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2010/06/24

天王山

event_note
新しいブログに移行してからサッカーの話題がハジメテだったことに、実は少々驚いている。その理由は、オシムから体制を引き継いだ岡田監督が、戦略やコンセプトが定まらないまま消化不良の試合を延々と続け、このままでは日本代表を取り巻く環境が1998年以前まで退行してしまうのではないかという危機感を覚えたため。念のため調べたところ今年の4月以来ということになる。直前の強化試合も同様の課題を抱えたまま4連敗し、W杯予選リーグでは勝ち点どころか3連敗もありえるのではないかという覚悟(あるいは開き直りや諦念)をもって、今回のW杯観戦に突入したわけである。

ところがサッカーとはフタを開けてみないと分からないもので、(内紛を抱え不調だったとはいえ)「不屈のライオン」と呼ばれるアフリカの強豪カメルーンを倒し、FIFA世界ランキングで常にTop5クラスのオランダ相手に惜敗したものだから、ワタシも含め世間の空気が完全に変わってしまった。

ほとんど「ぶっつけ本番」と断言していい今回のスタメンやフォーメーションが機能している理由はいくつか考えられるが、最も重要なのは「日本が日本というチームの精神を取り戻した」ことだと考えている。「明神が11人いれば勝てる」と言ったのはトルシエ、「サッカーには水を運ぶ選手が必要だ」と言ったのはオシムだが、他のどのチームより走り、常に複数でボールを奪いに行く組織的な守備、そしてあの唯我独尊の本田でさえ前線からのプレスを厭わない姿勢、ベンチに座っていても試合に集中し声援を送る控え選手。個々の技術や過去の「日本らしい」と呼ばれるパスワークなどを切り捨て、結果を残すために超守備的なこのチームを「最後の最後で」作り上げた岡田監督は、我々が思っているよりずっとリアリストなのかも知れない。

他のグループでは既に勝ち抜けが決定しつつあるが、メッシを擁するアルゼンチン以外、楽に突破できたところはないように見える。サッカーは急速に進化し、各国のレベル差は以前よりも小さくなった。アフリカのようにタレント頼りで単純な戦術で望んだチーム、そしてフランスのようにチーム内に問題を抱えたまま試合に望んだチームは、ことごとく敗退している。そして現在の日本代表は、少なくともそういう問題を抱えていないように見える。ドイツではこれっぽっちも面白みを見出せなかった第3戦に期待をもって望めること、そのこと自体が今はとてもうれしい。

相手はデンマーク、「ダニッシュ・ダイナマイト」。よく組織された守備と高さを生かした鋭いカウンターが武器の、誇り高き強豪中の強豪である。そういう相手だからこそ勝ってほしい。いや勝て。勝って新しい歴史を創れ。なおこの試合のキーは、長友とロメダールのマッチアップになると考えている。ここで向こうの思い通りにさせなければ、我々の眼前に新しい世界が拓けることだろう。
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