声と楽器と音とノイズについて、ここしばらく考え込んでいる。
ボーカロイド等は歌声合成ソフトという楽器の一種だが、その元はサンプリングされた声である。
楽器は音楽を奏でるための器材だが、様々な音程が出せるよう工夫されたものもあれば、音が出れば良しとする場合もあって、もちろん声も含まれる。
音とは空気の振動だが、キャラクターが明瞭に響くものもあれば、雑多な周波数が混在しているものや不可聴帯域のものもあって、もちろん各種楽器の音色も含まれる。
ノイズとは不快な音だが、無響室に入ると自分の身体が発するノイズが聞こえてくる。
人間の聴覚は、こういったノイズを無意識下でフィルタリングしているらしいと何かで読んだ気がする。
音楽への衝動は、長い歳月を経て様式が整理され器材が進化しても、根っこは変わらないのだと思う。声があるかぎり歌う。音が出るかぎり奏でる。その気になれば、どんなノイズでさえも歌にすることができる。
ボカロの声に魅了されるのも、フェラーリの走行音に官能を見出すのも、実は似たような話なのかもしれない。
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■music:ケフィアP
■illust:ゆかこ
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