今敏氏が46歳の若さで急逝した。既に報道が出ているので詳しい説明は省くが、才能に溢れた、よいアニメーションをつくる監督だった。死因は膵臓ガンだそうだが、その彼が残した遺言が公開されている。彼はこれを「来るべきその日のために」あらかじめ書き残していたのだ。一字一句、文字通り身を削るような想いをもって。こんなにも清冽で残酷な文章があろうか。唯一の救いは、彼の周りには素晴らしい人たちがたくさんいて、彼の生きざまを最期までしっかりと見届けてくれたであろうということ。仮に自分が同じ立場に置かれたとして、彼のように最期まで生き抜くためのモチベーションを保てるだろうか?また、真に頼れる、助けてと声をあげてそれに応えてくれる友人が、周囲にどれだけいるだろうか?そもそも、数年前、自分は同じ境遇に陥るかも知れなかったのだ。あれがもし悪性と診断されていたら、彼のような道を選ぶことができただろうか?遺言を何度も読み返し、自問自答を繰り返すのみである。
合掌。