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2024/05/23

「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:第八回の前に #ユーフォ3期

いきなり本題。ユーフォ3期の第六回と第七回のカットから、北宇治高校吹奏楽部のA編成の各パート構成を、このように推定しました。




なお「三日月の舞」「リズと青い鳥」の編成は、下記の動画を参考にしました。この場を借りてお礼申し上げます。



ホルンやトランペット、トロンボーン、パーカッションは画面に写り切らなかったので保留としてたんですが、「スターターブック」等の資料とB編成の記念写真撮影等から、より正確な人数を割り出した方がいらっしゃいました。




これを見ると、3年生は府大会にほぼ全員が選ばれています。個人的にはアンコン編でとてもがんばった釜屋つばめちゃんが喜ぶさまが見たかったんですが、サプライズ気味に選ばれた妹のすずめちゃんが大喜びしすぎて姉の自分が喜ぶタイミングを忘れちゃったんだろうということにしておきます。

2年生は去年のコンクールメンバーが順当に選ばれている感じでしょうか。ダブルリードでパートリーダーをやってる剣崎梨々花ちゃんは(寡黙な先輩の指導が的確だったんでしょうけど)当然ながら選ばれているところは率直に嬉しいです。

問題は1年生で、編成を何度確認しても4〜5名しか選ばれていません。確実なのはチューバ1(すずめちゃん)、クラリネット1(サリーちゃん)、オーボエ1(これは先のポストの画像ではファゴットになっていますが、第七回のカットで梨々花ちゃんの隣にもうひとりオーボエがいるのを確認したのでたぶんこっちが正しい)で、先の図ではフルートとホルンにそれぞれ1名となっていますが、そこは置いときます。

各パートリーダーがしっかりしてるのは実に頼もしいですが、それでも「頑張って上手くなればオーディションを突破して大会に出場できる」「そうやって部員が誰ひとり脱落することなく全国大会に出場して金賞を取る」というのは、目標としてはやはり不適切なんじゃないかというのが、今回書きたかった内容です。だって2年生ですら半分出られるかどうかの競争率で、パートによっては不動のメンバーが構えていたりするなかで、この層の厚さを突破するのがいかに大変かは、1年生の初心者はもちろんかなりの経験者でも直感的に理解するはずです。それだけに釜屋すずめちゃんの選出が異様なわけですが…

それともうひとつ、過去の楽曲に比べて「一年の詩」はクラリネットが重要視されていますが、低域を担当するパートや楽器にもかなりの人数が割かれていて、結果的に、サックスが人数を削られて競争率が上がっているように見えます。人気の楽器だと思うのでそのぶん実力者が揃ってると考えるのですが、滝先生が曲に合わせてバランスを考えたらこうなったということなんでしょう。仮に他の曲ならコンクールに出場できたであろうメンバーが影で涙を呑んでいるかもしれないと思うと、何とも残酷でやり切れません。



さてここでちょっとしたお話を。ユーフォ3が放送される毎週日曜の夜に、某氏主催・"北宇治高校DJ部"部長とワタシがレギュラー的な役割を担当して、Xのスペースで感想戦という名の雑談をしているんですが、こないだ吹奏楽の指揮の経験が豊かな某氏がいらっしゃったんですね。ちょうどこの編成の話になったので根掘り葉掘り伺ったところ、「強豪校では各パートの奏者が指揮用の譜面を読んで全体の演奏のバランスを考えるケースがある」という意味合いの、実に貴重な証言を得ました。

つまり強豪校である清良女子からやってきた黒江真由嬢は、北宇治高校吹奏楽部のなかで真っ先に「一年の詩」の指揮用の譜面あるいは各パートの全ての譜面を読み込んでいたため、「この編成ならユーフォは2名くらい」と根拠と確信を持って発言した可能性が考えられます。北宇治高校吹奏楽部で他にそんなことができそうなのは、高坂麗奈とサファイア川島くらいなものでしょう。

吹奏楽部の部長とひとりのユーフォ奏者と単なる受験生という三足のわらじを履いてあたふたしている黄前久美子と、常に超然と構えていた黒江真由がひたすら噛み合わないのは、北宇治が強豪になる過程で久美子自身(や滝先生)がトライアンドエラーを繰り返しながら吹奏楽部の楽しみを見出した一方で、黒江真由の奏者のキャリアが強豪校という厳しい環境からスタートして(指揮者の譜面を読み込んで曲のバランスを考えてあえて自分を抑えることを学んだうえで)合奏を楽しむという境地に自己を見出したという、吹奏楽部に所属する奏者としての出発点とスタンスの違いによるものなのかもしれません。



「私はあなたたちの本気の演奏が聴きたい」



黄前久美子と黒江真由に対して、高坂麗奈にはぜひいつもの調子でこう挑発してほしいですね。

そして、次の曲が始まるのです。



2024/05/24追記:「黒江真由嬢がいつからユーフォニアムを吹き始めたのか問題」ですが、田中あすかみたいにいきなり送りつけられてきたわけじゃないでしょうけどマイ楽器を持ってることを考えると、少なくとも黄前久美子と同じくらい、遅くとも中学入学からスタートと考えるのが妥当でしょう。宇治に引っ越ししてきてさっそく河原で吹いたり、転校初日にわざわざ持ってこなくてもいいはずの重たいユーフォニアムを携えてきてやっぱり吹いたりするあたり、ユーフォを吹くのがとにかく楽しくてしょうがないというのが伺えますが、実は彼女は釜屋すずめちゃんの将来の姿なのかもしれません。すずめちゃんはああいう感じですから、チューバを学校から持ち出して宇治川のほとりで練習しまくることを全く躊躇しなさそうですし。

さらに追記:「人材としては極めて優秀な黒江真由嬢を最大限に生かすため北宇治高校吹奏楽部はどうすれば良かったのか問題」は、部長・副部長・ドラムメジャーの3名による面談および3年生全員またはパートリーダー会議の承認を経て、葉月&梨々花ペアの1年生教育係のオブザーバーにさっさと据えてしまうのが最適解だったんじゃなかったかと思います。事実、強豪校ではこうしているという情報を得てコンクールごとのオーディションを採用してますし、彼女の高い技術、人当たりの良さや親しみやすさ面倒見の良さという長所を、単なるひとりの奏者のママにしておくのは非常にもったいない話です。もちろん、部外者に当事者意識を持ってもらうには適当な理由をつけて組織に巻き込んでしまうのが手っ取り早いというのが一番の理由ですが。まず間違いなくそういうふうに舵を切ったであろう、憧れの田中あすかになり切れないのが、黄前久美子部長ではあるんですけども。
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