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2023/04/08

絵と音の"joint" 〜山田尚子監督の仕事を映像作品の歴史から俯瞰する試み〜 再録版文字起こし:その3

その2からの続き)

ということで、「日本のアニメーションにおける映像と音楽・音響の特異点」という話に移りたいと思います。

日本のアニメーションというのは(これまで述べた通り、または皆さんご存知の通り)ディズニーを見た方々が商業アニメーションを作り始めて、その中で映像と音楽・音響に対して意識的にアプローチを加えたアニメ監督の方だったり映像作家の方が何人かいらっしゃいますので、その方々の仕事をちょっと俯瞰していきたいと思います。

まず前提としてアニメーションを含む長編映像作品では、音楽・音響というのはだいたい外注する、専門の作曲家に委託するというのが、別に日本に限らず広く行われています。わかりやすいところで例えますと、スタジオジブリ作品における久石譲、「ジブリといえば久石譲の音楽」を思い出す方が非常にたくさんいるかと思いますけれども。それからあの押井守監督作品における川井憲次さん、パトレイバーの劇場版などが非常に印象に深く残ってますし、攻殻機動隊でもあのエスニックな音楽を作り上げたことで、作品が独特の位置を占めるようになったというのはあるかと思います。それから庵野秀明監督作品における鷺巣詩郎さんですね、エヴァンゲリオンの劇伴というのは皆さん散々耳にしたかと思うんですけども、庵野監督のオファーに対して大きな仕事を成し遂げたかと思います。この、アニメ作品を作るにあたって音楽・音響を外部の音楽監督・音響監督に任せるというのは、お互いがプロだからこそ自分の領域で仕事を全うする姿勢の表れではないかなというふうに私は考えています。これは先ほど「すばらしき映画音楽たち」の中でも出てきましたけども、あのスピルバーグ監督とジョンウィリアムズが 「E.T.」 のメインテーマを作曲する場面が冒頭に出てきましたけども、あんな感じですね、お互いにリスペクトしてるからこそ共同で音楽を作り上げていくということが行われてるんじゃないかなと思います。

ただ、そうは言いましてもアニメ監督の皆さんは別に外注しっぱなしというわけではなくて、音楽・音響に対しても非常に洞察力の鋭い方がたくさんいらっしゃいます。私が思いつく感じで何人かあげてみましたけども、富野由悠季監督は作詞家でもあります。「ガンダム」その他、主題歌でペンネーム「井荻麟」という名前で作詞をしていることが、ほぼ、ほとんどと言っていいかなと思います。それから水島努監督、「ガルパン」でもう、やっと最終章3話か4話ができたというような話が聞こえてきましたけども、音響監督を兼任したり、水島努監督(ご自身)の作品で劇中歌を自分で作曲したりしてるものがありますね、なので水島(努)監督は音に対して非常に鋭く切り込んでくる監督という印象を持ってます。もう一人、水島精二監督、特にMOGRAに出入りされてる方は一番馴染みの深いアニメーション監督だと思いますけども、DJでもあると。今「D4DJ」という(作品の)監督やられてますけども、実際にそのクラブミュージックの現場に、実際にステージに立って DJ をやられるぐらいに、音楽に対して造詣が深いと。他にもたくさんいらっしゃいますけども、今回はこの3名を挙げておきます。

で、私の個人的には、アニメーションの作家で(音楽・音響的にも)やばいと思う方3名紹介したいと思います。

一人目は南家こうじさん、私にとってはもうレジェンドといっていいぐらいの方なんですけども、今あのリメイクされたうる星やつら、リメイク前の括弧して「旧約」と書きましたけども、それのオープニングとエンディングのほぼ全て、それから、その後いくつかの商業作品は経て、最近では「みんなのうた」などで腕をふるっています。

—— やばいというのは、音響の観点でって事ですね?

映像と音響の両方の観点で。

—— 両方の組み合わせの観点ですね。

それから二人目、新海誠監督、これ(2022年)5月の(「平ハウス物語」イベント開催)発表当時の内容で直してなかったんですけども、昨年秋公開の「すずめの戸締まり」などでも出てきましたけども、やはり音楽の使い方、特に「君の名は。」と「天気の子」で「自分の作品において音楽はこういうふうに使うんだ」というスタイルを確立したんじゃないかなという印象を持っています。それからも何度も出てきてますけど庵野秀明監督、非常に大きな仕事をやり遂げた方ですので、「シン・仮面ライダー」が春に公開されるという話が出てきましたけども、アニメーションをやり尽くしたのであれば、特撮でも実写映画でも、またアニメーションに戻ってきてもいいですから、何でもいいですので、とにかく好きにやってくださいというのが正直なところです。

この御三方の仕事をご覧になっていただきたいと思うんですけども、(今回お見せしたい)南家こうじさんのお仕事は「うる星やつら」のオープニング・エンディングですので、それぞれ配信サービス等で確認していただければと思います。新海誠監督については最新作の「すずめの戸締まり」のプロモーションビデオ的なものをご紹介しておきます。それから庵野秀明監督の作品については、挙げている作品の中でお見せできないものもありますので、それぞれ皆さん何とかご覧になっていただければと思います。

まずは南家こうじさんの仕事の一例、配信等でオープニング・エンディングは見られますので、そちらを挙げればいいかなと思ってます。

—— そうですね、はい。

はい。(「星空サイクリング」を見ながら)ワタシが(「うる星やつら」の)アニメーションのエンディングでショックを受けて、初めて買ったシングル曲なんですねこれ。アナログレコードのシングルを初めて買ったという。

—— 初めて買ったレコード。

(初めて買った)レコードがこのエンディングなんです。思い出深いです。実はこれ、歌ってるのがあがた森魚なんですよ、鈴木慶一、ムーンライダーズの盟友というか、もう芸能活動50何年なんですけど、「赤色エレジー」っていうフォークの名曲があるんですけども、それで一世を風靡した人だったんですね。それを後で知ってものすごい衝撃を受けたんですけど。で、南家こうじさん、1980年〜81年ぐらいからこういう仕事をずっと続けているんですけども、ポイントとしてはですね、まず「絵と音」の同期・シンクロというのを、ものすごく意識的にやってます。つい最近知ったんですけども、コマ単位で曲を聴きながらストップウォッチでタイミングを計ってオープニング・エンディングを作っていたというふうに聞きました。原画や動画を作る際にストップウォッチでタイミングを測るっていうのは普通に皆さんやられてるんですけども、音楽に合わせてキャラクターをシンクロさせて動かすっていうことに対してかなり自覚的にやられてたのは(あの当時では)南家こうじさんですね。

—— アニメって24fpsなんですかね?8fpsなんですか?

TVだと(当時は確か)8fpsでしたね。(※注:自信なし)

—— それだとかなり時間解像度が少ないじゃないですか。

はい。

—— 音楽に合わせるって結構難しいそうだなって素人は思っちゃいますね。すごい仕事。何とか合わせていく、8フレームで。

そこはですね、ノウハウがやはりあるみたいで、音より1〜2フレーム前に映像を出すと合っているように見えるとか、(絵が一瞬だけ)先に出る。

—— 先の方がいいですかね。

はい。というようなのがあります。(注:と伺っています)実は庵野秀明監督の作品とかを見ると、(絵が)ちょっとタイミング早いってのが分かるんですよ。

—— 分かります。庵野さんの作品って、僕は結構DJとかVJの界隈にいたので、音と映像が合ってるってのは結構当然のようにして感じるんですけど。

はい。

—— 庵野さんの作品は映像を逆にずらしてるみたいなのは感じますね。

そうです。

—— グルーヴ感みたいな感じるんです。

ちょっと先に映像が出るっていうのが庵野秀明監督の割と特徴ではありますね。こういうオープニングやエンディングの演出の。

—— それが単純にずれてるって感じるんじゃなくて、気持ちいいずれみたいな。感じますよね。

はい。シン・エヴァンゲリオンのときもそうですし。旧作の時に、庵野監督が尊敬して実際に対談まで行った岡本喜八監督という巨匠がいらっしゃるんですけども、編集の話になった時にコマの話になったんですね。実写でもアニメでも最終的にはコマ単位で切って、リズム感・グルーヴ感を生み出すと。なので編集はあの人任せにできないっていう話をお二人でしてたんですよ。(注:記憶違いがあるかも)で、庵野監督は岡本喜八監督の実写映画を BGV にしながら仕事してたっていう話もあるぐらい、そのリズム感って言うか映像の気持ち良さみたいなものを岡本監督の作品から学んだっていうようなことを確かおっしゃってましたね。やっぱりコマ単位なんですね、解像度の高い方というのは。

せっかくですからちょっと余談気味に南家こうじさんが(旧作の)「うる星やつら」の最後のオープニング(「殿方ごめん遊ばせ」)を作ったら最後こうなったっていうのをちょっと(見ましょう)。

古い時代(旧作)の「うる星やつら」の最後のオープニングです。これ、曲はモータウン(調)なんですよ。で、南家こうじさんの特徴は、先ほどの「映像と音声のシンクロ」に加えて、ポップでグラフィックデザイン的な絵と、それから色彩ですね、非常にカラフルでポップなんですよ、全体的に。で、(動画を見ながら)こういうところも背景をベターッと黄色で塗ったりして、グラフィックデザインだったりそういうところにも(見てる側の発想が)行く。もう一つは「キャラクターを大きく動かす」っていうのが特徴としてありますね。フレームイン・フレームアウトを多用するんですよ。このフレームイン・フレームアウトを多用することによって空間の広がりっていうのが画面以上に感じられるんですよ。広がりを非常に感じる、南家こうじさんの特徴を三つ挙げろと言われたら、映像と音のシンクロ、ポップでグラフィックデザイン的な色彩やデザイン、絵柄もそうです、それからフレームイン・フレームアウトを多用する空間の広がりを感じさせる構成、この三つがもう本当に素晴らしいですね。何度見てもすごいと思います。

南家こうじさんの次に新海誠監督の作品をご覧になっていただきたいと思います。もう映画館でたくさんご覧になった方いらっしゃるかと思うんですけども、最新作の「すずめの戸締まり」の予告編ではなくて、劇中のシーンを編集したプロモーションビデオ的なところ、それが公開されていますので、そちらをご覧になっていただければと思います。オープニングだけだとやっぱり良さが伝わらないですね、新海誠の場合は。

—— 作品の中で MV というかEDM のミュージックビデオみたいな感じになりますもんね。

ええ、なので本当であれば(「君の名は。」の)「前前前世」のシーンをベターッと見て欲しいくらいなんですよね。

—— まあ皆さんご覧になってます(笑)。

好きなのどうぞっていう感じですけど。

—— (笑)。

ちなみに(「すずめの戸締まり」を)ご覧になりました?

—— 見ました見ました。 余談ですけど、”三部作”の中で一番好きかもしれないです。

おお、そうですか。

—— なんかあの、コロナでずっと家にいたんで、色んな街がどんどん出てくる感じとか良かったのかな。

それはありますね。何だっけ、チャラいお兄ちゃんが車でいきなり懐メロかけるじゃないですか。

—— ああ。ありましたね。「魔女の宅急便」。

あそこは誰かストップをかけなかったのかっていう(笑)。

—— (笑)。あそこはいつもだったらEDMが始まりそうな。

EDMが、RADが(=RADWIMPSが)かかる、みんな期待してたとこにあれが来たんで「えっ」て思ったっていうのは多いんじゃないかなと思います。

—— そうですね、何かちょっと大人になってジブリに寄せていきたい、そういうノリを感じました。

新海誠監督はいわゆる”三部作”と呼ばれる作品で、特に「君の名は。」から「天気の子」にかけて(J-POP的な)ヴォーカル入りの曲を劇中歌として用いて、それを演出として使う、かなりの尺でかなりのシーンを、それで大々的にやったっていうことで、それがもうむちゃくちゃウケたわけですよね。私個人はこれを「新海誠メソッド」と呼んでますけど(笑)。

—— そこに特徴ありますよね。

特徴あります。ずっと私が「『君の名は。』エピゴーネン映画」というジャンルを個人的に追いかけてるんですけども。

—— 「新海誠っぽい」他の監督の作品ってやつですよね。

そうですそうです。それの重要な重要なキーとして、やはりその(J-POP的な)ボーカル曲を劇中歌として用いて何かを語らせて演出に使うということをやるかどうかでリスペクトしてるかどうかがある程度見れるっていう。

—— ある意味インド映画のパターンみたいな。

そうですね、それに近い所ありますけどね。ミュージカルというわけでもないんですよね、ミュージカルだと割とストーリーから歌にシームレスに繋がっていくじゃないですか。

—— 確かに。主人公たちが歌っちゃったり踊っちゃったりしますもんね。

そうですそうです。

—— 新海誠はちょっと違う。

違う。ミュージカルではないんだけれども、ここに合わせるには多分この(J-POP的なボーカル)曲がいいだろうっていう、それがボーカル入り曲を当てることでそれが流れてる間は劇中の人、声優さんが話したりすることはないわけですよね。でも物語は実際に進んでいくっていうのを見せるっていう手法を確立したというので、かなり大きなインパクトを業界に残したんじゃないかなと思ってます。

じゃあその次ですね、(「DAICON IVオープニングフィルム」を見ながら)庵野秀明監督が元々アニメーター出身で原画マンとして参加していて、このシーンが庵野秀明監督が書いたかどうか裏付けが取れてないんですけども、こういう「絵と音」の関係を語る時にどうしても取り上げざるを得ない作品ですので、皆さん機会があれば是非ご覧になっていただければと思います。ということで我々はちょっとその部分だけ見ましょうね。これちなみにご存知でした?

—— ああ、一応自分は何か岡田斗司夫の本とか読んだときに、そういう歴史があったのかなと思って見ましたね。

(「DAICON IVオープニングフィルム」含めDAICON FILM作品は当時)本当に伝説的なカルトフィルムで、大学の映研でむちゃくちゃダビングされたガビガビな画質のやつを人づてに上映会とかで見るしかなかった、もう本当にガチオタ中のガチオタしか見たことがなかった作品だったんですね。それを2000年代か何かで一旦販売したことがあるんですよ。(注:記憶違いだと思います)

—— あ、そうなんだ。

よく販売したなっていう(驚きがある)ぐらい販売したんですよ。(注:繰り返しますが勘違いだと思います)

—— マッシュアップみたいな。

キャラクターの無断使用など後でも触れますけども、(映像を見ながら)ダイデンジンかなこれは(笑)。「デンジマン」か何かのキャラクターですか。各方面から怒られが発生しませんか?(笑)。

—— ゴジラとかガンダムとか散々出てきますもんね。

散々出てきますからね。しかも ELOの「トワイライト」って曲を全く無断に引用して使ってるからMADですよね。実際(2022年5月に「平ハウス物語」で)紹介した時に「MADの始祖」って言われたんですけど、これはもうプロが参加してる作品になっちゃってるので(クオリティ的には)ほぼ商業作品と言っても過言ではないんですね自主制作にも関わらず。これは「DAICON IV」という(SFファンが集まる)イベント用のビデオなんですけども、(「DAICON IV」の前に開催された)「DAICON III」の時は完全アマチュアで、(縦横に飛び交う7本の剣を見ながら)この辺り庵野ですね多分、(「DAICON IV」には)確かマクロス(=TV版「超時空要塞マクロス」)のスタッフも参加してるというふうに聞きましたけど。

—— (笑)。そしたらオリジナルですねほとんど。

後ろに流れてるのがもう(オリジナルと言っていいくらいすごい)。

—— (女の子が剣に乗ってターンを決めるシーンを見ながら)これもなんか「エウレカセブン」っぽいっすよね。

そうなんですよ。

—— 逆に。すごいなあ。「エウレカセブン」っぽいというか「エウレカセブン」が元ネタにしてる可能性とかもある。

(爆発シーンを見ながら)ここはもう完全に庵野です。

—— あー。

これは原画を見ました。

—— ああそうなんだ、すごい。

はい。

—— むちゃくちゃやばいな、今のシーン。

ここの爆発のシーン。

—— これ核実験の映像とかですよね?

庵野秀明が核実験の映像を見て、それをアニメーションに起こしたという話が伝わっています。

—— ハンパない。あの(核実験の)映像をアニメで再現しようというのがおかしいですね。

原画を実際に見たんですけど、一つ一つパーツに番号とかが振ってあって、これがどこに動くかって指示まで、原画段階で出してるんですよね。だから、「一瞬宙に浮いてから爆風に流される」みたいな動きが異常な精度になってるわけですよね。

—— たぶん中心の爆心地の気圧が下がって一回戻ってくるんですよね。

戻ってくんですよ。

—— ガイナックスの「(王立)宇宙軍」の発射シーンとか彷彿とさせますよね。

(ロケットを)実際に発射する記録映像を見て、やっぱりそれを原画に起こして描いた。(と聞いています)

—— やっぱそうなんだ。

あれ、「庵野秀明展」で実際に原画を見ましたけども、全てのパーツを原画に起こしてるんですよね、氷の破片を。むちゃくちゃですね。

—— あれめちゃくちゃですもんね。今だったらCGとかでやっちゃうけど。

だからもう二十歳とか二十代前半であまりにも突出した才能なので、大阪に住んでるんだけども(TV版超時空要塞)「マクロス」に参加したり、いきなり宮崎駿のところにスタジオに泊まり込んで「ナウシカ」の巨神兵のシーンをやったりとか、その縁があるので、宮崎駿のことを「宮さん」っていう呼んでるんですよね、「宮崎監督」とか「はやおさん」とかじゃなくて「宮さん、宮さん」と呼んでる。 まあ”直系の弟子”ですよね。

ということで庵野秀明監督の「映像と音楽に対してここまでのことをやり遂げてる」のが(「DAICON IVオープニングフィルム」公開時の)1983年ですから、実物をご覧になられる機会っていうのは無いかもしれないですけども、アーカイブとしては色々残ってる可能性がありますのでご覧になっていただければと思います。

背景を簡単に述べておきますと、「DAICON IVオープニングフィルム」というのは大阪で開催された第22回日本 SF 大会のオープニングを飾ったアニメーションになります。半自主制作と言われていますね。これの前段階で作られた「DAICON IIIオープニングフィルム」、 これはほぼ完全にアマチュアのみで製作されたと言われてますけども、1981年に作られた短編アニメーションなんですけども、もう「アマチュアの枠を超えてしまった」と言われたぐらい、当時のオタクと言うか SF ファンと言うか、その界隈の人達で大評判になって、それを受けて後作られた作品ということになります。あとはこの「DAICON IVオープニングフィルム」に関しては、「III」(のアマチュア製作)に対してプロに近い製作体制が引かれて、実際に(当時の)プロのアニメーターの方が何名か参加されたというのが判明しています。(注:記憶で話していますので誤りかもしれません)で、このプロに使い制作体制というのは「DAICON FILM」というふうに言われていますけども、後にに「GAINAX」というアニメーションスタジオの母体になっています。

ここでオタク的な一般教養としての余談から、ちょっと視点を変えたこのフィルムの重要性を簡単に触れておきますと、ブートレグ、リミックス、あるいはMADと言われる「インディーズ精神の発露であるというふうに思えるところがあります。それは見て頂いた方にはすぐお分かりになっていただけると思うんですけども。出てくるキャラクターやメカニックその他もろもろ、ほぼ全て許諾を取ってない、無断で使用しています。それから実際にこの映像に合わせて流れる音楽、 Electric Light Orchestra 、通称ELO の「トワイライト」という曲、これも当然無断で使用しています。ただ、無断で使用はするものの、出来たものに関しては非常に良いものである、あるいは新しい価値を生み出しているというのは、これは音楽業界では当たり前に行われているブート(≒ブートレグ)、それからリミックス、そういったものにつながる、「自分たちで好きなことをやる」っていう精神に繋がるものではないかなというふうに私は感じます。

—— DJカルチャーがまさに。

ですよね。サンプリングなんかもかなり。「そのサンプリングを用いて新しい曲を作ったり」とかって普通にしてるじゃないですか。

—— 最近はデジタルデータのプラットフォーム上でチェックされちゃって、ブートレグとか難しくなってきてるんですけど、いまだにレコードとかは相変わらずブートレグ多いな、みたいなのがあります。

ええ。ですので音楽業界では非常にポピュラーな考え方で広く受け入れられてるんですけど、80年代初旬(くらい)からしばらくアニメ業界でも割とフリーダムにキャラクターをどっかから持ってくるとか、好きなものを描くというようなことが、ある時期まではかなりフランクに行われていたという歴史の証明でもありますね。

最終的に庵野秀明監督は凄腕アニメーターからキャリアをスタートして最終的にもう今や押しも押されぬ名監督になってるわけなんですけども、彼の名声を一躍広げた有名なオープニングをご覧になっていただければと思います。(TV版「新世紀エヴァンゲリオン」のオープニングを見ながら)これも各種プラットフォーム等でご覧になれると思いますので探していただければと思います。

曲に対する絵の当て方、テンポがいっこ絵が早いんですよね。

—— 音に完全に合わせるわけじゃなくて見て気持ち良いタイミングに調整してるって言うんですかね。

まさにおっしゃる通りですね。もう一つ、本来見せたかった方、(「ふしぎの海の」)「ナディア」はご存知ですよね?

—— 「ナディア」見ました僕。

「ナディア」のオープニングがものすごい衝撃的に良くて、(オープニングの冒頭を見ながら)まずここの背景の引きです、背景をものすごく細かく、しかもものすごくでっかく動かすんですよ、これカメラ一発録りに見せてるんですけど背景は(おそらく)何枚も重ねて作ってますよね。あとこの辺だとテンポよく、「♪奏で出すの〜」のタン、タン、とキャラクターを見せるところ、ここのテンポが「絵の方が先に来る」って言うのはここを見ればわかります。非常に完成度の高い映像をものにしている監督ですね。

さてご覧になっていただいた庵野秀明監督の作品を踏まえた、これらの皆さんの作品を通じてざっくりとしたまとめをしておきますと、日本のアニメーションっていうのは「絵」と「音」がシンクロする快感、今見ていただいた諸作品どれにもパチンとはまった時の気持ちよさっていうのが共通してあると思うんですけども、その「シンクロする快感っていうのを繰り返し発見してきた歴史がある」というふうに考えます。それは例えばマクロスシリーズだったり、あるいは今回は取り上げませんでしたけども「カウボーイビバップ」、それから「エウレカセブン」ですとか、最近の作品ですともう挙げだすとキリがないぐらい「絵」と「音」をシンクロさせて、その時に得られる快感っていうのを繰り返し見つけてきたというふうな歴史があると、で、日本のアニメーションにおける映像と音楽・音響の特異点、今まで見てきていただいた方々の仕事の延長線上に、京都アニメーションの仕事が存在するんじゃないかなというふうに考えています。例をあげますと「涼宮ハルヒの憂鬱」のエンディング「ハレ晴レユカイ」ですね。いわゆる「ハルヒダンス」がオタクの基礎教養になったというぐらいのインパクトをもたらした。それに続けて「らき☆すた」のオープニング、あそこ(=サビ)でラインダンスを披露するところがありましたけども、キャラクターが非常に大きくアクションして動きながら音楽に合わせてダンスするというのを自覚的にやってるというのが、今に通ずる流れになってるかなというふうに思います。「涼宮ハルヒの憂鬱」のエンディングや「らき☆すた」のオープニングが無ければ今の日本のアニメーションはこのようになっていないと思ってるぐらいなので。

—— ニコニコ動画の”踊ってみた”とか、あのへんのカルチャーすらも変わってたかもしれないですよね。それが今飛び火してbilibili動画とか tiktok になったりとか。

自覚的に踊る、ダンスをするっていうことに対してそれを映像化するっていう。しかも「ハルヒ」のエンディングってあくまでも「SOS 団が自分たちで撮った」体でカメラを置いてますよね。だからあの何て言うんですか、カメラ割りは(アニメーションとして)当然入ってくるんですけども、基本的には定点、1個のカメラをただポンと置いてダンスしてる姿を とりあえず納めてみたっていう映像になってるわけですよね。あれがやっぱりいろいろ”踊ってみた”のフォーマットになってると。カメラをとりあえず一個置いて、曲を流してセルフでとりあえず正面から撮って、「出来た!」「踊れたのでみんな見てね」っていう流れになってるので。

—— 携帯が流行ってちょうど1台で撮れちゃうっているのも。

それを(ネットに)上げて、これがフォーマット化したっていう感じですよね。

—— 今で言うと「ハルヒ」のエンディングって、自然に”踊ってみた”やってるのかなって思うけど、当時無かったですもんね。

しかもアマチュアがやってる体で演らせてるわけですから、最後の5人が揃って踊ってる時に、キョンはすごくタイミングずれたり怠かったりつまらない(と思ってる感じで)踊り方をするんですよ。それがアマチュアらしさの演出と言うか、部活っぽさを表現している。

—— 高校生がやってると。

ええ。プロではなくて、あくまでもアマチュアです、素人です、部活です、っていうの見せてるっていう。それはやっぱり2006年の時点であそこまで突き詰めて見せられたら皆ショック受けますよね。

話は戻りますけども、ディズニーから(日本の商業アニメーションが)始まって、「絵」と「音」に関してはくっついたり離れたりしながら、時々ものすごいくっつき方をする作品が出てきた後に、京都アニメーションの作品において「絵」と「音」というのが自覚的に見られるようになる素地が出来上がったということが言えるんじゃないかなと思います。



その4へ続く)
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