから(必ずしも映像化を前提としない)新曲が発売されて中の人が全国ツアーを展開して2期、3期…と続けていくのが、コンテンツやキャラクターや中の人と一緒に成長しているのを実感できる「最近のアイドルアニメ」の醍醐味のひとつだということは一応理解している。それでもやはりTVシリーズとして連続して放映されるなかで、新曲が毎週のように聴けるというのは、それだけでも十分インパクトが大きいのである。これは物語やキャラクターや中の人の成長を見守るというより、歌番組を見ている感覚に近いかもしれない。特に「ゾンビランドサガ」は、楽曲の振り幅の大きさでもって歌番組感がより一層強まっていると思う。さすが世代を超えて蘇っただけのことはある…って余談が過ぎた。



どんなに「いつでも会える」ようになろうと、「ファンとの距離が縮まる」ことがあろうと、エゴ丸出しで他を蹴落としステージの頂点を目指そうとする少女たちのきらめきは変わらないだろうし、たとえ時代ごとのニーズが変わろうと「はじめに歌ありき」「歌こそがすべて」なのがアイドルの本質だと、ワタシは思う。なので、アイドル好きを自認する、あるいは音楽を自覚的に漁ってきて、アニメにあまり接点が無かった方にこそ、この2つの作品をおすすめしたい。それを見た、それを聴いたワタシたちがほんの一瞬でも笑顔になれるなら、いずれ舞台少女たちがのぞむレビューの幕は開き、ゾンビィたちは安らかな眠りにつくだろう。



そういうわけで、音楽好きでアイドル好きでアニメ好きなワタシはこの2つの物語を前にして、キリンのように高みの見物を決め込むわけにはいかないのです。





…余談。「ゾンビランドサガ」のキャラクターである「伝説の山田たえ」が、この上もなく日本のポップス史をリスペクトしているという話は、本放送が終わってからするつもり。「フランシュシュ」というアイドルグループにおいて彼女は決して欠くことのできない存在なので、彼女の動きだけ最初から追い直してみると新しい発見があるかもしれない。責任は持たんけど。