For short, " I. M. G. D. "
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2016/10/01

DAIMお蔵出しこぼればなし

2016年春に活動を休止したネット音楽レビューサイト・DAIMで、自分が書いた楽曲レビューを思うところあって先ほどここで再公開した。

DAIMについてはもう忘れられてる頃だろうから、軽く説明しておく。現Stripelessレーベルのボス・しまさんとワタシが2012年8月下旬に共同設立した、「全ての音楽を掘りつくす勢いでやる」楽曲レビューサイトがDAIMであった。以降の約3年半、ボーカロイド楽曲寄りではあったが、我々を含めたチームメンバーがインディペンデントなネット音楽について何か感じたことをレビューに仕立てて発表する場として、少しは何かの役に立てたかもと現在は思っているところである。

DAIMの意味やなぜ誰でも参加できるようにしなかったのか等のネタばらしは別の機会に譲るが、このままDAIMのサイト(Tumblr版とWordpress版の2つあった)が消滅したままだと自分の書いた文章が闇に葬り去られるため、今回サルベージすることにした。また、DAIMの最盛期を知らない方から最近「DAIMが読めないのでどういうものだったのか分からない」というご意見をいただき、そうは言っても全レビューを自分の一存で再公開するわけにもいかないので、ワタシの責任が持てる範囲、すなわち自分が書いた文章をなるべくそのまま転載して、少しでも当時の雰囲気を味わってもらえるようにした。そのため、基本的には原稿を丸ごとコピーして貼り付けただけで、リンクがおかしかったり変な間が空いたり一部のコンテンツが消えたりしている。作者と曲名は正しいので、必要なら各自で検索するなりしてください。

さて各レビューのリストと、執筆時の意図などを軽く解説:
  • t.Komine(うたたP) / 鳥居羊 / “こちら、幸福安心委員会です。”
    DAIM設立時に「ここではメジャーな曲を積極的に扱っていこう」という個人的な方針を決め、そのとき最も気になっていた作品をピックアップしたもの。「プロパガンダ」という単語を導き出して動画の扇情的な絵と扇動的な歌詞、そして強烈なビートをかなり強引に結びつけた感じ。
  • ゴジマジP / “おちゃめ機能”
    「メジャーな曲を積極的に扱う」と決めた際に、これも書こうと真っ先に決めたもの。ニコ動ネイティブなボカロPの筆頭と個人的に思っているゴジマジP=ラマーズPを、なるべくフラットに評価しようという試みでもある。氏の腕前は最近ますます磨きがかかっていて舌を巻くばかり。
  • daniwell / “WHISPER MOMOKO”
    ネットミーム化した「Nyan Cat」の元曲の作者であるdaniwell氏のアイディアと、「Nyan Cat」を唄っている桃音モモの中の人である藤本萌々子さんの声素材が合わさって、インタラクティブアート的な雰囲気を醸し出した作品。「全ての音楽を掘りつくす勢いでやる」方針の個人的な具現化の一発目。
  • 名無しさん / “生演奏 ちんこ音頭 Jazz Ver.”
    CGM/UCGと呼ばれる行為がまるでニコ動やボカロ、ピアプロ等で始まったみたいな言説をぶち壊したくて書いたもの。掘れば似たような話がもっとあるはずで、そういう先例があるのを抜きにして議論を組み立てたくなかったので。このあたりはDAIMの仲間だったアンメルツPの知見にかなり影響されたりもしている。
  • 鼻そうめんP / “YOUTHFUL DAYS’ GRAFFITI”
    モストフェイバリットボカロPのひとりである鼻そうめんPの作品から最高に笑える作品をピックアップしたもの。最後の「R」が昭和軽薄体なのに気づいた読者が何人いたのか、ちょっと自信が持てない(笑)。
  • 委員長 / “台湾人が中国語で「いーあるふぁんくらぶ」を歌ってみた”
    2012年のミクパ香港・台湾ツアーにぶつけて書いたもの。原曲ではなく台湾の方が中国語に翻訳して歌ったこの作品を取り上げたのは、「歌ってみた」が原曲の強さに負けず、バリューを付加できることもあるのを強調したかったから。何度聴いても日本語で歌われるパートにグッときちゃうんだよなあ。
  • 曲者P / “10月の雨”
    選曲は完全に趣味。今までいろんなところで書き散らしてきたなかで、どうしても拾い上げたかったけどその機会に恵まれず、ついにここで書くことができて、当時は勝手に感無量になってた。
  • ぱきら / “Ribbon~脱・女のコ宣言”
    これも完全に趣味。ニコ動以外にも良曲が存在するのでケアしようよという呼びかけの意図もあった。あとQlairちゃんって言いたかっただけだと思う。
  • 島白(よだれP) / “初音ミクが「ほしのこもりうた」歌いやがった【リローデッド】”
    2008年8月31日が忘れられない日になったのはこういう良い作品群が同時多発的に投稿されたからというのと、ボカロ曲が新しいジャンルの音楽との出会いの導線になっているというのの両方を書いたつもり。作品が非公開になっているのがつくづく惜しまれる。
  • kz(livetune) / “Tell Your World”
    Google Chromeの例のCM公開1年後にぶつけて、その映像をテキストで表現しようと試みたもの。当時のニコ動で「初音ミクオリジナル曲」タグを検索して再生数順に並べた上位30曲からネタ(=その作品を連想させる言葉)を拾い集めて、「自動車ショー歌」のn番煎じに仕立て上げた。今となっては何故39曲にしなかったのか不思議でならない。
  • OSTER project / “【初音ミク】恋スルVOC@LOID -テイクゼロ-【おまけ】”
    初音ミクの代表曲の「虚構の別テイク」を紹介しながら、彼女のキャラクター形成がある意味で自覚的に行われていったという指摘をしたかったもの。これを書いた当時、「こんな曲があるなんて知らなかった」という反応が散見されたのが少々驚きではあった。
  • Treow(逆衝動P) / “Chaining Intention”
    趣味の選曲だけど、「これを聴いてボカロ曲にハマる若い奴が絶対いるだろうな」と当時思っていたのも確かで、それを素直に書いた。なお文中の「ワタシ自身のトリガー楽曲」とは、坂本龍一の「Riot in Lagos」です。
  • ちえ / “フライングスタート”
    これも趣味の選曲。聴いた当時はぽかんと口を開けて呆然としながら「世の中には得体の知れない天才めいた奴が少なくとも1人いる」という事実に戦慄していた。時を経てついにメジャーデビューするところまでいったのも、当然の帰結だと思う。
  • くちばしP / “EX-GIRL”
    さらに趣味の選曲。異様にポップなのに謎めいてる歌詞についてとにかく書いてみたかった。氏はある時期を境にぷつりと音沙汰が無くなったが、最近になって活動を再開しているようで何よりである。
  • ケフィアP / “VOCAL-ENGINE”
    これを書いた時点で既に忘れられようとしていた、クルマのサンプリング音とボカロによるラップで構成された画期的な作品をサルベージしようとしたもの。何度聴いてもカッコいい。
  • ZANEEDS / “ジャイアンリサイタル”
    モストフェイバリットボカロPのひとりであるZANEEDS最後の名曲。非常に思い入れがあるので書くのをためらっていたが、文中の動画がきっかけとなって扱うことに決めた。ざにおは現在では蒙古タンメンマンに転生したようだが…(笑)。
  • RUBY-CATMAN / “Computer Music Love”
    モストフェイバリットボカロPのひとりであるRUBY-CATMANさんの作品をどうしても取り上げたかったので書いた。公式ライブでルビーさんの曲をやるようになったら誰か教えてください。
  • Gun-SEKI / “『恋の2-4-11』フルバージョンでいっくよー★”
    書いた時点では「艦これ」を遠目で眺めるエア提督だったんだけど、いきなりこういう作品が出てきて非常に驚いたので勢いに任せて書いたもの。もはや「艦これ」も一大コンテンツに成長してしまって、いろいろと感慨深いものがある。
…こんなところかな。レビューの裏話を書くことなんてめったにないけど、今後似たようなことをやる誰かの参考に少しでもなってくれれば、それだけで満足。こうやって振り返ってみると、全然成長してねえなあと思うばかりだけど。
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