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2024/04/22

「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:第三回 #ユーフォ3期

このブログ記事は、毎週日曜17時の放送から間を置いて、各種ストリーミングサービスで視聴可能になる水曜日くらいを目処にマイペースで書いていこうと思ってたんですけど、今回はネタが揃いすぎてるのでネタバレ込みで早めに公開してしまうことにしました。この期の北宇治高校吹奏楽部には既に破綻の兆しが見えると第二回で指摘しましたが、その発端と(とりあえずの)収拾が描かれたのが今回と言えるでしょう。ただ肝心かつ本質的な大問題であるところの

幹部の目標設定が必ずしも一致していない

点がどうなるのかは、次回以降へ持ち越しになりましたが…




ここで一旦整理しましょう。久美子部長と秀一副部長にドラムメジャーの麗奈の、部活における目標設定は現時点で以下の通りです。

  • 久美子:全国大会で金賞を取る、入部した1年生含めて全員で
  • 秀一:全国大会で金賞を取る、それ以外は深く考えてない
  • 麗奈:全国大会で金賞を取る、滝先生のもとで

第一回で「ん?」と引っかかった方は、もしかすると集団で動く経験が豊富なのかもしれません。久美子は、「入部した1年生含めて全員で」という、別の高い目標を個人的に設定しました。幹部ノートなどで麗奈や秀一に「全国で金賞を取るのを目指している以上は初心者含めて脱落していく部員をフォローしている暇はない」「辞めると言われたら止める理由がない」と反対されている通り、久美子が考える「吹奏楽を始めた全員が揃ってこその北宇治らしさ」というエゴが幹部の意思統一を妨げ、そのために組織のトップであるはずの久美子が他の幹部に対して強く出られません。これは組織運営の観点で言えば初歩的な誤りです。久美子と今回の騒動の成り行きを観察していた黒江真由嬢が「部活を辞めるのはそんなに大袈裟なことか」的なことを言い放ったのは全くの正論で、ゆえに久美子は、幹部の合意形成をサボったために部長だけど幹部どころか部のイニシアチブを掌握できない瀬戸際まで勝手に追い詰められてしまったわけです。テンパりつつあったサリーちゃんこと義井沙里ちゃんが「黄前部長」ではなく「黄前先輩」と呼んだのは、実力があり短期間で1年生のまとめ役になっていた彼女からしても、部長としてふさわしくないと薄々思われてたからでしょう。それから約90人もいる組織であるからには、そのトップであるところの部長がいきなり軽々しく動くのも明らかに悪手で、新入生教育係(?)の葉月とりりりん先輩こと剣崎梨々花ちゃん、それと加えるならクラリネットのパートリーダー(公式発表は現時点ではありませんが性格的に高野久惠ちゃんでしょうかね)に動いてもらうのが先です。まあ、「たかが高校生」に組織論をこねくり回しても仕方ありませんが…





ここで、ユーフォ2の第五回でワタシが書いたブログ記事から手前味噌ながら引用しますね。

これはトップアスリートが経験するゾーンと呼ばれるものではないか。周囲がゆっくり動いて見えるというような極限的な精神状態を皆にもたらすために滝先生が「練習でやってきたことをそのまま出す」「笑顔で」と指導していたとしたら、彼はきわめて高度なメンタルトレーニング理論を、京都の片隅の吹奏楽部で実践してきたことになる

滝先生は自らを子供っぽいとうそぶきながら、その実、指導において果敢なチャレンジを続けています。1期のソルフェージュのときでしたっけ?PCで周波数を計測してたの。先に引用したメンタルトレーニング理論の実践もその一環だと考えれば、北宇治高校吹奏楽部には、部員の変化と成長を促すような仕掛けが、滝先生によって施されているのかもしれません。



今回、最も変わらなければいけないのは、もちろん久美子です。部長として自分はどうするのか、どうしたいのか、選択した答は「傾聴する」ということでした。これまた組織マネジメントやカウンセリング等では普通に出てくるアプローチですが、念のため説明を引用しておきますね。詳細はリンク先を参照してください。


高校生の久美子がこんな話を知ってる可能性はおそらく無いので、1年生のときの葵ちゃん退部事件と、希美を中心とした上級生の大量退部事件が頭にあったんでしょうかね、彼女が今できることは何かを自分で考えて到達した、とりあえずの結論だったんでしょう。それが、真面目で実力もあり皆に頼られるけどおとなしく内に秘めがちで部を辞める寸前まで思い詰めたサリーちゃんこと義井沙里ちゃんに、「傾聴されることで」部内にようやく理解者を得たという気にさせたことになります。人の話をちゃんと聴く・人に話をちゃんと聴いてもらうというのは、コミュニケーションの初歩の初歩ですから、これでようやく久美子は部長としての第一歩を踏み出せたというわけです。第三回のタイトルにある"プレリュード"というのは、この久美子部長の真のスタートを指しているのかもしれません。なお既に指摘していることですが、瞳の配色が「偶然にも」ほぼ同じである葵ちゃんとサリーちゃんが真逆の結果になったのは、あくまでも結果オーライでしょう。「傾聴」は、誰でもいきなりできるものではありませんから。






今後もこの「シン・黄前相談所」は定期開催されるはずです…まず幹部の目標設定の不一致を正し、そして黒江真由嬢の意思を何としても同じ方向に揃えなければいけないわけですから。ワタシ個人は、幹部の意思統一はともかく黒江真由嬢は難攻不落だと感じますが。吹奏楽の強豪校という環境を経験してきた彼女は、もしかすると「全国大会で金賞を取る」目標が既に達成済みで、今さらそれを目指すモチベーションがない可能性すらあるので。かなピーりりりんコンビその他のメンバーを総動員しても、卒業まで説得できないかもしれません。






今回の堅苦しい話はこれくらいにしときます。小ネタですがユーフォファンが気にしている話を少々。1年生の苗字が少しずつ明らかになってきて、その元ネタを探るのが次第にできるようになってきました。サンフェスの練習シーンで麗奈や秀一に注意を受けているメンバーのうち、サックスパートの甲元さんとパートは分かりませんが真島さんがいるので、THE BLUE HEARTS〜THE HIGH-LOWS〜ザ・クロマニヨンズは確定でしょう。麗奈から注意を受けて泣き出しちゃったホルンの武川さんは、他にすぐ思いつくミュージシャンがいないので、ムーンライダーズと推察します。というわけで、1年生のネーミングの元ネタは。現役で活動している、または、最近まで活動していたベテラン気味のロックバンドじゃないでしょうか。早いとこ全部員名簿を公開してください京アニさんお願いします何なら麗奈さん早よせいとしばき倒してください。




そして、次の曲が始まるのです。
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