2016/10/01

DAIMお蔵出し:くちばしP / “EX-GIRL”

  1.  初音ミクのオリジナル曲の歴史を語るとき、「メルト」によって「キャラソン」が「私とあなたの歌」に変化した、というのが一般的な意見である。しかし、ミクという仮想人格への自己言及から二人称的な誰かの物語へのシフトは、「メルト前メルト後」のようにデジタルに遷移したものではない。そのことを強く印象づけているのが、この作品である。
     曲の概要はニコニコ大百科に譲る。注目したいのは、タイトルの「EX」と歌詞の謎である。「EX」とは何だ?「自分に飽きた」のは、いったい誰なんだ?この独白を、初音ミクという「個人」、あるいは、どこかにいる多感な少女の心の動きと解釈することはたやすいが、両者を隔てるものは無に等しい。ここにいる彼女は、「細い裏路地」という日常空間から「この世の全て裏から眺め」ることができるのだから。そして彼女が獲得するのは、全ての視線と新たな世界である。
     「EX」とは、初音ミクと分かちがたい特別な存在、つまりニコ動を見ているあなた自身のことである。
     ※ただしおっさんを除く
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    ■music&illust:くちばし
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