- 元ネタの古典TRPGはさておき。作品内で繰り返される「義務なんです」というフレーズから、ジムナスティック=体操=YMOを連想してみる。初期YMOが共産主義的独裁をキーイメージとして打ち出し、散開ライブで「プロパガンダ」を展開したのはご存知の通りである。プロパガンダとは政治的な宣伝行為で、サーチライトの強烈な光、演説や音楽を拡声器や巨大スピーカーで増幅した音響などで構成される大規模な舞台装置、また、ユニフォームを着た群衆による行進やマスゲームといった律動等を伴う。これによって個人を否定する同調圧力が生じるが、この力は「いじめる側の論理」とほぼ同義である。ときには個人の死すら厭わない残酷な世界が待っていることを、肝に銘じるべきであろう。もちろんこの作品は、このようなディストピアのパロディなのだが、妖しい肢体と人を見下した声を持つ幻の存在によって、我々は煽動されてしまうかもしれない。それほどに危険なのだ。********************■music:t.Komine (うたたP)■lyrics:鳥居羊■illust:wogura********************