お分かりの通り、名車専門の泥棒兄弟が主役のカーアクションムービーなんだけど、ワタシ的にはもう刺さる刺さる。今年の洋画は「ベイビー・ドライバー」も「Hidden Figures(邦題:ドリーム わたしたちのアポロ計画)も最高だったけど、これは頭ひとつ抜けちゃったかもしれない。以下、個人に超楽しめたポイントを列挙しますね。
・出てくるクルマがほぼ全部名車
この映画、泥棒コンビの異母兄弟が「ある年代のクラシックカーの名車しか盗まない美学」を持つため、出てくるのが当然そういうヤバい車種ばかりになります。いきなりブガッティType 57SC Atlanticを盗んだらヘマをして持ち主のマフィアに捕まって、ライバルのマフィアが持ってるクルマを盗めと命令されるんですけど、それがフェラーリ250 GTOだったりします。上記2台を実際にオークションで買おうとしたら100億円くらいかかるでしょうか。他に出てくるクラシックカーもさすがにそこまでではないにしても相当の名車ぞろいです。もちろん現行車もたくさん出てきますが、BMWは使い捨て、フランス車に至ってはクズ扱いです。
そして登場するクルマのほぼ全ての名車が、ギランギランにフルレストアされている状態に見えることがポイントです。実際にワタシがそういうレベルの実車を見たことはわずかしかありませんが、ペブルビーチ・コンクール・デレガンスに出品できるレベルといっていいと思います。そのような名車の数々が現代のカメラとライティング技術でもって舐めるように映像化され大スクリーンで見られること、これ自体が既にエロスです。ヤバいです。
・出てくるやつらが美男美女ぞろい
主役の泥棒兄弟はもちろん、ペアを組む女性陣も悪役も端役もみんな驚くくらいの美男美女だらけです。みんなカッコよくて卑怯です。変人の太っちょな爆破マニアが出てくるんですけども、そいつすら憎めないどころか良い味を出してます。話が戻りますけど泥棒兄弟と女性陣は恋仲です。そういう連中のキスシーンが大スクリーンで拝めます。エロスです。ヤバいです。
・大々的なマルセイユ観光映画
実はこの映画、制作がフランスと書かれていて気になってたんですね。で、実際に見てみたらマルセイユを主に舞台として話が進んでいきます。美しい港、嫌でも目立つ歴史的建造物と現代建築群の対比、市民で賑わう朝市、それとは対照的に危険な匂いをふりまくナイトライフ、攻めろと言わんばかりのワインディングロード…こんな街で美男美女がクラシックカーの名車を巡ってどったんばったん大騒ぎするわけです。エロスです。ヤバいです。
4月某日、新宿の街を歩いてたら突然、真っ赤で異様にぺったんこなクルマが目に入ったんですね。それがこれ。
フェラーリ250 LM、この映画に出てくる250 GTOの後継的なポジションで、価格はやっぱり信じられないくらい高いです。んで恐ろしいのは、日本に存在する理由が全く不明で、ほぼ完璧にレストアされた状態で街中を走っているこのクルマを見て大興奮して写真を撮ってたのが、ワタシだけだったということなんです。これ1台で首都圏郊外のアパート1棟くらいは余裕で買えてしまうくらいの価値があるというのに!
クルマはいま変わろうとしています。具体的には内燃機関からEVへのシフトが急速に進んでいます。だからといって、これらの名車の価値は失われません。男女の愛も、都市の営みも同じです。Overdriveの四転五転するアクションシーンで手に汗を握りつつ、それらのエロスを少しだけ再認識してもらえると、単なるクルマ好きとして、都市生活者のひとりとして、こんなにうれしいことはありません。
男女の愛は誰かくださいマジでお願いします。