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2016/10/30

「響け!ユーフォニアム2」深読み:第四回

いつもの前置き:何をどう工夫してもネタバレは避けられないし、そもそも自分が考えてることは明らかに他の皆さんと違っちゃってるようなので、まだ見てない人はもちろん既に見た人も含め、作品を素直に楽しみたい方は、この記事の存在を忘れてください。ただの感想文とか楽しい感じには絶対にならないので、そういうのを期待してる人は読まないでください。

警告おしまい。あとは好き勝手に書く…とは言うものの、今回はほとんど記録映像のように剥き出しの感情が画面に焼き付けられているので、深読みも何もあったもんじゃない。意味深なカットは例えばこことか、ほんのわずかだけだし。









さて本題の第四回「めざめるオーボエ」について。これを書かないと気が済まないので先に書く。

劇場版でさえ使われなかった第1期の劇伴が帰ってきた!!」

これだけでもう、嬉しさのあまりのたうち回ってしまった。具体的にサントラのタイトルで言うと以下の2曲(何度も確認したけど漏れがあったりしたら済まぬ):
  • Tr.28 重なる心
  • Tr.22 張り詰めた糸のように
前者は第三回であすか先輩が吹いていたユーフォ独奏曲の元ネタではないかと噂されているもので、今後も直接あるいはモチーフを引用した旋律が奏でられるかもしれない。後者は…今回の物語の大きな要素をそのまま表しているようである。

その大きな要素というのはもちろん、希美先輩の突然の訪問によって大パニックを起こしたみぞれ先輩の心の動き。久美子の主観視点的なカットが印象深い。





この事件において真っ先に行動を起こし、みぞれ先輩の閉ざされかけた心をこじ開けるのは、もはや2年生の中心人物となった優子先輩。小説やマンガ、アニメの作家がときどき「自身が創作したはずのキャラクターが勝手に動いて物語を作ってしまう」みたいなことを言うことがあるけど、彼女はもうユーフォの物語のなかで、自分で考えて自分で行動している。そして彼女は制作陣に愛されてるんだなあと、しみじみ思う。すさまじく気合いの入った作画はもちろん、立体的でライブ感のある構図も山岡ゆりさんの迫力に満ちた演技も、それを証明している。特に下で引用した画像の1枚目と2枚目、何もかも完璧すぎて額縁に入れて飾っておきたいくらい。こんなハイクオリティの絵がヌルヌルと動き続けるアニメをTVでやってるというは、やはり異様としか言いようがない。







んで、みぞれ先輩が心を閉ざそうとした原因というのが赤の他人からすれば他愛のないもののように思えるかもしれないけど、北宇治高校の吹奏楽部員…いや南中出身の2年生にとっては重大な問題で、その中心人物であった希美先輩にほとんど依存してきたみぞれ先輩は、ひとりで思い詰めたまま1年以上を過ごしてきたことになる。彼女の、極めてパーソナルで自罰的でフラジャイルな心情を正しく理解するには、この年頃の娘さんと直接インタビューしてみるしか無いかもしれない。ひとつ言えるのは、希美先輩は「光」でみぞれ先輩は「影」だったということ。下に引用した2枚目の机の反射、3枚目の(画像で見えるかどうか分からないけど)ちりが舞い上がって反射した光の粒の表現に注意。




優子先輩は「影」からみぞれ先輩を引きずり出すのだけど、その肉体言語たっぷりの描写が素晴らしい。ほっぺたをムニムニするカットは第一回から頻出しているけど、このエモーショナルなシーンの伏線だとはさすがに予想できなかった。そして、もし『映画「聲の形」』の世界に優子先輩が飛び込んでいったら、話が一気に解決するんじゃないかと思った(笑)。




「光」に照らされたみぞれ先輩が秘めていた想いを吐露して涙が止まらなくなる場面、フラッシュバックで挿入される「劇中では描かれてこなかった過去の思い出」によって切なさが際立つ。後ろにチームもなかの夏希先輩と加部先輩がいる2枚目のカットも額縁に入れて飾っておきたい…。






…あまりに豊かな絵面が続出するので引用が多くなってしまった。第2期はここまで4人の2年生、具体的にはみぞれ、希美、優子、夏希が話を回してきたけど、これは現3年生の晴香部長、あすか、香織と辞めてしまった葵ちゃんの照射なのかもしれないと思った。この4人…いや、あすか先輩を除いた3名が部の崩壊を少しでも食い止めるために協力して奔走した過去は、第1期からそれとなく描かれている。優子先輩は彼女たちの姿を見て、器用じゃないなりに部へ残った2年生を気にかけてきたんじゃなかろうか。それを夏希先輩はよく知ってるんだろうな。「なかよし川」とは、よく言ったものである。



さて、ここまでなら凡百の感動物語で終わってしまうのだが、その熱を一気に冷ますのは、あすか先輩。第一回から第四回まで、ラストシーンにほぼ全て彼女が関わっていることは、もう偶然ではないだろう。しかし、みぞれ先輩を「人は打算的に動くもの」と切って捨てる彼女の言葉には、自嘲の色がうっすらと透けて見える。第二期で目立つ紫がかった色調も含めて、今後の展開を示唆しているようでもある。



さて個人的な見どころ。これだけ感情を揺さぶる作品を支えている、確かな技術について。第2期が空間を描くことに意識を向けているのではないかというのは以前書いたが、机や楽器といったオブジェクトの描写も以前よりずっと精度を増していて、2D作画と3DGCの境界がますます曖昧になっている。例えばこのあたり。久美子の身体の動きと、持っているユーフォニアムや楽譜台の動きにほとんど違和感がないのに注意。







まだまだ語り足りないけど、今回はとりあえずこのへんで。第五回は『「響け!ユーフォニアム」が極めて上質な音楽映画である』という事実を再認識することになるだろう。それを最高の笑顔で迎えられたらいいのだけれど。




そして、次の曲が始まるのです。
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