「初音ミク現象」を語るときに決して忘れてはならないものがある。
CGMやUCGといった、難しい言葉は要らない。
今こそ叫ぼうではないか。
コンピューターと音楽への愛を。
この作品のモチーフとして描かれるコンピューターは、1980年代のスタンドアローンなものではなく、90年代から現在まで続く、インターネットに接続された端末群をイメージさせる。
人と人を繋ぐそれは、常に持ち歩けるまでになった。手のひらから発したメッセージは、リアルタイムで世界の向こうの誰かにまで届く。
例えば、海に放ったガラスの小瓶。かわいらしくしたためた封筒と便箋。到達時間を無視すれば、あなたの目の前のスマートフォンは、実はそれらの代わりに過ぎない。ただし、ひとつだけ違いがある。
文字と一緒にいろんなものが送れること。
スタンプや写真、動画、そして、音楽。
ニコ動やYouTubeで見つけた作品のURLを友人や仲間に送って、すぐにシェアして楽しむ。かつての我々のように、レコードショップで音源を発掘しなくても、音楽雑誌を隅々まで読み込まなくても、元ネタを知らなくても、もう構わない。
そういう重力を振り切ってしまおう。
初音ミクが発売されて、もうすぐ6年を迎える。一方、作者のRUBY-CATMANさんは、この作品を2012年12月25日にニコ動で発表した。音楽の長い歴史からすればほんの一瞬に過ぎないが、この幸運な出会いを喜びたいと思う。
これは、6年前に届いていたミクさんからの手紙を開いたら、きれいな押し花がはらりと舞い落ちてきた、そんな曲である。
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■music&lyrics RUBY-CATMAN
■illust ラグ
■movie 千音子
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