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2024/05/06

「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:第五回 #ユーフォ3期

「ひとつ聞きたいんだけど、
あがた祭りって何 !?」



いや自分もユーフォを見てこの宇治のお祭りを知ったので気持ちは分かるんですけどね。というわけで黒江真由嬢もお待ちかね?のあがた祭り回です。




(余談:黒江真由嬢が使うコンタックスT2は名機ですけどアナログフィルムカメラである以上、よほどじゃないと夜の撮影は厳しいと思いますが、とりあえず置いときます。それとカメラと写真はユーフォ3の重要なモチーフと言い続けてきましたが、それは黒江真由嬢がアナログフィルムカメラを愛用しているからで、こういうのを実際にやってる実在の誰かさんが彼女のモデルではないのかと勝手に妄想しています)




とは言うものの、今回のエピソードでは高校3年生の久美子の進路がまだ決まらんという話がわりと中心的に描かれています。個人的には自分がまさに美知恵先生から指摘されたところの「迷いを怠けの言い訳にするタイプ」なので耳が痛い…なので久美子のような顔をしながら画面を見守っておりました。



その一方でプロの演奏家になるという将来の夢を持ち続けている麗奈は久美子に音大へ行けと勧めるわけですけど、まあ何というか現実的な格差みたいなものをここまで高い解像度で描かれると、そりゃあ安易に同意はできんわなあということもまた思い知らされます(ってここまで書いて思ったけど、希美の軽はずみな音大進学発言によってみぞれとふたりして大変なことになっちゃったのはある意味必然だったよなあ。閑話休題)






(余談:このような音楽スタジオ化した地下室つきの家を若いときに建てた後輩がいます。それからレイナンチ←字幕でそう書いてあった、に停まってるのはメルセデスのG320型ゲレンデヴァーゲンダイハツ初代ムーヴキャンバスでしょうかね)



と、表層的なところはこれくらいにして、迷ってるのは黒江真由嬢も同じです。



この代はいくつも新しい試みを実践していて、そのうちのひとつ、各コンクールごとに毎回オーディションでメンバーを決めることになったんですが、久美子部長に何度もコンクールメンバーになってもいいのか、オーディションを受けねばならんのかと確認しています。北宇治高校の制服を夏服とはいえようやく着たので全体の方針には従っていますが心の底から納得はしていない、迷ってるというよりいまだ戸惑っていると表現したほうが正確かもしれません(なお制服はOBの誰かから借りてるんじゃないかと推測しています。理由はいずれ)

ただ、久美子に対して裏表なく接してくるその距離感は、天然と一言では表せない複雑なもので…すっとぼけた雰囲気を醸し出しながらコンクールメンバーに自分は必ず選ばれるということを前提にしている点、麗奈ともまた違った特別なものを感じます。「ソリ絶対吹く!!」と書かれた久美子の譜面を目にしたのか定かではありませんが、「一年の詩」のソリを一緒に吹こうと持ちかけるあたり、久美子にしてみれば心中穏やかではないでしょう。麗奈のブレのなさと黒江真由嬢の戸惑い&自信に挟まれて、久美子の迷いはしばらく解決しそうにありません。ふたりして特別だと確認し合ったのは、麗奈が黒江真由嬢を無意識に強く意識し始めた、その兆候のように思えます。なんせ今回は大吉山に登らず(上昇せず)地下に潜った(下降した)わけですから。




ところで上の画像は公式がダウンロード可として配布しているものですけど、あがた祭り回が特別であるというのはエピソードとアニメの出来の、そのどちらも特別だからという点を、本当は動画を切り取って見せたいところです。これまでのシリーズがレンズ描写にこだわってきたとして、ユーフォ3はずっと光と影の描写を追求している節がありますけど、今回は全編にわたる光と影のコントラスト、光が差し込んでゆらめく様子がとにかくフォトジェニックで美しい。その光と影で決まる構図がピタリとシーンに当てはまる演出の冴えは、見事と言うしかありません。京阪電車の手すりに反射したり床に差し込む日差しと電線の影に至っては、驚きを通り越して呆れるほどです。現在のアニメ製作では非常に重要な工程となった撮影ですが、このシリーズにおいては演出が意図した最終的なアウトプットを実現するため、絵コンテから原画・動画・背景、彩色・仕上げ、3DCG、撮影の各セクションが一体になって取り組んでいるのかもしれません。ちょうどいいタイミングなので、第一回から第五回まで、光と影の描写に注目して見返すのをおすすめします。



あとは小ネタ。秀一副部長は前回指摘した通りやっぱり動きが遅いですが、本人は改善するつもりでいるようなので今後に期待。しかしダウンロード可の画像になかなか選ばれないあたり、肩身が狭いのはしばらく続きそうです。求くんは前回のエピソードで何か吹っ切れた様子が見てとれて、久石奏の良くも悪くも変わらない性格とは対照的です。それから個人的にとても気になった、ホワイトボードや黒板に書いたスケジュールの時間軸が左から右(→)ではなく右から左(←)なのは、「時間の逆転」的に深読みできますけど、数学が苦手な誰かさんがナチュラルに縦書きの作法に則って書いたのかもしれませんし、府大会と関西大会という最大の山場をまず最初に書いちゃたからああなったのかもしれません。



さて次回はいよいよ最初のオーディションですが、ここで大きな問題が…京都府・関西・全国と3回やるとしてそれぞれを描かないとなぜこのメンバーが選ばれたのかという理由が提示できないので、どんなに端折ってもエピソード6回分は使わざるを得ません。1クール13話として残り8回なので差し引き2回、最後は久美子の卒業回なので残り1回!修学旅行へ行ったり太陽が丘のプールで涼んだりアクトパル宇治で合宿する時間があるのか、吹奏楽の強豪校ともなると忙しすぎて大変っすねえ…こいつらは何だかんだでハードな部活をこなしつつガンガン遊びに行くバイタリティがありそうですけどね。




そして、次の曲が始まるのです。
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