For short, " I. M. G. D. "
Established : 1997/12/07

Light up your room, and browse away from the monitor, please! :-)

2024/04/18

「響け!ユーフォニアム3」感想以上深読み未満:第二回 #ユーフォ3期

高坂麗奈が、どの曲がいいと思ってると問いかける。


それに久美子部長はこう答える。

想像してみたの
全国で北宇治が演奏するところ
その最初の一音は何がいいかって

…クラリネット

「一年の歌 〜吹奏楽のための」が流れ始め雲の切れ間から日差しがふたりを照らし、雨上がりの宇治の街が映し出される。


ユーフォシリーズでは、北宇治高校吹奏楽部のその年の自由曲、または久美子が演奏する曲が、物語のテーマと密接に結びついています。それをここまで情感たっぷりに聴かされたら、唸らざるを得ません。




…というのは、1~2話特別上映イベントで知っていたので、黙ってるのがとても大変でした。ただ連続上映だったので微妙にアレンジが加えられていて、第一回の久美子部長と黒江真由嬢のファーストコンタクトのラストシーンが第二回OPの後ろに来て、すぐ第二回本編が始まったんじゃなかったかしら。これはユーフォ2第一回先行上映会のときも似たようなこと…南中のバス移動シーンが冒頭に来てたのかな、をやっていたので、一種のサービスでしょう。そもあれ、滝先生が挙げた3つの候補から「一年の歌 〜吹奏楽のための」を選んだ理由に、現在の北宇治高校吹奏楽部のストロングポイント・切り札であるクラリネットパートを挙げるあたり、アンコン編からの連続性が感じられますし(第一回で全国大会へ進んだことがさらりと描かれています)、久美子と麗奈と秀一は部の実力をよく把握していることが分かりますし、この雄大な楽曲そのものが、ユーフォ3のテーマというか通奏低音のようなものとして、この物語を彩ってくれることでしょう。アイキャッチでも使われてますからね。

ちょっと話が逸れました。そのOPとEDが情報量の塊みたいなことになってますが、とりあえずご覧ください。まずOPから。



前半はややイメージの世界が描かれてて後半では演奏シーンが入る構成、これは皆さん同じ感想だと思いますけど、TV版1期OPに寄せたんでしょうね。ラストの音楽室をぐるっと回り込んで久美子の瞳にズームインして名古屋のセンチュリーホールが映し出されるところでグッと来ます。



ただやっぱり、いくつかある抽象的な表現はこれまであまり無かったように思います。ユーフォ2のOPではモノクロの前半部分を物語の進行に合わせてカラーに変えて皆をあっと言わせただけに、例えば冒頭の久美子のカットは回を追うごとに人数や色数が増えたりするかもしれません。



…こうして並べると、1期の久美子が幼いとかはさておき、被写界深度や周辺減光といったレンズ効果や光のオーブの描き込みなど、山田尚子シリーズ演出(当時)の影響があらためて印象深いです。

そしてEDはパステルカラーのコスチュームでお分かりの通り、ユーフォ2をそのまま引き継いだような印象ですが、各キャラクターの子供時代の写真が映し出されるところなどFree!でも見られた演出とのことです。カメラと写真はユーフォ3の重要アイテムというのは第一回で述べた通り。



2期EDは明るく華やかな曲調だけどもの悲しい歌詞のコントラストが好きなんですよね。



このへんの話は前日あれこれめんどくさい感じで話しましたので、お時間があればお聞きください。


個人的なポイントとしては、アバンからOPの繋ぎがむちゃくちゃカッコいい、OBが新規カットで出てくるけど最初が後藤夫妻なところがすごくいい、黒江真由嬢が"黄前相談所"を訪ねてくるのは初夏だろうか気になる、春夏秋冬という歌詞に合わせて宇治の風景がカットインして久美子と麗奈が走っていくところの背景が春夏秋冬でなめらかに変わっている、演奏シーンが(検閲)、部員すげえ多い、etc.ですが…強調したいのは、EDで子供時代の麗奈が失敗して慰められている写真が映っているところ。全部員の前で「全国金を取りに行く」と高らかに宣言した「北宇治の歩く特別」、その彼女とて完璧ではないというのをわざと見せている点です。久美子1年性時代の特別といえば田中あすかですが、彼女の特別性を晴香部長が否定したことで部がまとまったのはご存じの通り。また、久美子2年生時代の特別は間違いなく鎧塚みぞれだと思いますが、彼女の爆発的成長に他の部員が追いつき切れなかった結果が部の成績に反映したとも考えられます。では久美子3年生時代ではドラムメジャーとして部を引っ張る立場になった高坂麗奈の特別性を否定する理由はなんだろうと考えると、彼女にいずれ大きな事件が起こりうる可能性を示唆していると言えます。

OP/EDの話で終わっちゃいそうで本編を。やはり黒江真由嬢がこの物語の核であることは疑いようがありませんが、吹奏楽部に入るのに「迷惑じゃなければ」「部のバランスを考えて」など控えめなことを言ったと思ったら「やるならユーフォがいい」「やるんなら上手いところのほうがいい」とはっきり言ってのけます。そのほかの会話でも顕著ですが、自らママ呼びされてたことを暴露するほどオトボケ気味で親しみやすい印象の一方で、ひとりの奏者としての強烈なプライドが透けて見えます。体育館でのとりとめない会話で久美子から案外合理的だと指摘されて「ズボラとも言う」とボケ返す頭の回転の速さは、やはり只者ではありません。平和主義とか言いながら自分に対する脅威に相変わらず敏感な、かなピーこと久石奏が警戒を緩めないのも仕方ないでしょう。




それと低音パートの1年生のひとり、釜屋妹がさっそく暴走しますけど、これだけなら突発的なエピソードに思えますが、重要なのはこの時点で「久美子部長は1年生から軽く思われている」であろうという点。さすがの彼女でも高坂麗奈に突っかかることは出来ないでしょうから…って過去に上級生へ突っかかっていった希美や夏希がいたので何とも言えませんが。ともあれ、100人近い人数になった北宇治高校吹奏楽部には、第二回の時点で破綻の兆しが見え隠れしています。部長としてまだ能動的になり切れない久美子を麗奈と秀一がどこまでフォローできるのか、麗奈はあの性格なので久美子(と気心の知れた少数)のことはフォローするけど他は放っときそうなので、秀一の立ち回りが今後の鍵になるかもしれません。




最後に。TVシリーズ第二回の時点で、吹奏楽曲が「一年の歌 〜吹奏楽のための」を含め3曲も増えるのは、以前からは考えられないほどのサービスな気がします。第一回と合わせて新録5曲ですよ?聴いてるだけのワタシとしてはレパートリーが増えるだけでうれしいわけですが。


これと課題曲の「スケルツァンド」がいずれ披露されることでしょう。前回予想した通り、ユーフォ3は2017年度の物語であるというのがこれで確定しました(って1~2話特別上映イベントで判明してたんですけどね実は)





そして、次の曲が始まるのです。


追記:ユーフォの𝕏公式アカウントからの情報が前のめり気味でおっかないくらいなんですけど、1~2話特別上映イベントでキャストの皆さんから伺った話を秘密にしておくのもそろそろいいかなというタイミングなので、ここで書いておきます。

ユーフォ3のアフレコは(おそらくもう各種インタビューで述べられていると思うんですけど)既に全て終わっているとのことなんですが、そのアフレコでは、絵が全て出来上がっていたそうです。原画動画が仕上がってるだけにとどまらず、色がついて撮影まで済ませた状態だったと。

この事実そのものがアニメ業界に少しでも詳しい方なら驚愕以外のなにものでもないんですが、一方で、キャストの皆さんが脚本通りに演じるだけではなくアドリブを交えた芝居をすることもおそらく多々発生したであろうことは容易に想像できるわけで…となると、「ユーフォ3はTVの放送版では泣く泣くカットしたエピソードやカットが大量に存在して、何となれば"ディレクターズカット版"が作れるんじゃないか」と妄想してたんですが、そういうものが実在して一部がどうもディスク特典になるようなんですね。とにかく、ユーフォ3には驚かされっぱなしではあります。




さらに追記:EDの写真ですが久美子の隣にいるのは立華の佐々木梓ちゃん。彼女は今回出てくるんでしょうか、出てくるならいっそSuper Extra Episodeでしっかり見てみたいですが…それからサファイア川島の中学時代の写真ですけど、彼女が通っていた聖女の制服って今回が初出でしょうかね、そう思えないほど見覚えがありますが…ワタシが妄想する「京都アニメーションが編纂する京都偽史」がまた強化されてしまった。
Pocket このエントリーをはてなブックマークに追加