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2024/06/06

「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:第八回 #ユーフォ3期

いやー…第六回のときに「油断すると1週間があっという間に過ぎる」と書いたはずなんですが、第八回「なやめるオスティナート」の衝撃は何を書くべきか悩ませるのに十分以上のインパクトでして…正直なところ、メンタルをゴリゴリやられるという意味では最近のアニメの中でも屈指のエピソードだと思います。

(以下、第九回を見たあとなので先週のあれこれを思い出しながら書いていきます)





まずここで黒江真由というキャラクターというか人格というか、について、これまでいろいろ言われてきたんですが、この回を見て率直に思ったことを書きますね。

「黒江真由は突き詰めていくと単に子供なのでは」

ということです。大人びた風貌と落ち着いた態度や明るく話しやすい口調、誰とでも仲良くなれる性格、その一方で個人の主張を曲げない頑固さや言動のしつこさとその時々の不一致、自己をさらけ出さず他人を信用しきっていない様子など、「3」から加わったジョーカー的キャラクターなので何か深いあれこれがあるのではと思わせられてきたんですが、もうここまで来ると「おまえ子供だろ」と。彼女が子供であると最初から分かっていたなら、黄前久美子部長以下、北宇治高校吹奏楽部の各メンバーの接し方も変わったはずで、ユーフォパートがここまでこじれることもなかったのではと思わされます(誰が見ても子供としか表現できない妹を持つ釜屋つばめちゃんが黒江真由嬢と仲良くなったというのは、ここに来て非常に示唆的ではあります)




なので、久美子は己の子供時代を想起させる黒江真由嬢との付き合い方を出会いの最初から間違えてしまって、関西大会前でのソリ交代という事態を招いたと言えるでしょう。

ここで注意すべきは、京都府大会から関西大会まで、夏休み期間のたった数週間しか空いてないという事実です。「そのときのベストの布陣で望む」というコンセプトに異論は無い前提ですが、それでもわずかな間隔しか無いなかで低音パートの構成を変えてソリを変えてというのは、ワタシのような素人には滝先生のギャンブルめいた行為に映ります。参考までにチューバ+1/ユーフォニアム-1の編成表を貼っておきますね(人数は推測なので念のため)


放送直後のXでのスペース(のべ約4時間)で伺ったんですが、吹奏楽も低域から組み立てることが多く、チューバとユーフォニアムの音域を考えると、こういう調整はあり得ると教えていただいたんですが、まあ何というか、かなぴーこと久石奏の報われなさ・救いの無さは残酷というか気の毒というか、「そのときのベストの布陣で望む」というオーディションのコンセプトの現実を突きつけられたようで、現場に居合わせたらかける言葉が見つからなかったと思います。





そして、もっと大きな問題を抱えたのが久美子部長であることに異論はありません。というか将棋で言うところの「王手飛車取り」を食らった状態とでも例えればいいのかなあ…まず、部長としてのリーダーシップに影響が出ることはソリ発表直後のざわめきから明白です。さらに同じユーフォ奏者としてオーディションに落ちた久石奏に対するフォローができません(ふたりして落っこっちゃったけど次の全国でまた一緒に吹こうよ〜などと軽口を叩けるほど神経が図太ければ良かったんですけどね)それから盟友であるところの高坂麗奈との「全国まで一緒にソリを吹いて金賞を取る」という誓いが果たせなくなって、麗奈に対しても顔向けできなくなりました。まあ久美子本人が黒江真由を「自分と同じレベルの子供」と認識してがっぷり四つで向かい合っていれば、こういった諸々は抱え込まずに済んだんでしょうけども。風呂場であのまま殴り合いのケンカをしろとはさすがに言えませんが。





…で、ここまでストーリーを眺めて流れをそのまま記述しただけでもうお腹いっぱいなんですが、あらためて考えると、「子供」と「大人」の主題は、どの回でも反復して語られているんですよね。過去にこだわって我を張る、進路の決定を先延ばしにする≒子供、(恋愛感情も含め)これまで隠してきたことを話す、あえて触れないようにしてきたものごとに正面から向き合う≒大人、と言ったような。何をもって子供/大人とするかについて滝先生すら自己言及していたほどですし。なので、入学当時から最も大人であったはずのサファイア川島ですら自分の子供っぽさを痛感してたのは、必然だったのかなとも思います。




あとは個人的な余談。A編成のチューバの3人の並びに違和感があったんですけど、最も実力があって実質的なリーダーである鈴木みっちゃんがステージ中央寄りに座るのは無問題として、次に葉月ではなく釜屋すずめちゃんが座る理由が、これまたXでのスペースにいらっしゃった識者の「コントラバスの響きを聴きながら音を作れるスキルを持つメンバーをあえてコントラバスの近くに配置したのでは」というご意見に、またもや腑落ちしたことを申し添えておきます。アンコン編で葉月は久美子から「聴き過ぎるからかえって良くない」と指摘されていて、あのときは短所と捉えられてたんですけども、スキルが上がった現在ではそれが長所になっていると。また同時に、鈴木みっちゃんが左利きなのでチューバのベルが他のメンバーとぶつかるかもという物理的な問題を加味すると、あの変則的な鈴木みっちゃん=すずめちゃん=葉月という並びが実に合理的であると納得できるわけです。こういうのはおそらく指揮者とパートメンバーで密にコミュニケーションを取って調整するはずで、従って、滝先生が関西大会のオーディションメンバーを思いつきで選んでいるわけでは決してないというのは、間接的ながら理解できるんですが…



というわけで話を戻します。「おまえは子供と大人のどっちなんだ」という疑問に囚われ続けている久美子、最初から大人だった麗奈、大人に見えるけど中身は子供の真由、この3人が何とかして合意しなければ全国どころか関西大会も危ういとしか言いようがありません。それがいかに難題なのかは、彼女がシリーズを通して発し続けたフレーズの声色から窺い知れる動揺と心細さに現れています。


そして、次の曲が始まるのです。
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